くっ。これまでかっ…
カラスの口調を変更中です。
お見苦しいとこがあります。
すいませんm(__)m
神さまが引き起こした事故によって死亡した私は転生することになった。
小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたはずなのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。
神さまに「転生をやり直してほしい」と交渉している最中に、キリギリスに襲われた。
なんとか勝利して急死に一生を得たのも束の間、今度はトンボに襲われて、殺されかけた
その時、私と一緒に死んで同じようにに転生してきた猫のマサムネに救われた。
心強い味方が出来たのはうれしいけど、立て続けにも虫に殺されかけるとか、はっきり言って冗談じゃない。
絶対に転生やり直してもらうんだから!
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あれから体感では3時間くらいたったけど、絶え間なく虫に襲われ続けて、ハッキリ言ってヘトヘトでウンザリだ。
まあ、おかげでだいぶ戦い方が上手になったけどね。
マサムネのようなお手本が傍にいると上達も早いのかもしれない。
副武装も使ってみた。
十字手裏剣は刃だらけのブーメランだった。ハッキリ言って怖くてまだ実戦では使えない。
刃だらけのブーメランなんて戻ってきても、恐ろしくて掴めない。
試しに投げてみて、死ぬかと思った。
虫に当たっても、切り裂いて飛び続け、私の手元に戻ってきた。ブーメランだからね。
でも恐ろしくて掴めなかったので、躱したら、いろんなもの切り裂いてまた戻ってきた。結局地面に刺さって止まるまで、逃げる羽目になった。
鎖鎌は目標物に刺さるか、絡まるかしたら、自動で鎖を巻き取って縮まってくれる。すごく便利だけれど、ちょっと大きい相手だと私が引っ張られてしまう。
練習が必要だ。
《そろそろ検収してもらえないっスか》
(いーやーでーす!
そっちこそ、そろそろ、転生やり直してもらえませんかね)
《マサムネさんをどーするんスか?》
そう言われて、足元のマサムネを見ると、「にゃに?」みたいな顔してこっちを見た。
目が合うと私の太ももから腰にかけて、耳の後ろを擦り付けてくる。
可愛い。思わず抱きついてしまう。白トラ模様もいいね。神々しいわ。
抱きつける大きさの子猫。反則である。
この子を放置などできない。
マサムネもやり直しすればいいでしょ?
《無理っス》
あれ?
ずいぶん強い口調だね。本当に無理そう。
《マサムネさんは、我々転生の神の管理下から外れて、この世界の神の管理下に移ってるっス。なのでもう我々には手出し出来ないっス》
ぐぬぬ。
ほとんど騙したくせにグイグイ来るな。
《べ、別に騙してなど…》
言葉に詰まるってことは少しは悪いと思ってんだね。
極悪人ではないようだね。あ、人ではないか。極悪神…
なんかヤバイ言葉生み出そうとしてないか?
フラグっぽいからここまでにしよう。
でも一寸法師サイズで転生させられて、あとは頑張れと言われたところで、了承など出来るわけがないじゃない。
! 私がやり直し転生する時に、マサムネと仲間になりたいって願いを入れればいいんじゃない?
今度こそナイスアイデアでしょ?
《!? そこ気づくとは天才スか?》
…正解のようだね。これで交渉でマサムネを盾に取られることもなくていいね。
ところで…、
ねえ、あなた、私の故郷の文化の影響を結構受けてるでしょ?
《…》
…どうやらこっちも正解か。
《ユイさん、蚊が群れでやって来たっス》
…さっきからあなたが困ると虫が現れてるんだけど、やっぱり、あなたが呼んでるんじゃないよね?
蟲笛とか持ってない?
《それは流石に心外っス。ただの偶然っス》
そう?それは悪かったね。ごめんね。
さて、今回の敵は蚊だ。
手の平でパチンとやりたいけどね。
例によって私より大きい。体長5センチ強から7センチかなぁ。体感的には4メートルの蚊。それがざっと10匹くらい。
マサムネはスッと私に寄り添うように立って警戒している。
蚊は私達を囲むように展開してきたので、マサムネと私はお互いの背中を守るように背中合わせに立った。
蚊を観察する。
…うわぁ。顔キモいし、それにあの針さぁ。私の胴体貫通する長さだよね。
串刺しとか嫌すぎる。
フワフワ、フラフラと空中を移動して、近づいてきた。
1匹がゆっくり降下して長い脚を軽く曲げて着地した。
無音なのに驚いた。
近づいて斬りかかろうとしたら、私の移動による風圧を感知したのかフワッと飛んで逃げられた。
上空で翅をはためかせて水平移動して私の真上を取って、また無音で降下かしてきた。
着地に合わせて、側面に回りこみ、左の真ん中の脚を斬った。刀を返しながら2歩横移動して後脚も斬った。
倒れろ。
…あれ?
2本も脚を失ったのに蚊は倒れない。
身体が軽いので、蚊は翅を細かに動かすだけで倒れることなく姿勢を維持出来るようだ。
「脚なんて飾りっス」
なんて言ってみる。
マサムネが蚊の翅を爪で斬り飛ばした。
「にゃ」
ふざけてないでトドメ刺せって?
了解。子猫なのに凛々しい。
可愛くて凛々しいとか、素敵。
倒れてきたところを頭を斬り落とした。
蚊から光る湯気が出て空に登っていった。
《ああ。今ので300超えたっスよ?》
非難まじりの抗議の声が聞こえた。
因果が増えると言われたが、キリギリスの時点で、すでに200超えてるんだ。さらにこの3時間で大量にヤッてしまった。今更誤差でしょって話だよ。
それに殺されそうだったんだから正当防衛だよ。
《いや、まあ、そうかもしれないっスけど》
検収担当の神さまも大分、言葉遣いが崩れてきたね。
まあ相当言い争ってるからね。
マサムネにも言ってよね。
《マサムネさんとはもう交信出来ないっスよ》
あ、そうか。
蚊は大したことなかったので、マサムネと手分けして片付けながら、神さまとお話が出来た。
ところでさ、「やり直し」は難しいって言ってるけど、はじめの説明の時に言ってた「調整」はまだ出来るの?
《それは出来るっス》
「調整」ってやつで私を大きくすることできないの?
《通常の人間の大きさまでサイズを変えることは出来ないっス》
少しなら出来るってこと?
《えーっと、「調整」で出来るのは「体格変更」なんスよ。
通常だと145センチから200センチくらいの間で体格を変えられるスよ。もちろん横幅や部分的なサイズ変更も》
なんだって?
転生後に自由に体格選べたのかぁ。
え、じゃあ、小柄になるって希望は、わざわざお願いしなくても出来たってこと?
《ええ。言いにくいっスけ、その通りっス》
お願いしなくてもいいことを、わざわざお願いして、一寸法師になってしまったってこと?
《そうっス》
なんてこと...。
《やっておくっスか? 145センチ相当の最も小柄な体格にすると2.41センチになるっス》
小さくしてどうするのよ
《小柄な体型になりたかったんスよね?》
いやそうだよ!
そうだけど、小さすぎて死にそうなのに、更に小柄にしたら危ないでしょ?
《3センチも2.4センチも変わらないスよ。希望どおりロリ体型にして検収するっスよ。バストもウエストもご希望通りにするっスよ》
ぐぬぬ。コイツゥゥ。調子のいいことを。ちょっとセクハラだし。
うーん。夢の体型になるチャンスが目の前にあるのに決断出来ないとは。
でも駄目だ。これ以上小さくなるのは危ない。
安全性を高めるには大きくならないと。
大きいほうへは?
《200センチ相当の体格にすると3.33センチっスね》
駄目じゃん。やっぱり虫に苦戦しそうじゃん!
《基が181センチっスよ?》
うるさいわ。
バランス変えて感覚狂う方が怖いな。このままでいい。
他には「調整」で何が出来るの?
《衣装、髪色、髪型の変更とか》
マサムネの毛の色が変わったのも?
《調整っスね、ユイさんも髪色変えるっスか? 紫のままでいいスか?》
調整始めたら、検収断れないんじゃないの?
《いや、そんなことはあるっスけど》
じゃあいい。って危ないな。さっき体格変えてたら終わってたじゃん。
《惜しかったっス。あとは転生時に授かった能力のカスタマイズも調整の範囲っス》
能力のカスタマイズ? いやいいよ。検収扱いになるならどうせやんないし。
《いいじゃないっスか。例えば氷の魔法を発動した時に出る結晶の形を好みの形に変えたりとかっス。同じよう火だと炎の形とかっスね。能力を氷の魔法から火の魔法に変えるとかは出来ないっス》
攻撃魔法あったのかぁ。
私の魔力とか魔法とかっどうなっているの?
《魔力は全員持ってるっス、使ってれば勝手に増えていくっス、休めば勝手に回復するっス》
へー
《ただユイさんは魔法は使えないっスね。魔力は充分なんスけど、召喚と肉体強化と疲労回復に以外に回せないようになってるっス》
でも魔法かぁ。使ってみたかったな。
《無理っス》
え?全く? 努力しても? 初級の魔法くらいは?
《努力でどうにかなるようなレベルではないっス。絶望的っス》
そんなに?
《あえて言おう。カスであると》
ぐ。
わかったよ。念入りに諦めさせてきたね。
ところで絶対、影響下だよね。しかもちょっと古いよね?
《…ユイさん、さっき、足がどうとか》
ぐっ!私もか。父と兄のせいだ。
そういえば、私の授かった能力って?
《さっき言ったことスけど、戦闘中の速度3倍と肉体強化と自然回復強化っス。あ、あと、召喚魔法っス》
ガチ物理の脳筋キャラだね。
いやそう思うような頼み方したけどね。
しかし、ソロでも戦えるね。
《そうなんスよ。こんな言い方もなんなんスけど、一寸法師サイズになることで危険度が極端に上がった分、最上の能力を授けてバランスをとった感じっス》
剣だけでタフに戦えるようにしてくれたのか。
転生の神さますごいな。美人なのに仕事もできるのか。
そんな出来る人なら「小さくなりたい」が「小柄になりたい」だと見抜いて欲しかったよ。
《じゃあ、これ以上のことは出来ないので、検収サインもらっていいっスか?》
反論がないぞ。くっ。これまでかっ…しかし、納得できないものにうんとは言いたくない。
そんなのカッコ悪い。
《これ以上ごねるのもカッコ悪くないっスか?》
ぐぬぬぬ。
陥落仕掛けたその時、少し離れた場所に天から地面に向かって、光の柱が出現した。
?!
アレは?
《チッ。…なんだよ肝心な時に》
今、舌打ちした?