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ウオーター  作者: 竹仲法順
75/83

第75話

     75

 その日も午後五時まで仕事し、作ったデータを保存して、パソコンを閉じた。そしてキッチンで夕食を作り、取る。相変わらずだった。何かと疲れている。食事後、入浴して汗を流し、その後、読書した。

 午後十一時まで本を読んだ後、安定剤を服用し、ベッドに潜り込む。今年の夏は不眠症がひどい。夜蒸し暑いからだろう。別にそう気にしてなかった。単に夜間寝苦しいだけだ。それに中途覚醒するのだが、なるだけ二度寝して、寝不足をカバーする。

 また朝が始まると、緊張感が出て、自ずと目が覚めた。午前七時には起き出し、洗面所へと向かう。蛇口を捻り、水を出した。無色透明の普通の水で顔を洗う。赤黒い血の水の記憶は遠のいた。おそらく、この水道からはもうそんな水は出ないだろう。気に病んでいたことが一つ減った。

 髭を剃り、髪も整えてからキッチンで朝食を取る。コーヒーとヨーグルトで済ませた。リビングでパソコンを立ち上げ、メールをチェックした後、キーを叩き始める。慣れていたのだが、さすがに疲労は伴う。それにこの先、この手の仕事が続くかどうか、不安なのだし……。

 だが、ネットさえ使っていれば、月に十万とか二十万は余裕で稼げる。基本的にネットビジネスに精通しているのだ。元々違法地帯なのだから、何でもありである。そう考えると、普通に働きに出るのがバカバカしくなる。実際俺だって対人コンプレックスの類はあるのだが、ちゃんと作業した分だけ、リターンが入ってくる。その辺りにいる勤めの人間よりもよほど甘い汁を吸っていた。

 でも、美味しい話には必ず穴がある。それは事実だった。危ない橋を渡ることもある。何せ、ツイッターなどのSNSは実名が晒され、個人情報の宝庫だ。何をされるか分からないこともあった。普段からだいぶ気を付けていたのだが……。

 仕事が続く。途切れることなくずっと。そして俺自身、だいぶ疲れていた。ネット社会と現実社会の区別が付かなくなっていて……。病んでいる兆候なのだろう。ずっと画面越しに仮想世界に対しているのだから……。

 気が付くと、昼だった。キッチンで昼食の準備をする。しばらくマシーンから離れて。(以下次号)


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