本
掲載日:2016/11/01
本を読むことに集中していた
とても気分が良くなる
なぜなら、文字が躍るように言葉を紡ぐから
言葉は紡がれ、文となる
インクと紙の優しい匂いが鼻腔をくすぐる
不意に窓から鳥が舞い降りてくる
本の間に白い羽の栞ができる
私はそのことに驚いた後で少し微笑み
小さな羽の栞をそのままにし、本を閉じる
鳥は歌を囁いて、空へと飛んでいく
私はそこにあったはずの存在がいなくなったことに
少し悲しみを交えて、注がれたばかりのあったかいレモンティーのカップを手に取り、飲んだ
穏やかな風景を横目で見た後、私はまた本を開いた
そこにあったはずの羽がなくなり、代わりに白いひもが栞となっていた




