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盗賊王女の冒険  作者: こーむー
13/29

他国で武者修行

生まれて初めての他国だ。王都意外も知らない私がいきなり過ぎる感じもする。


皇子自ら国境近くにお出迎え頂いたが、私達が案内されたのは山寺。そう柔術の総本山。願いが通じたらしい。

私ひとりを下ろして一行は近くの街で待つことになった。


皇子わかっているじゃないか。私の手紙が良かったせいだね。早速、修行が始まった。まずは、長い長い廊下を雑巾掛けだ。行ったり来たり、あまり使った事のない筋肉使うんだよね。


次に重いカゴの様な荷物を背負って山寺の階段を昇り降り。まあこれくらいなら普段から鍛えているから良いんだけど。それでも、足と腰の筋肉がぱんぱんだよ。

ただ効果は次の日にやってきた。雑巾掛けで筋肉が悲鳴をあげてる。さすが良くできた訓練だ。頑張るぞ!


特殊なのは階段の登り降りだ。意地悪な師が背のカゴに石を乗せてくる。背後のから気配を感じて避ける修行だって?背中の荷物は大きすぎて見えないんだけど。

登りきる時は相当重い荷物になってるよ。

3日目を過ぎた頃には雑巾掛けで筋肉がブチ切れそうだ。私の怒りもブチ切れそうだ。なんでダメ盗賊を守るためにここまでやるんだって後悔したけど、人の生死がかかってちゃ仕方ない。死なれて後悔したくないし。


段々と気配を感じられる様にはなって来たけど、老師の奴め、気配を殺して近ずいて来やがる。背中越しに集中しなきゃいけないじゃないか!一週間経ったけど筋肉痛は酷い事になってる。老師の意地悪さえかわせれば何とかなるのに!


そう言えば、老師を投げちゃダメって言われてないよね。老師が近づいたところを投げてやろう!ムカつく。

私は背中越しに殺気を放つ。来い!近寄ったら最後だ。今までの恨みを込めて投げてやる!

来た。確かに気配を感じたぞ!私は避けると同時に老師の腕を掴み腰を使って投げた。老師め、得意の1回転で避けた。地面に叩きつけられなかった。悔しい。

「そこまでだ。おまえはここを卒業だ」

「え?私まだ技とか教えてもらってないけど?」


「では、上の広場で待て。組手をしようじゃないか」


背中の荷を降ろすと身体が嘘の様に軽くなった。老師め散々苛めてくれたなぁ。老師の懐にスッと入って背負って投げる。老師は一回転して私を投げた。皇子に投げられた時の再現だ。あっ雑巾掛けの姿勢になったって築いたけど、ドスンって背中から落ちた。

「すみません。もう一度投げて貰えますか?」

二度目はタイミングがわかった。クルッと一回転して足から着地出来た。


「そなたはなかなか良い才能を持つ。ここを出ても己を鍛えろ!修行はこれにて終了だ」

「ありがとうございます。これで私は後悔しなくて済みます」

「なんと?」

「私のせいで仲間が死んだらとっても後悔すると思うんです。仕方ない場合もありますが、私に出来る事をやっておきたかったんです。ちょっと傲慢ですけどね」


「そなたがそこまで考える必要はあるまいて」

「私の子分は弱いくせに私を守ろうとするんです。私がもっと強くならないといつか死人が出ちゃうって思って。とってもお馬鹿でお人好し過ぎる子分を持つと大変なんです」

「よくわからないが、励めよ」

「はい。ありがとうございます」


山寺を降りたら、皇子からのパーティ招待状が待っていた。少しは王女らしい事もしなきゃだね。

会場に着いたらドレスまで用意されていた。やっぱり胸パット付きだった。なんか馬鹿にされてる気分なのは気のせいかな?


会場では、他国の王女と紹介されて少々照れくさいぞ。優雅に振る舞う様に気をつけて、皇子とダンスを踊る。

「我が国の武者修行はいかがでしたか?」

「貴重な体験が出来ました。もう、皇子には負けません」

「それは、それは。今度ドレスを着てない時に勝負しましょう。胸パットがずれてしまいますので」

「私としては、今この場で成果を試したいものです。しかし、その礼服を汚してはいけませんものね」

「強気ですね。それだけ、得たものが大きかった証拠。良かったです」


「それと、奴隷売買の件でお礼を言いたい」

「なんのことでしょう?」

「我が国でも困っておりまして、他国の貴族が相手では国際問題になりかねない。感謝です。柔術使いの正義の少年っぽい小娘って事なら、貴女しかいないでしょう。ぷっ。少年と間違えられたのですね」

「なんか、馬鹿にされてる気がしますけど。投げちゃおうかな」

「盗賊をやっつけたのも貴女でしょう?だから、我が国に武者修行に来た。行動が自由になった途端に大活躍ですね」


「私は貴方を投げ飛ばす訓練に来ただけですわ」

「まあいいです。公爵様から伺ったのですが、貴女は猫の鳴き真似が得意だと聞きました。どんな風なのでしょう?聞いてみたいものです」


「にゃーご」

「ぶはっ。似てる。最高だ。ちょっと失礼」

皇子は笑いが堪えられなかったらしい。


ちょっと!吹き出した時に唾が私の顔にかかったじゃないか。とても紳士的じゃないよ。私は皇子のシャツで顔を拭く。

なんか、会場の皆様が変な誤解をしてしまったぞ。まあ、投げ飛ばすよりは体裁がいいけど。仲睦まじいと勘違いされた私は、大歓迎された。

「皇子と王女はどんな話をしていたのですか?」

「柔術の話で少々盛り上がってしまっただけです。皇子は立派な方ですが、私はまだ皆様がお考えの様な仲ではございません」

「皇子があのように楽しそうにしていらっしゃる。貴女は女神に違いない!」

(顔についた唾を皇子のシャツで吹いたって言ったら国中が敵になっちゃうよ)


あっと言う間に帰途に着く事になった。帰りに皇子に呼び止められた。

「王女。君に宿題だ。この本の内容を覚えておくんだ」

お国の歴史と伝統、慣習についての本を渡された。

「君は我が国の事を知るために来たって事になってるんだろ。精々頑張って覚えとかないと国に帰って大変だぞ」

「余計なお世話をありがとうございます。」

「今度はゆっくり来てくれ。ついでに悪いヤツをやっつけてくれ!」

「にゃーご」

「あはは。君は最高だ!」



「師匠。あの娘はどうだった?」

「何か他人を守るために来た様子。真っ直ぐな娘で技の修得も人並み以上のものでした。」

「厳しくしたのだな。手は抜いておらぬな」

「それどころか、背中越しに私に向かって殺気を放ちました。いやあ、私は殺気を放たれたのは初めてにございます。」

「やはり、只者ではなかったのか!」

「はい。いろんな意味で規格外ですね」



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