5話 公爵邸 パーティ
ここは公爵邸。盗賊リーダーのケリーが公爵のアインに報告に寄った。
「ほう、まさか上手く行くとは思っても見なかった。王女のリリスが退屈してそうなので、搔きまわすだけでも面白いと思ったのだが。しかし、どうやって潜り込んだんだ」
「それが、城壁を越えたところに犬を従えた娘が待っていまして」
「は?犬を従えた?その娘が偶然に夜に城壁の近くに」
「はい。偶然いた模様です。」
王城の犬の飼い主は王女しかいないじゃないか!
「その話。興味があるぞ!続けよ」
「その娘が、警備兵の包囲網を突破してくれて、その娘に案内され部屋に侵入出来ました」
「わはは。それはなんたる幸運。で、他にもなかったか?」
「その娘、どうやら城壁を越えようとしていたらしいのですが、壁を越えることを忘れていたらしく、ロープが無く城壁を見ながら呆然としていました」
公爵は、腹を抱えて笑いだした。
「城を脱出しようとしたけど、城壁越えるのを忘れたとは!それは唖然とするよな」
「その娘は特技の猫の鳴き真似を披露したのですが、仲間が大変気に入って俺達の新入りになりました。」
「その娘が猫の鳴き真似を!実に面白い」
「でかしたぞ!素晴らしい報告だ」
公爵はケリーに銀貨4枚を与えた。
私はとてもウキウキだった。このロープさえあれば、いつだってお城を抜け出して市中に遊びに行ける。お小遣いだってあるんだから!
ドアがノックされた。まさか、バレてないよね。
侍女が、貴族パーティの招待状を持って来た。公爵殿下の叔父上からだ。ふむふむ。このタイミングなら、叔父上にはバレているって考えて間違いないな。口止めの為にも出席するか。
パーティ当日、私はちょっと、いやかなり早めに王城を出発。自ら馬に跨り公爵邸に向かった。
「叔父上!会いたかった」
私達はヒシって抱き合った。
「相変わらず、お転婆さんなんだろう。お城のみんなに迷惑かけるのもほどほどにするのだぞ」
「そんなことありませんわ。最近は某国の皇子のおかげで、部屋から出るのさえも苦労する始末。叔父上のご招待、とても感謝しております」
「それは、私のせいで大変ご迷惑をおかけしている様子。申し訳ない」
「え?」
振り向くと立派な若者が背に立っている。ぎこちなく叔父上に振り向いて尋ねる。
「このお方は、もしや?」
「あはは。そうだよ。皇子だ。私が招待した。リリスは大変魅力ある子だ。私の一番のお気に入りだからね。この皇子はちょっと風変わりだが、信頼できる若者だよ」
よりによって他国の皇子に馬に跨っている姿を見せてしまった。今の私はとてもレディと呼べる服装ではない。しまった。王城の人にしてたら相当怒られる。
「これは大変失礼しました。この様な恥ずかしい姿をお見せし。早速着替えて参ります」
ここは逃げるしかない。絶対に王城の人に言っちゃダメなんだからね。
私は公爵の一室をお借りして念入りにドレスアップすることにした。時間は充分過ぎるほどあるしね。叔父上は、私のために素敵なドレスを用意してくれた。気味が悪いほど、ピッタリだよ。しかも胸に大きなパットが入っている。悔しい。他国の人もいるので見栄を張るのか。ドレスは素晴らしいけど、胸が貧相ってのはダメなのか?私の胸は残念なのか?ちょっとムカついてきたけど、人形みたいに捨てたりしないよ。だって、盗賊が捨てたドレスを探しに来るかもしれないじゃないか。私も盗賊の一味だけど。もうよくわからない。
とにかく、時間をかけてもドレスアップだ。間違っても胸のパットをずらす訳にはいかない。国の権威に関わる最重要項目だ。
よし、パットは絶対にバレない様になったし、会場に入る。
「では、お互いを知る第一歩に柔術で戦いましょう。後から、とんだお転婆娘だって言われたくないですもの!」




