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ウオーター  作者: 竹仲法順
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第5話

     5

 その日もずっとパソコンに向かい、データ入力の仕事をする。目や肩、腰などが痛かった。座りっぱなしだったし、疲れるのだ。合間に休憩する。水道の蛇口を捻るのが怖くなることもあったが、多分神経がすり減っていて、何でもないものを見たのだろう。半ば自分にそう言い聞かせていた。

 そして一晩明ける。昨夜は蒸し暑い夜で寝苦しかったが、今日は日曜だから、ゆっくり眠っていた。朝方は体がだるい。夏場はいつもそうだ。午前九時半頃までベッドの中にいたのだが、一応起きてから、シーツのよれを直し、洗面所へと向かう。

 蛇口を捻った。無色透明の水が出る。心の中でホッと息をつき、水を掬い取って顔を洗った。洗顔フォームはいつも男女兼用の、薄らと桃の香りがするものを使っている。洗顔し、髭を剃って、キッチンにある冷蔵庫からヨーグルトを取り出す。食欲が減退しているのだが、何か胃に入れておかないと、胃が炎症を起こしてしまう。

 食事後、読みかけの文庫本のページを開き、読みながら寛ぐ。日曜は大抵、充電に充てていた。仕事は平日はもちろん、土曜もする。別に日曜ぐらい休んでいい。いつもはかなりスピードを上げて、作業しているからだ。

 読書しながらも、思索のようなものが続く。人間だから、常に何かを考える。不自然なことは全くない。何かが思い浮かぶ以上、心も正常で健康な証拠だ。

 だが、赤黒いものが水道から出てくることには違和感を覚えていた。怪奇現象……かな?まさかホラー映画じゃあるまいし……。昔、見たことがある恐怖映画とかホラードラマはどれも、日常にあるものが恐怖を作り出していて、見終わった後、後味が悪かった。特に現代社会はIT化が進み、都市伝説もネットで流されている。パソコンやケータイ、スマホなどから恐ろしい化け物や呪いなどが人間を侵食していき、考えるだけで恐ろしい。

 もちろん、都市伝説は人間社会では掃いて捨てるほどあって、一々気にすることもない。考え過ぎかもしれなかった。人間にも妄想や恐怖心があるからだ。潜在意識下で。何かを怖がるのも脳のサインだ。そう思い、あえて受け流す。

 外は雨が降っていた。おまけに室内は蒸し暑い。エアコンと扇風機を併用しながら、部屋で過ごす。昼食にそうめんを茹でて、冷やしてから食べた。何気なく一日が過ぎていくのを感じ取りながら……。(以下次号)






















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