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ウオーター  作者: 竹仲法順
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第81話

     81

 一日の仕事が終わると、一安心し、キッチンで夕食を作る。取ってから、温めのシャワーを浴び、髪や体を洗う。疲れていたのだが、入浴して読書する。本を読みながら、思っていた。夏も終わりだと。また、幾分暑さが戻る可能性もあるのだが……。

 午後十一時になり、安定剤を服用してベッドに潜り込む。すぐに寝付いてしまって、明け方に一度目が覚めた。トイレに行って用を足す。そしてベッドに入り、また眠った。晩夏だ。夜も朝方も涼しい。八月半ばぐらいまでの暑さはもうない。

 午前七時に起き出し、洗面所へと向かう。蛇口を捻って水を出した。無色透明の冷たい水が出てきたので、顔を洗う。歯を磨き、髭を綺麗に剃って髪を整え、キッチンへと入っていく。コーヒーを淹れて飲みながら、ヨーグルトで朝食を済ませた。

 パソコンを立ち上げて、キーを叩き始める。仕事中一定の緊張感はあるのだが、在宅で業務をこなすのも大変だ。別にそう気に掛けてなくても、心労は重なる。何せ仕事内容の指示は電話かメールで、だ。どうしても心は疲れてしまう。もちろん、内向的で人付き合いの苦手な俺に、一般の会社での対人関係を交えながらの仕事は無理なのだが……。

 キーを叩き、データを入力していく。腱鞘炎で掌や腕が痛い。鎮痛剤やエアーサロンパスを使いながら、痛みを抑え込んでいた。ずっと続くのだし、なかなか治らない。

 昼になり、自炊して食事を取った。ふっと思う。以前街で起きた、三十代女性の交通事故死事件は一体どうなったのかと。仮に瑞子が車に撥ねられて死んだとして、霊が俺に取付くことはあるのか?また下半身のない幽霊が訪ねてきたら、玄関のドアを開けるべきか?それとも……?自分自身でもノイローゼになりかけているのが分かっていた。

 昼食のチャーハンを皿から掬い取る時、スプーンを持つ手がガタガタと震えてしまう。どうしようもなく……。(以下次号)


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