戦い終わって
「勝ったのは良いけど。最後に投げる必要あったのか?」
「俺に毒を盛ったり、やる事が卑怯だな」
「フィアンセを足蹴にするって淑女としてどうなのかしら」
「俺よりも卑怯者ってある意味尊敬だ。みんなドン引きだ」
(ちょっと変わった賞賛の嵐だ!)
私は賞賛の声を気にせず、皇子を背負って部屋のベッドに連れて行った。
「皇子、気がつかれたのですか?」
「ああ、負けた!完敗だ。」
「初めてお会いした時を覚えていますか?私はその時皇子に投げられ、成すすべもなく完敗しましたよね」
「ああ。ドレス姿の君を投げた。ドレスが空中で舞って、胸パットがずれてしまった事を良く覚えているよ」
「あの後、悔しくていつか投げ返してやろうと貴方の国まで修練に行ったわ」
「あの時の君の猫の鳴き声は忘れられないよ。君は僕のシャツで顔を拭いたよね」
「リリー。あなたって馬鹿なの?破廉恥な事ばっかじゃない。おおよそ、王女のやる事じゃないのじゃ」
「そこまで、型破りだったとは!もう、嫁に行けんな」
(覚えて欲しくない事はしっかり覚えているんだから)
「ガゼフ、見ていたであろう。真剣勝負に私は負けた。この組織は解散だ。さらにおまえには頼みがある。このお転婆王女を守ってやってくれ。おまえなら安心して任せられる。」
「はっ。しかしこの娘は強い。しかも勝利の為ならどんな手も使う。大事はないと思いますが」
「こんな無鉄砲な王女は他におらん。貴様と素手で勝負しようとしていたんだぞ。頼む。守ってやってくれ」
「はっ」
「私は、公爵と宰相に会わなければならない。イタタ。ん?背や腰も痛めたか?」
(そっか。投げたれた事、覚えてないのか)
「義兄上。リリーったら酷いよの。聞いてよ」
「ぽちゃは黙っててよ。とっても心配していたんだから」
「それにしては来るのが遅かったわ。それほど不自由はなかったけど。それより、あの胸パットはおかしいわ。笑いを堪えるのが大変だったんだから」
「エリナの胸だって、決して型が良いって程じゃないもん」
「それをここで言うのか!破廉恥な王女のくせに」
「リリスとエリナはいつもこんな感じなのか?」
「はい。いつもです」
「お互い似た者同士なんですね」
私と皇子に公爵、宰相を交えて話し合いだ。
「リリス。良く頑張ったね。さすがだよ」
「叔父上。念願の皇子をやっと投げ飛ばしたわ」
「君の願いって変わっているな」
「私としましては、両国の親善及び国内の保安が保てれば、何も申しあげる事はありませぬ」
「我が国が貴国にご迷惑をおかけした事は反省している。許して頂けるのなら、今後は親善を第一に考えたい。」
「皇子のお考えは初めから分かっております。ですから、大きな問題にならない様に王女にお任せした次第です」
「叔父上は初めから、わかっていらっしゃったの?」
「いいや。ただ、リリスなら何とかするだろうって思ってたよ。それより、リリスのやる事が面白くて退屈凌ぎにはもってこいなんだ」
「まあ、ひどいわ」
「王女。この前は私に向かってちっ ってやりましたよね」
「私を投げるために山寺に弟子入りもしたし」
「リリスは可愛い。自慢の姪っ子だよ」
「では、後腐れなく円満解決って事でよろしいでしょうか?王女が捕まえた人はお引き取りください。なるべくなら、国内に入れないで頂きたい」
「わかった。そのようにする」
「リリス。ご褒美は何がいい?ネックレスかな?それとも駿馬か?宰相がいるんだ。なんでも好きな物を言いなさい」
「ご褒美?そうね。宰相を思いっきり投げ飛ばすとか?ダメよね。じゃあ…あのヘタレ盗賊達と自由に遊びたいわ」
「あはは。リリスらしいな」
「私に迷惑をかけない様に。よろしいですね」
「私との結婚話はどうなったんだ!」
私は、今度こそ自由に飛べる!
終わり
続編も考えています。




