ボスとの決戦
「君からのラブレターが来た時は驚いたよ。本物の挑戦状だった。いつかは知られるだろうと思っていたが、余りにも早すぎる」
「貴方がボスなら、もっと手加減してくれたら良いのに!何度も危ない目にあったんだからね」
「僕に八百長をやれって言うのかい。君は傷一つなく潜り抜けたじゃないか。僕の予想を遥かに上回ってね。さすが、国内随一の王家の血を継ぐ人間だ」
「いやいや、頭を持って投げ飛ばされたり、ナイフが刺さったり大変だったんだよ。ただ、貴方の行動は私を追い詰める事じゃないみたいだし、組織を援護するどころか私を援助している。そこが疑問よ」
「僕は組織を潰して欲しかったんだ。ただ、立場的に裏切る訳にもいかないのさ。エリナが君の元に行ったのは偶然だし、プラドを送ったのもスジが通っているつもりだが」
「なにそれ!じゃあ、私任せって事?そんな信用要らないから!」
そこでドアが開いて剣士のガゼフが入って来た。
「ヤコブ、なぜ貴様がここにいる?」
「なんでか、その娘に流されてな。面白い娘なんだ」
「俺は毒を盛られたんだぞ」
「ハハハ。君はなんでもありなんだな」
「皇子。ご無事でなによりです」
「毒はヤコブよ。きっとズルイ事はヤコブが得意なんだよ」
「おい!おまえ。初めからおまえが言い出してじゃないか。俺の剣に毒を塗るって言ってたじゃないか?俺よりも卑怯じゃないか?」
「私に砂で目潰しをしたじゃない!」
「おまえだって目潰ししただろう。都合がいいな」
「くくっ。リリスは相手を選ばず、気が合うんだ。魅力的だ。」
「リリス。どうだ。外で僕と決着をつけないか?今のままじゃ収まりがつかない。君がずっと望んでいた僕との決闘だよ。もちろん手は抜かない。本気で勝負だ」
「願ってもない事だわ」
「ガゼフ。もう良い。私に任せてくれ。王族同士の決闘だ。口出しはせず成り行きを見守ってくれ」
私と皇子は庭に出た。外にはケリー達やエリナもいた。
「じゃあ、やりましょう。決闘よ。恨みっこなしよ」
えっ!いきなり投げられた。動きが尋常じゃなく早い。
私は、一回転して足から降りその力を利用して皇子を投げようとしたが、皇子はうまく逃げた。
「君も修行したんだね。でも僕は君の兄弟子だよ。君の技は良く知っている。残念だが勝ち目はない。」
「柔術は、技のキレが基本と習っているわ!我が国の自慢の柔術を味わいなさい」
今度は私が投げる番だよ。私は皇子を腰で払って投げた。この高さで回転はお得意の無理だ。
げっ、足をついた。受け身も上手いじゃないか?正拳突きのオマケも空を切った。
「今度は僕だ」
回転しようとしたが、皇子が膝を曲げて体制を低くした。
(頭から落とすつもりか!)
私は手を使って辛うじて頭から落ちるのを避けた。
「私を殺す気?少しくらい甘めにしてよ」
「リリスだってさっき正拳突きをしたじゃないか!」
ケリーとベスが話してる。
「リリー?リリス?リリスって王女だよな」
「そういえば、この前、槍持ってる奴が王女とか言ってた」
「じゃあ、親分は王女?只者じゃないって思ってたんだ」
「でも、王女って空を飛びたいとか頭が弱いはず」
「あー。あの日記笑えた。そっか、親分は空を飛びたいんだ」
「親分、頑張れ!でも空は飛べないぜ」
「親分なら、空でも飛べる。」
「親分、今こそ飛べるぞ!」
ムカついてきた。あいつらを先に投げておこうか?
「君の仲間の応援は変わっているな。では、希望通り空を飛ばしてやろう!」
皇子が大技に入った。私は投げられまいと足を皇子の股に差し込んだ。
「きゃ。リリー!はしたないのじゃ」
皇子の投げは不発だったが、私は皇子の背を蹴り高く跳んだ。
そして落ち際に皇子の脳天に踵落としを決め、さらに地面に着地したと同時に腰を掴んだまま背後に仰け反るように投げた。
『ズンっ』
私の綺麗なブリッジが完成して、皇子は頭から落ちた。
「皇子ぃ」
脳震盪気味で意識が朦朧としている皇子を担ぎあげて私はもう一度皇子を背負って投げた。
「やったぁあ。私の勝ち」




