ハンター試験
地獄のトレーニングを始めて3年が過ぎた頃。
「とりあえず、お疲れ様。」
「残り2年だが、、、。」
「木を切ってもらう。」
「木を切る?」
「そうだ。この斧で森の木を切ってこい。」
父さんの手には、かなり大きめの斧があった。
「冗談でしょ!?」
地獄は終わりだと思っていた俺が馬鹿だった。トレーニングは始まったばかりだったのである。
「お前には力がない。下半身の使い方もわかってない。だから木を切ることで使い方を覚えろ。」
今までのトレーニングがどれほど楽だったかを思い知った。手の皮はめくり上がり、全身から吹き出す大量の汗。手から血が滴り落ちることもあった。でも俺は負けなかった。こんなに辛いはずなのに何故か嬉しかったのだ。前世ではこんなにも父にみてもらっことがなかったからだ。あっという間に2年が過ぎた。俺は見違えるほど成長した。自分で言うのもなんだが。
ハンター試験当日
「今日、ハンター試験だな。落ち着いて、今までやってきたこと全て出してこい。」
「あなたならやれるわ。ユリアス。」
「父さん、母さん、、、行ってきます。」
ハンター試験会場にて
「今からハンター試験を始める。私はハンター試験の進行を務める。A級ハンターのルークだ。」
「「おいおい、ルークってA級序列5位のハンターじゃねーか」」
「「マジかよ!すげーじゃん。」」
「静かに、、、試験の手順を説明する。」
「基礎体力テストと実践テストの2つの総合点で合格者は決める。基礎体力テストは5種目50点、実践テスト150点の200点満点だ。」
「今回の試験者は5000人、合格者は100人とする。その他順を追って説明する。以上だ。」
無事基礎体力テストは終えた。50点中40点だった。悪くない成績だ。次は実践テストか。何をするのやら。
「全員終わったな、次は実践テストだが。君たち一人ひとりで戦ってもらう。1人につき3試合行い。そこで点数をつける。決して勝ち負けを見るわけではないから、注意するように。」
初めてかもしれない、父以外の人とやり合うのは。俺は自分の力を試したくて仕方がなかった。
3試合が終わった。結局のところ、俺は強過ぎた。相手の攻撃を一発も食らわず、3勝したのである。
驚いたのは、剣を振る速度だ。自分でも信じられないほど速くなっていた。あれのおかげか。俺は200点中190点と見事合格を収めたのであった。
家にて
「父さん、母さん合格したよ。」
「おめでとう、ユリアス。」
「当然だな、あそこまでやって受からないはずがない。」
「あなた、そんなこと言わずに素直に褒めてあげなさいよ。」
「ああ、おめでとう。」
晴れてD級ハンターとなったのであった。