第55話
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一日の仕事を終えて、パソコンを閉じ、キッチンで食事を作った。確かに連日疲れる。蒸すような暑さと、ストレスなどで心身ともにきつい。夕食を取って入浴し、汗を流してゆっくりする。自然と夜は寝る時間になるのだ。在宅の作業も神経を遣うから、かなり疲労がある。
眠る前まで読書し、ベッドに潜り込んだ。そして目を閉じる。自ずと眠くなり、そのまま寝落ちした。
明け方に目が覚めて、しばらくベッドの中にいたのだが、また寝入り、最終的には午前七時に起きる。洗面所に行き、冷たい水で洗顔した。普通の水が出ている。当たり前といえば当たり前なのだが……。
歯を磨いて、コーヒーとヨーグルトで朝食を取る。それからパソコンを立ち上げて、メールなどをチェックし、キーを叩き始めた。違和感はない。いつも通り仕事が始まる。キーを叩き、データを打ち込んでいく。作業は単調だ。相変わらず。だが、慣れているので平気だった。
いつも独りでいる。俺自身、周りに誰もいなければいないで、それでいい。電話などを持っていても、ほとんど使わない。話す人間は大抵、仕事をソーシングしてくる業者とかで、会ったことは一度もない。何かしら不気味だった。面識のない人間と仕事するのが……。
でも、これだけは言える。俺の人生は間違った方向に進んでるわけじゃないのだ。時折立ち止まり、考えていた。もちろん、四十代が近く、まともに正規労働したことのない人間が、今更通常の職場で仕事が出来るわけない。いろんな可能性を捨て去っていくことが、人の発展過程だと思っていた。所詮、一人の人間にやれることなど限られているのだし……。
昼になり、昼食を作って取った。食欲がなかったのだが、そういった時は工夫し、消化に優しいものを作る。そしてまた午後からも仕事をこなす。通常通り。変化はない。淡々としている。俺の人生だって、運命付けられているんだろう。この孤独や憂愁といったものに……。(以下次号)




