表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒柳悦郎は転生しない 一学期編  作者: 織姫ゆん
九日目 雨の日
74/181

9-1 いつもと同じ雨の朝

 いつものように朝が来る。

 窓の外ではチチチと小鳥が……。


(あれ?)


 枕元で鳴るピピピピピというスマホのアラームに急かされながら、俺はゆっくりと目を覚ました。

 いつもよりも若干薄暗く感じる部屋の中。

 俺はスマホのアラームを止めるとベッドから出てカーテンを開けてみた。


「ああ、そういうことか」


 サーッと細かい雨が、咲の部屋と俺の部屋の間を遮っていた。

 耳をすませば屋根に当たる細かい雨音も聞き取れる。


「天気予報、今日は雨になるとか言ってたっけ」


 割りと天気に無頓着な方の俺は、それをしっかりと確認した覚えがなかった。

 なにしろそのあたりは、ほぼ咲に丸投げだからだ。


「今日はとっとと起きて、咲の負担を軽くするか」


 いつもなら咲が起こしに来るまでボーッとしてたり二度寝したり、きちんと朝の支度をはじめずにうだうだすることが多い。

 もちろんそういう時間の過ごし方が心地いいからというのもあるが、咲への甘えの気持ちがそこにあること認めなくもない。

 ではなぜ、今日はとっとと起きて咲の負担を軽くするのか。

 それは、雨の日ならではの理由がある。

 まあ、男である俺からしたらよくわからない部分もあったりするのだが、想像がつかないことはない。


 そんなことを考えたりしながら、俺は咲が部屋をノックしに来る前に着替えて1階のリビングへと向かった。


「うわ! おはよう。今日は早いね」


 階段を降りきったところで遭遇した咲。

 早めの起床の俺に驚きの表情を浮かべている。

 どうやら、ちょうど俺を起こしに来ようとしていたタイミングだったらしい。


「おはよう咲。外、雨みたいだな」

「うん。そうみたい夕方には止むって」

「そうか」

「朝ごはんの支度してるから、顔洗ってきて。あと、鉄子さんたち朝のトレーニング明けでシャワー浴びてるからバスタオル用意しておいて」

「了解」


 そこからはほぼいつもどおり。

 若干俺に任せられる雑用が多めではあったが、それは予定通りなので別に面倒ではない。

 なにしろ、そのために早めに起きてきたのだから。


 っていうか、食事当番で入ったあの子、いつの間にかかーちゃんたちの朝のトレーニングに出るようになったのか。

 ゆっくりかもしれないけど、少しずつ夢に近づいてるみたいだな。

 よかったじゃないか。

 脱衣所で遭遇して反射的にビンタはやめてほしかったけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ