第60話
60
日曜をネットニュースチェックと、読書で過ごし、午後十一時には眠った。明日からまた通常通り仕事だ。確かに連日酷暑が続く。疲労が溜まっていた。だが、朝になれば一日が始まる。起きて支度しないといけない。
翌朝、ベッドを出て、洗面所へと歩いていく。洗面台の蛇口を捻って水を出し、洗顔フォームを使って顔を洗った。タオルで水分を拭き取り、置いている充電済みの電動髭剃り機で髭を剃ってから、スタイリング剤で髪を整え、キッチンへと行く。
コーヒーとヨーグルトで朝食を済ませ、リビングでパソコンを立ち上げた。メールボックスの新着メールを一通り読み、返信が必要なものには返信して、作業画面を開く。そしてキーを叩き出す。何かと体はだるい。だが、気を張って手先を動かす。慣れていても、朝方は何かと眠たい。午前八時を回る頃だと、まだ欠伸が出る。
データを打ち込んでいく。徐々に眠気が取れていき、作業がはかどり始める。いつもスケジュールをぎっしり詰め込んでいて、こなすのは大変だ。でも毎日充実していた。俺自身、無理にでも忙しくしてないと気が済まない性質なのである。
作業を続けた。単調で疲れるのだが、逃れられない。呪縛のようなものだ。雁字搦めに縛られている。いろいろと考えることはあった。頭の中にも常に何らかの思惑があり、何も感じないことはない。
昼前になり、作業内容をいったん保存して席を立つ。キッチンで食事を作った。自炊に慣れている。自分で作って食べる方がいい。弁当や総菜などは買わない。自分なりの健康志向は続いていた。
日々時間が流れていく。まあ、過ぎた時は戻らないから、その場その場でベストを尽くすしかない。常に必死だった。もちろん、無駄な時間もある。それは織り込み済みだ。生きていればいろいろ考え、感じるのだから、どうしようもない。時に流されるようにして、前へと進む。
現段階で特に怯えていることはない。水道の水も元の無色透明に戻ったし、瑞子も来ない。何の根拠もなしに事態を楽観する。エアコンを利かせた屋内も蒸し暑いのだし、野外の暑気などとんでもないだろう。まあ、屋外に行く用事はそうない。時折、食料などを買い出しに行くことぐらいで、後は部屋にいる。ずっと。(以下次号)