目も当てられない夫婦
目も当てられない夫婦
「僕と結婚して下さい」
「はい。喜んで」
彼女にプロポーズをしたのが五年前。
友人らの協力によるフラッシュモブを行い、派手なものにした一世一代のプロポーズは、無事成功を収めた……の、だが。
それから毎年だ。結婚記念日や誕生日が近づくと、妻は何かを期待する眼差しで、ちらほらこちらを伺い出すのだ。
それだけならいいのだけれど、プロポーズ後の僕の誕生日。彼女はプロポーズで僕がしたことをやり返してきたのだ。
以降、毎年のようにやってくれる。手を変え品を変え。
確かこの間は、宅急便が来たと思ったら、箱の中から妻が飛び出してきた。
それで、「プレゼントは私よ」とか言うのだ。
こんなことをやられたら、僕が何もしないわけにはいかない。
妻の誕生日は一ヶ月後。早いとこネタを決めて、手回しをしないと間に合わない。
さてはてどうしたものか。まさかあのプロポーズがこんなにも後をひくものだったとは。
成功した後の妻の喜ぶ顔を想像しつつ、僕はネタを考えた。