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俺のモテ期がなんか思ってたのと違う  作者: 佐土原いづる
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1話

他小説サイト用の作品の投稿となります。どこまで更新できるか現状不明です。

モテ期、それは人生に3度訪れるという文字通り異性にモテる時期のことだ。


しかし、そんなもの本当にあるんだろうか?


今まで全くモテたことの無い男がある日突然モテるようになるなんて信じられない。


モテる男には特徴がある。顔、顔、性格、運動神経、顔、そして顔。


モテる男はどこに行ってもモテるし、モテない奴はどこに行ってもモテない。


そう思っていた…。



俺は親の仕事の都合で、先週の2学期スタートから別の高校に転入した。別に前の学校でトラブルがあったわけじゃないし、イジメもなかった。ただ女っ気が全く無かっただけ。


こっちでも良い感じの友達を作って、良い感じに勉強しながらあと約1年半過ごせればいいかな。彼女なんて夢物語は…あがいたってどうこうなるもんじゃないし、考えるだけ無駄だ。


でも



こっちに来てからというものクラスの女子に色々と話しかけてもらえる。転校生という物珍しさからだと思っているのだが、それにしても少し距離感が近い子が数人。なんだけど……


そんなこんなで登校し、教室に入る。


鞄を机の上に置くと、隣の男子生徒()が声をかけてくる。


「新くん、おはよう♪」


「お、おはよう」


「今日の数学の宿題、1問だけわからない所があって…。教えてもらってもいいかな?」


「うん、いいよ。どこ?」


「ここなんだけど~」ズイ


くそ、良い匂いだ! 


今俺の横にいる男子生徒()は多田ただ ゆう。この男は学ランを着ているものの顔は物凄く女子に近い。


長いまつ毛にクリっとした目、肩上くらいまである髪に細身なスタイル、そのビジュアルはそんじょそこらの女子を遥かに凌ぐ。


本人も「大人になったら女の子になるんだ♪」と豪語しており、あまりの可愛さに学年中の生徒、更には先生までもが容認してしまっている状況だ。


更にさらに、元が男だからか男が弱い仕草、言葉遣いを熟知しており、落とされた男は数知れず。俺としても、頭ではわかっていてもキュンとしてしまっている、手強い奴だ。


「ここは、こうやって……ほら、簡単だろ?」


「うわぁ、新くんすごーい!めっちゃわかりやすいし、僕の家庭教師になってよ!」


「嫌だよ、てか近いって」


「いいじゃーん♪ 近くても嫌な気分にさせないように香りには気を使ってるんだから!」


「う、うん、良い匂いだよ」


「でしょ~!」


「だから近いって! ほら、早く戻れ!」


「ちぇ~」


ぐずりながら席に戻っていく。ふぅ、油断したらあっという間に持ってかれそうだ。



「ちぃーっす、新」


「おう、おはよう。のぼる


「まーたユイに迫られてたのか、お前ファンの男からするとかなり羨ましい奴だぞ。」


「まだ転校して1か月経ってないんだ、ついていけないって」


「まぁ、だろうな。ところで新、すまん英語の宿題見せてくれ」


「またかよ、いいけど。ほら」


「センキュー♪」


俺の宿題を受け取ると黙々とうつしだした前の席の男は朝日 昇。転校初日から俺と仲良くしてくれて、この学校、クラスについて色々と教えてくれた。裕のことを教えてくれたのも昇だ。


なぜ昇が裕の事をユイと呼んだのかというと、裕本人が自分のことを女呼びでユイと呼んでいるからだ。裕と呼ぶと怒るらしく、みんな暗黙の了解でユイと呼んでいるのだ。



そして、今度はかなり目を引くカップルが教室に入ってくる


クラス1のイケメンでサッカー部でも人気の足立あだち 隼人はやとと、学年でもトップレベルの可愛さ、クラスのマドンナ天野 めぐみだ。美男美女、文句の付け所のないカップルだ。


2人は教室に入ると何食わぬ顔でお互いの仲間のもとへと向かい、楽しそうに話し始める。誰も何も言うことはない、むしろ「お前はほんと勝ち組だよなー」と称賛の嵐だ。


転校したての頃に自己紹介で2人と話したが、爽やかなボーイアンドガールだ。キラキラのエフェクトを全体に付けてあげたいくらいだったな。


「知ってるか? 天野めぐみは危険らしいぞ」昇がジュースを飲みながら言う


「へぇ、そうなのか?」


「あのユイが警戒するくらいだからな。あいつは男でも女でもすぐ仲良くなれる、ユイですら当たり障りのない会話が限界だって言ってるぞ」


「まぁ、俺らに何かしてくることはないだろ。彼氏もいるんだし」


「どうだろうな~」


そんな事を話していると、ホームルームのチャイムが鳴った


--------------------------------------------------------------------------------


時間は飛んで放課後、部活に行くクラスメイトがそそくさと教室から出ていく。


俺は帰宅部だ。一応、親からはここで卒業まで暮らすと言われているが、また転校する可能性が0ではないという理由で部活に入るのをやめた。本音を言えば何かやりたかったが、2年の2学期から新しい部活に入るのは気が引けた。


昇は家業があるらしく、用がある時はけっこう早めに帰ってしまう。ユイは帰る方向が逆で、一緒には帰れない。


「今日は、、わりぃ」


「あぁ、別にいいさ」


昇がばつの悪い顔で帰っていく。そして、この放課後こそが転校してきて最初の悩みの種なのだ。


「新くん」


「あぁ、大森原さん」


「帰り道同じでしょ? せっかくだから一緒に帰ろうよ」


「う、うん…」


大森原おおもりばら 花子はなこ。俺の転校初日、帰り道が同じだという理由で街案内も兼ねて一緒に帰ってくれたクラスの女子生徒。それからというもの、放課後は学校を出て1人になるとすぐああやって声をかけられ、一緒に帰っている。


これだけだと普通の親切なクラスメイトだ。これだけなら。これだけなら。


ただ!


ただし!!


大森原さんはとてつもなく”あれ”だった。


例えるなら、そうだなー。お笑い芸人のハリマンボンの細身の方の顔面を更に10発殴りつけたような顔をしている。


転校してすぐは優しい人だなくらいだった、それが最近はあたかも友人、なんなら彼女でもと言わんばかりに馴れ馴れしくなってしまった。いつの間にか名前呼びだし…。


昇が大丈夫な時は一緒に帰っているんだけど、忙しい時は無理らしい。しかも、賢い事に大森原 花子は教室では接触してこず、帰り道で俺が1人なのを確認してからの奇襲を仕掛けてくる。くそ!何て奴だ!


でもしょうがないだろ!転校初日にはわからなかったんだ!無理だって!


これが美少女だったらなんてバラ色の高校生活になっただろう…。


これがせめてユイだったら、どれだけ楽しかっただろう…。


こんな事を言ったら失礼なのは百も承知だ、お前が人の事言うなっていうのもしょうがない、全てのカルマを背負ってでも言わせてくれ…。キツイと!


そんな心の叫びもむなしく、俺はずっと苦笑いをしながら大森原 花子と帰るのだった。


※この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。


P.S:2話以降は文字数が減り、大体1500字前後で投降していく予定です。

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