市中 潜入捜査
帰国したら、私の盗賊団のアジトが出来ていた。
アジトは、奴隷売買をしていた貴族の館を公爵から譲り受け、さらにセバスが管理してくれるとの事。この前の秘宝探しの時に悪い盗賊団から寄付してもらった資金もあるし、バッチリだね。
未婚の王女が夜な夜なお出かけするのも体裁が悪いから慎まなきゃだけどさ。フィアンセ公認で市中に外出して良いってのはデカイ。それだけは皇子に感謝しなきゃだ。
あれ?なんだこの絵。明らかに贋作じゃないか!
「この絵画は、みんなで買ったんだ。すげ〜だろう」
お人好しのお馬鹿さん、早速、騙されたな。他にも騙されてる人がいたら大変だよ。調べてみるかな。
私達は、贋作を扱う画商のお店に向かった。
うん、表の絵画だけは本物っぽいけど、後は贋作だね。アジトの絵ほど酷い贋作は無いけど、私には通じないよ。
「表の絵画はおいくらですか?」
「あれは非売品でね。売れないんだ。金貨10枚もする銘品なんだよ」
「俺たちが勝った絵の10倍するのか、すげ〜な」
君達はあのニセモノに金貨1枚も払ったのか!お人好しにもほどがあるぞ!盗賊なら、絵画の1つや2つ盗めば良いじゃないか。
「おススメの絵画がありますよ」
画商は奥から酷い贋作を持って来て私達に見せる。
「この絵もすげ〜な」
確かにすげ〜贋作だ。お人好しにもほどがあるぞ!
「表の絵画に劣らない程の素晴らしい物ですね。ちなみにおいくらですか?」
「金貨5枚のところを2枚でいかがでしょう」
「おお!親分、これは買いですぜ!」
この子分どもに買い物を任せてはいけない。お人好しに大金を持たせるとロクな事にならない。騙されまくる。
「お金を用意してまたお邪魔しますね」
すれ違いに他の客がお店に入った。いや、客じゃないよ。ヤバそうな雰囲気持ってる。私達は路地裏に隠れる。
「親分、どうしたんですか?」
「さっきすれ違った男。相当危ない奴よ。何か裏があるわ。あの男が店から出てきたら尾行するのよ」
「危険な男の後を尾けるって怖いなぁ」
「大丈夫よ。いざとなれば、私が助けるから。まずはヨハン、貴方がやって。すごく離れて尾けるの。見失っても良いから。ヨハンなら存在感薄いから大丈夫だと思うの」
「俺って無口なだけで存在感が薄い訳じゃないんだけど」
「あっ。出て来たよ。私達はヨハンの後を尾けるからね」
男は全く警戒していない。尾行しても大丈夫だろう。男は色街の方に行って男娼のお店に入って行った。
「特殊な趣味の人なのか!」
「多分、あそこがアジトなんでしょ」
「親分。どうする?乗り込むのか」
「いや。まだ情報が足りないし、とある公爵にお伺い立てないといけない。私達が勝手にやっちゃダメよ」
「ここは潜入捜査だよ。さあ、誰が行く?」
「オレ、嫌だよ」「オレもやだ」
「あのね。遊びに行くんじゃなくて情報を集めるんだよ。女の私じゃ目立つでしょ」
「それは大丈夫。髪の毛隠せば、女に見えないって」
仕方ない。私とケリーで男娼の店に行く事になった。
お店の一階はバーになっていて男娼らしき人達がたむろしていた。さっきの男はいない。
私とケリーはカップルを装い部屋を紹介してもらう。
「旦那、いい子連れてるね。お店に譲ってくれない。その子なら、相当稼げるよ」
私って人気の男娼になれるのか?まったく嬉しくないぞ!
二階の部屋に通された。よし潜入に成功したからには情報探るぞ。ヤバ。あの男が出て来たぞ。一緒にいる人見たことあるかも。
うーん。誰だっけ?貴族じゃないな。あっ。憲兵だ。お城の警備で見かけたんだ。
悪党と憲兵が一緒って!私の国って大丈夫なのか?どうなってるんだ。
まあ、手がかりは掴めた。後はあの憲兵に聞き出すかな。王女の肩書きも少し役に立たせなきゃ。王女が男娼になっちゃう。




