4話 盗賊の新入り
王城脱出作戦は無事上手くいった。でも、そのあと何をしようって考えてなかった。手痛いミスだ。
私は盗賊達に流されるままに酒場に連れて行かれた。
「かんぱーい!」
「今日は新入りのお陰で随分楽出来たな!」
「こんな大仕事、成功するとはとても思えなかったのになぁ」
「ああ、新入りさまさまだ!」
ツッコミ何処は、またもや沢山あるよ。
自己紹介が先だね。
リーダーぽい人がケニー。細いのがヨハンで太いのがベスね。可哀想に犬の名前に似てる。
「私は、リリーと呼んでください!」
「ぷっ。あの馬鹿王女に名前が似てるなっ。頑張っても人間は空を飛べないんだって」
「あの王女は、怖いらしいぞ。なんてったって剣の使い手で柔術も出来るらしい。気に入らない兵士がいると投げ飛ばすらしいぞ!」
「人には特技ってあるものだなぁ。リリーの特技はなんなんだ?」
え?この流れで剣とか柔術とか言えないじゃん。どうしようかな?
「私は猫の鳴き真似が得意です」
「キャハハ。それ、特技って言うか?普通」
「にゃーご」
「おお!上手い。上手い。特技として認めよう」
「面白い奴が仲間になったもんだ」
早速、リーダーが今日の報酬って銀貨1枚を配った。困った。わからない。高いのか安いのか価値が検討もつかない。
「こんなに頂けるのですか?」
「そうだろう。俺たちゃ、悪い盗賊じゃないんだ。出資者がいるからな」
どうやら、高い報酬を貰ったらしい。
「出資者?」
「誰かは絶対に秘密だ。言えない。とある公爵様とだけ伝えよう!」
君達こそ、大馬鹿だよ。公爵はこの国にひとりしかいない。そう、私の叔父上だ。公爵もとい私の叔父上が一番可愛いがっているのは何を隠そう私なんだぞ!
叔父上、一体何を考えているの?
もうちょい頭の良い人達を雇えばいいのに。人は良さそうだけどさ。
「ねえ、普段はどんな事してるの?」
「公爵様がご用の物を用意するのさ。日常品とか薬とか。お金を払ってくださるから、いつもお店で買って届けるけどね」
ねえ、それは使い走りじゃないのか?
「じゃあ、何で今回はお城に忍び込むなんて大胆な事をやったの?」
「公爵様が、いざと言う時は王女を呼び出せって言ってた。王女なら話せばわかるって。トロくて騙せるって事かな?」
叔父上は私に微妙な信頼を寄せているのね。よくわかったわ。まあ、結果的にそうなったけどね。ともあれ、この人達って盗賊なの?なんかイメージ違うよ。
「じゃあ、俺からも質問があるんだ」
「どうぞ!」
この人達の質問なんてどうせたかが知れてるしね。
「あれだけ、見事な段取りをしているのに城壁を越える術が無かったのは何故だ?もしや、忘れたとか?馬鹿なのか?」
『ギクッ』
「まさか。でも、ロープをくれって言ってたよな」
「あの、その。城壁越えることを考えていませんでした!」
「馬鹿なんだな。」
「抜けてるんだ」
「天然か?」
この人達に言われるとすごく自分がダメな人に思えるんだけど。
次回の集合日を決めて私達は別れた。もちろん、城壁を越えるためのロープは貰ったよ。




