桃桃桃桃桃(略)桃桃桃桃桃太郎
むかしむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんが住んでいた。
お爺さんが山へ芝刈りに行くあいだ、十人のお婆さんが十本の川へ洗濯に出掛けると、十本の川の川上から、それぞれ十個ずつ大きな桃がどんぶらどんぶらどんぶらどんぶら連なって流れてきた。十人のお婆さんは一人につき十個の桃を持ち帰り、合わせて百個の桃をお爺さんと十一人で食べようとして包丁を入れた。すると桃の中から一個あたり十人の元気な男の子がすぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽんと飛び出したので、千人の子供に別々の名前を考えるのが面倒くさくなったお爺さんは男の子達をまとめて桃太郎と名付けた。
やがて桃太郎達は凜々しく逞しい若者に育ったが、そのころお爺さん達の住む村を鬼ヶ島からやってきた乱暴な鬼どもが困らせており、桃太郎達が千人で退治しに行くことになった。十人のお婆さん達からもらった三千個のきびだんごの袋を腰に結わえ付け、桃太郎達のちょっとした軍勢は鬼退治の旅に出発した。
千本の旗指物をたなびかせた甲冑姿の桃太郎が海岸への道をがしゃがしゃ進むと、左右の茂みから犬と猿と雉が千頭ずつ現れて行く手を塞いだ。
「桃太郎さん、桃太郎さん、きびだんごをくださいな」
三千頭の大合唱に、桃太郎達の先頭をゆく桃太郎が「僕達は悪い鬼をこらしめに鬼ヶ島へゆくところだ。きびだんごをあげるからどいてくれ」と言い、三千個のきびだんごを袋ごと動物達に渡したが、動物達は優しい桃太郎の行いにお礼がしたいと申し出て、たちまち三千頭の家来になった。
討伐隊は海辺の漁村で舟を借り、千艘もの大船団で鬼ヶ島へ押し寄せた。いっぽう鬼ヶ島にも屈強な鬼達が棲んでいたが、ひとりでも百人力の桃太郎が千人、しかも三千頭の家来を引き連れてなだれ込んだのだからたまらない。桃太郎と犬と猿と雉がそれぞれ百人の大鬼を打ちのめし、噛みつき、引っ掻き、突っつき、総勢四十万人の鬼どもをぼこぼこにしたうえでひとりひとり縛り上げた。
そして、降参した鬼の大将から一族の助命と引き換えに宝物のありかを聞き出した桃太郎達は、千人と三千頭がかわるがわる四億個の宝箱を運んでは舟に積み、莫大な金銀財宝を載せた長い長い荷車の列とともに、お爺さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんとお婆さんが待つ故郷へと凱旋した。
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