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俺のモテ期がなんか思ってたのと違う  作者: 佐土原いづる
13/30

13話

「ひなぎく……まり?」


「そうだよ♪」


え、まじか! 今、目の前にあのデイジーマリがいる!?


「あれ? でもあの日と印象が違う気が…」


初めて会った時はこんなオーラをまとっていなかったような。声は一緒だけど


「おー、さすがだねー。ささ、この辺でくつろいでよ」


ソファをポンポンされ、促されるままに座る。


「コーヒーでいい? いや、紅茶の方がいいかな」


「じゃあ紅茶で…」


「なによ、さっきから借りてきた猫みたいにして」


「ビックリして。頭が追いつかないよ」


「ふふ、そんな顔してる。ちょっと待っててねー」


そう言うとどこかへ言ってしまった。


ちょっと待っててって言われてもな~


家をジロジロ見るのも良くないかなと思い、スマホを取り出してゲームを起動する。


あー、集中できない





(ゲィム オィバー)


「げっ」


「見事に負けたね」


「見られちゃった」


「たまたま目に入ったの。はい、紅茶ね。砂糖はもう入ってるから」


「あ、ありがとう…って」


雛菊 鞠と目が合う


「そう、私のすっぴんはこっち。これが本当の姿だよ」


はじめてコンビニで会った時の冴えない女性がそこにいた。


「だ、だいぶ印象変わるね」


「でしょー。目を少しメイクすればもう別人だから」


「まぁ、そうなんだけど。…ふぅ」


「なによー、幻滅した?」


「いや、ほっとしたんだ」


「どういう事?」


「雲の上の存在だと思ってたけど、思ったより身近に感じられたから」


「ふふ、当たり前でしょ。私も3年前までただの地味女だったんだから」


「そっか」


「そうだよ」


「……あれ?でもどうしてこんな所に住んでるんだ? 東京なんじゃ…」


「ふふ、前は東京に住んでたんだよ。でも、マスコミとか激しいファンとか、そういうの気にするの大変になっちゃって。まぁ、この顔で歩いている分にはバレないんだけど、仕事終わりとか、家からとか、ずっと張り込みされるとさすがに感づかれちゃうからさ…」


そう言いながら紅茶を飲む彼女。こうやって見ると普通の女性だ。


「ここから東京はちょっと遠いけど、けっこう気に入ってるんだ~」


「俺も最近引っ越してきたばっかなんだ。でも嫌いじゃない、この街」


「だから、この事は誰にも言わないで欲しいな」


「命令しないんだね。普通は”絶対に言うな”って念押ししそうだけど」


「そんな事言ったって意味無いじゃない。それに、今回はバラした私が悪いんだし」


「そ、そうだよ。どうして簡単に言っちゃったの?」


「私、こう見えて人を見る目はあると思ってるんだー。君は初めて会った時から大丈夫な気がしたの、なんとなく。この顔の私に親切にしてくれたし、けっこう気に入ってるんだよ?君のこと」


「そう?」


「じゃなきゃこうして自分の部屋に呼ぶわけないでしょ」


「そ、そっか…」


「さっきからリアクションがうす~い」


(こっちをじーっと見ないでくれ!)


「だ、だって。目の前に雛菊 鞠がいるんだよ!? しょうがないじゃん!」


「そっか、君、私の曲聴いてくれてるんだったね」


「うん、毎日聴いてる」


「お気に入りは?」


「君は私のスターライト」


「いいね♪ 私も気に入ってるんだ。ふふっ」


「どうしたの?」




「君は~♪私の、スターライト!」




「う、うわぁ!本物だ!」


「本物だからね!」


「すげぇ…」


「やっと良い反応してくれたね」


「前も言ったけど、ほんと良い声」


「ありがと♪」


「////」


やばい、これ以上ここにいたらもってかれる!相手はスーパースターだ、お近づきになろうなんて100万年早い存在なんだ!


「おお、お、俺はそろそろおいとまするね! 紅茶おいしかった、ありがとう!」


「え~、もう帰るのー?」


「無茶言わないでくれ、こっちはもういっぱいいっぱいなんだ」


「そっか~。じゃあさ、ライン交換しようよ」


「えー!? いや、君は超人気歌手なんだよ! そんなの事務所とかが…」


「いいの! ほら、早く!」


相手の勢いに押されてスマホを取り出す



ピロン♪



「むらたー、みちこ?」


「ふふ、さすがに雛菊 鞠名義じゃ無理でしょ」


「そ、そうだよね。アハハ…」


「小山 新くんか、良い名前だね」


「そうかな?」


「うん、そうだよ。じゃあまた、気が向いたら連絡するね」


「う、うん。じゃあ」


そう言ってマンションを後にする。



俺のスマホに、、雛菊 鞠の連絡先だとぉぉおお!!


その夜眠れなかったことは言うまでもない。

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