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盗賊王女の冒険  作者: こーむー
12/29

武者修行を心ざす

今回は、ベスを大至急医者に連れて行く事にして私もお城に戻った。特に騒ぎになっている訳でも無く、忘れられていたのか?って雰囲気だ。


直ぐに部屋に戻って着替え、ペスの怪我の具合を確認する。ちょっと血が出てるかな。軟膏を塗ってあげるけどこれって犬に効くのかな?まあいいや。たくさん、撫で撫でしてあげるからね。ペス、ありがとう。私が無事に帰れたのはペスのおかげだよ。


それにさ、あのお人好しの盗賊もどき達にも感謝だね。あんなに震えて怖がってたのに、よく戻って来たね。嬉しいよね。こういうのは。勇気をもらったよ。ヘタレのくせに、何も出来ないくせに!敵に石を投げてくれた。私に当たったけど。


私は、柔らかな気分に包まれたまま、その夜は眠りについた。

次の日、ペスを獣医に連れて行ってみんなと会った。

「おう!犬も元気そうじゃないか」

「ベスも安静にしてれば直ぐに治るらしい。大袈裟なんだよなぁ」

「良かった。良かった」

「で、どうする?あのお金」

「とある公爵殿下に委ねるのはどうかしら?大金持っててもロクな目に遭わないよ」

「おお!賛成。公爵様なら信用できるし」

「俺たち公爵様の依頼で動いてるんだし当然だな」

「さすが親分。ぐっじょぶだ」


「じゃあさ、ベスの身体が治るまでちょっとひと休みかな。とある公爵様にもお金の事とか説明しといてね」



私もやらなきゃいけない事があるんだ。


私は父上に面会を申し込んだ。

「リリス。改まって面会とは何用だ」

「はい。私は今、世間知らずの未熟者を痛感し、もっと世を知ろうと心掛けております。それ故に、某国に大変興味を持ちました。一週間でも結構です。某国の様子をこの目におさえたいと思い、お願いに参りました」

「ふむ。是非もなし。皇子の国へ行け。そなたの考え天晴れであるぞ!くれぐれも無事に帰ってくるのだぞ」

「ありがとうございます。しかと承りました」


私は早速、皇子に手紙を書いた。

「何卒、貴方の柔術の師に教えを請いたい。仲間を守りたいのです。どんな厳しい訓練にも耐えますのでよろしくお願いします」みたいな内容を今度は自分で書いて送った。


受け取った皇子は大笑いをしたらしい。

「これは脅迫文かそれとも私への挑戦状なのか?おおよそ、王女がフィアンセに当てる手紙とは程遠いものだ。面白い。こんな手紙は初めてだ」

「恋文とはかけ離れておりますな。武芸の師に弟子入りを願い出るような鬼気迫るものを感じます。皇子、どうするのですか?」

「それはもう、望みどおり厳しくやってくれ。この王女は私を投げたのだぞ!しかも、私に投げられてケロッとして再戦を望んできた。根をあげるところが見たいものだ。あはは」


「皇子がそう言うなら、真髄を教えましょう。国際問題になっても知りませんからな」

「よいよい。この王女は何か違うのだ。楽しませてくれる」



公爵はケリーを呼びつけて話を聞いていた。王女が自ら某国に行くと言い出した訳を知るためだ。

「親分は、俺たちを逃がすためにひとりで敵と戦ってくれたんです。さすがに多人数相手にひとりで戦うのは無理があったようです。」

「おまえ達はどうしたんだ?」

「親分ひとりを置いていけないって事で助けに行ったんですがね、対して役に立たなかったです」

「それは仕方ない。親分は武術を学んでいるんだろうよ」


「仲間の一人が怪我をして親分が猛烈に怒りました。それなりのショックを受けたんだと思います。親分はあれでとても心優しい人なのです」

「仲間を守る強さでも、求めたか?」

「あまり自分の事は話しませんし公爵様のことも、とある公爵様と言って詳しく聞きません」

「くくっ。とある公爵様と言ってるのか?なるほど、興味がないんだ。放っておきなさい。今はおまえ達を守ることに夢中なのさ」


「俺たちは親分に頼ってばっかで。石を投げたら親分に当たっちゃうし」

「王女に石を投げ…いや自分らの親分に石を当てたのか?」

「親分が指示をしたんですが、親分に当たっちゃって。親分が私に当てないでって言ったのに」

「まあ、それはそれで可笑しいから良いがな。なんとも…」


(リリスは武者修行のつもりか?それはそれで良い事だけど、わざわざ皇子の国に行くか?全く行動の原理が読めない娘だよ)

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