少女と恋人の再会
魔王の元で暮らすようになり、わかった事がある。
伴侶だと説明を受けたのだが血縁関係を繋げて見れば
魔竜騎士のジェインはクリスティアと母違いの兄妹だったということ。
年齢が同じなのは数日違いの誕生だったからである。
互いの母の違いそれは人間と竜族だったということだった。
兄妹ということがわかっても彼女とと彼の関係は変わらなかった。
ジェインはクリスティアを守ると彼女の騎士となり、クリスティアは魔王の味方として戦うことを決めた。
必然的に魔王軍の姫騎士となった。
幼少期を過ごした国ではあっても、特別な思い入れはなかった。
今では魔王の左腕である父の補佐まで抜擢された。
そうなるまで二年という時間を要いた。
クリスティアの背中には大きい太刀傷が残っていた。
仲間と思っていた者達に捨てられた際に追っていた傷である。
「……ねぇジェイ、彼らは弱くなったの?」
「君の力による加護があったから彼らは傷を負うことは少なく済んでいた、でも君の次に選ばれた勇者の彼女にはその加護はない、だから必然的に負傷は増えるだろうね」
「……ねぇワイ君、君らの部隊で投擲、ゴブは彼らの足止めと分担…あれは…新しい勇者一行?」
「ここの指揮は任せて行っておいで、彼らの力どんなか見てくるといいよ。」
二年という時間が経ち、力を増した魔王を倒すために再び、勇者一行は旅たち、魔王が支配する領域まで侵攻してきていた。
新しい勇者にはあの時聖剣に一緒に触れていたレティシア。
彼女は17歳となり、ほかの仲間は依然と変わらなかった。
クリスティアからすれば、復讐をするいい機会であるし、再会することでどう反応するのか楽しみでもあった。
ジェインに軍の指揮を任せて、クリスティアは、分担された勇者一行のジェイクとシスターミレイアがトロールやオークたちに追い詰められている崖に足を進めた。
ジェイクが牽制するように、剣を振るい、怪我を負えばミレイアが魔法で治しとその繰り返しをしていた。
クリスティアは木の陰からその様子を眺めていたが、なかなか進まない戦況に息を吐いて進んでいく。
「お前達、いつまで手を焼いている?相手は二人だろう?回復魔法を使う女を狙うんだ」
『グガ、ヒメサマ。コイツラ…テゴワイ…ナカマコロサレタ…』
「また新しく仲間は生まれるから、落ち込むな…さっさと女を殺せ」
「くっ、ミレイア。正面突破は…難しそうだ…、こんな所で死ぬわけにいかないのに…まだ方法を見つけていない…クリスティアに…また会う為に…こんなところで…」
ジェイクの口にしたことで、クリスティアは、剣を抜き、彼に切りかかる。
全身赤い鎧で、兜を被っていて、彼にはクリスティアだとは気付かれてなかった。
二年前に見た、竜族の女と抱き合っているジェイクの姿が忘れられず、首にネックレスとして身に着けていた鱗の色の変色には気づいてなかった。
クリスティアは旅を始めた当初は剣の扱い方がわかってなく、ジェイクによく稽古をつけて貰っていた。
剣を交えていく中で、クリスティアの癖でもある剣に手を添える構え方する赤い鎧の敵に彼は目を見開く。
愛しく再会を願う彼女ではないかと錯覚するほどに…。
クリスティアは一度も、ジェイクに勝った事はない。
今回もやはり感情に煽られて逆に押され始めてしまう。
「ミレイア。今のうちに逃げるんだ!!俺はあとで追いかけるから!!」
「わかったわ、ジェイク、無茶しないでっ」
「…クリスティア…君なんだろう?その構え方、俺と稽古していた時と変わらないね…剣を収めてくれ君とは戦いたくない…」
「………」
構え方を見ただけで気づいたジェイク。
しかしクリスティアは何も答えなかった。
仲間と共に置き去りにして去ったこと…それが彼女を深く傷つけていた。
いくら彼なりの理由があったとしてもそれは変わらない事実だった。
剣がぶつかり合う音を響かせて、二人は敵対し続ける。
打ち合っているうちにクリスティアの県が弾き飛ばされて互いに呼吸を荒くしながら見つめ合う。
弾き飛ばされた際に尻餅をついたクリスティアにジェイクが手を差し出す。
「また俺の勝ち…はぁ…っクリスティア…どうして君が魔王の味方をしているんだ…」
「………私を助けてくれて…生きることを許してくれたからだ…お前らはハーフだから長く旅をしてきた仲間でも簡単に捨てた…ハーフの存在を認めない奴らなど…救う義理はない!!!」
「待ってくれ!それは…人間たちの世界の考え方で…竜王も獣王も聖王もハーフはどの種族にも誕生する、迫害することは間違っていると…迫害するのは古い考えなんだっ。今は変わってきてる、竜王の収めるガレリシアに来てくれ!君の救いになっ…「クリス!!飛べっ」あっ…待ってくれ!!クリスティア!!」
「黙れ、お前などが彼女の救いになるものか…偽善者め…オークども奴を追い出せっ!!」
なぜ、勇者として戦ってきた彼女が魔王に味方をしているのかジェイクには理解できなかった。
しかし、世界の考え方が…ハーフに対しての考え方が異なっていて迫害をするの人間だけだと伝えてくるジェイクはクリスティアとは戦いたくなかった。
二年という時間が空いてしまっていても彼女のことを愛していたから…
勝負に負け、武器を持たないクリスティア。
ジェイクは近付こうとする中で上空に大きな影が覆う。
勇者一行が撤退をしたことで軍に帰還支持を出したジェインが竜の姿となり、クリスティアを迎えに来たのだ。
飛ぶように声をかけた後、彼の背に乗り、オークたちにじりじりと追い詰められているジェイクを上空から黙って眺める。
彼女に対してまだジェイクは言っているよだが、離れてしまい聞き取ることはできなかった。
遠ざかっていくクリスティアに手を伸ばすだけで、思いは通じなかった…。