悪党のひとりを捕縛
とある公爵より、ヤコブ退治の許可が降りた。ただし、危険だと判断した場合は即時に諦めて逃げるって条件付きだ。
まずは、ヤコブの足取りからだね。
「なあ、またこの犬連れて来たけど、何か意味があるのか?」
「ペスが匂いを覚えてくれるのよ」
「そうかな?マーキングして消すだけのように感じるけど」
確かにペスの中では散歩って意識しか内容だけどね。
ただ、ペスは今回も不要だった。目的のヤコブは繁華街を堂々と歩いてる。左右に強そうな猛者を連れ、後ろにも子分を数人引き連れている。無理だね。この状態じゃ袋叩きにあうよ。憲兵が手を出せない理由もわかる。
軍隊を引き連れてやっつけるべきだ。
こう言う輩には、逢引の瞬間を狙うとか姑息な手段がいいね。よし、影の薄いヨハン君尾行して調べといて。
「おまえ、なんだ!」
へ?もう見つかった。まったくヘマだなぁ。あれだけ警戒されてちゃ仕方ないか?想定の範囲内だけどね。私は逃げてくるヨハンと敵の間に立ち塞がる。
「なんだ、坊主。ガキの出る幕じゃねえ。すっこんでろ!」
またもや、間違えられた。男娼と間違えられなくて良かったよ。
1人を投げ飛ばす。技のキレは前とは違うんだよ。次の敵は少し警戒してるけど余裕だ。残りは5人。刃物を出して、私を囲んだ。
とりあえず、手間の敵を投げ飛ばして仲間にぶつける。
「このヤロウ!」
背後からダガーを突いて来た。
でーも、大丈夫!意地悪な老師は息を潜めて近づいて来たんだ。声まで発したら敵の位置は丸わかりだよ。逆に投げやすいよ。
「コイツ、背後にも目があるのか?」
あっという間に全員を仕留めた。老師ありがとう。
残るは、護衛2人とヤコブ本人だ。
「何者か知らんが覚悟は出来てるんだな。俺を狙う理由がわからないが」
「オイラは正義の味方だからさ!」
ヤコブめ、私の目を狙って足で砂を蹴った。咄嗟の事で間に合わなかった。視界を潰された。さすが悪党。汚い手を堂々と使うものだ。護衛に良い蹴りをくらい弾け飛んだ。
ちくしょう。やられた。ダメージはかなりある。
よし、訓練の成果を見せてやろうじゃないか!私は目に頼らず、気配で相手の位置を掴む事に専念する。痛みを我慢して投げを打ち頭から落とした。
「見えているのか?」
警戒してくれた。ダメージ回復もできる。
落とした剣を手に取り構える。
とりあえず防御に専念だ。剣筋は早くはないが重い。まともに受けたら腕が痺れる。相手が疲れて来たのを見越して相手の懐に飛び込んだ。剣を腹に刺し、さらに投げた。決まった。相手は動かない。
ヤコブと対面する。先程のダメージからは回復している。ただ、さっきの戦いを黙って見ていたところを見ると自信があるのか、不気味だ。
「ほう。迷わず腹に剣を刺したな。人を殺した事があるのか。ガキのくせに肝が座っている。ただ、おまえの剣では俺には勝てぬが」
ヤコブは両手で2つ剣を構えた。
確かにこんな邪道な剣士は初めてだ。右をを受けたら左で攻撃される。防御出来ないじゃないか。
攻撃が来た。右の剣を払ったと同時に左から来た。気配を先読みした私はバックステップで辛うじてかわす。次々と左右から攻撃がくる。避けるだけで精一杯。勝てないよ。これってインチキだ。
「ちょっと待った。なかった事にしよう。逃げるので許して欲しいな」
「今更、そうもいかないだろう。おまえ、部下の腹に剣を刺したじゃないか。いったい何が目的で俺に近づいた?」
「自分の腕試しかな?あなたに勝てないってわかったよ」
「もう、遅いんじゃないか?」
「冥途の土産に他の仲間の事教えてくれると助かるんだけど」
「どうせ死ぬんだその必要はない」
どうあがいても隙は見せない。体力は無尽蔵にありそうだ。弱点は両腕の届かない場所だ。脚と背が弱点。こんな事なら、いきなり背から斬りつけるべきだった。盗賊だし、卑怯とか関係ないもの。
ヤコブの猛攻に後ずさりを余儀なくさせられる。
あっ。背中に壁を背負ってしまった。もう退がれない。
「もう、終わりだ」
私は砂を蹴り上げ、剣をヤコブに投げた。壁を蹴って最近得意になった空中1回転でヤコブの背に周りこむ。
ヤコブが振り返る。
「もう遅い!」
私は振り返るヤコブの手を取り、投げ飛ばした。さらに追い討ちの正拳突きを喉元に一発。さすがのヤコブも気を失ったようだ。
ヨハンに憲兵を呼ぶように手配し、私はヤコブやその子分達を捕縛し、その場を去る。腹に剣を刺した部下は連行した。
「親分は私がやっつけて捕まったよ。手当してあげるから、ちょっと教えてもらいたい事があるんだ」




