第44話
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午後も通常通り仕事をし、五時になると、データを保存してパソコンを閉じた。軽く一息つき、キッチンに立って夕食を作る。食べ終わってから、冷水シャワーで汗を流し、ゆっくりし始めた。ずっと読書する。眠る前まで。
午後十一時になると、眠気が差してきた。ベッドに潜り込み、体を横たえる。眠り辛い時もあるのだが、目を閉じていると、自然と寝付く。蒸し暑くて、エアコンをフル稼働させないと眠れない。まあ、こんな夜にも慣れていたのだが……。
午前三時過ぎに目が覚める。いったんトイレに立ち、またベッドに戻った。中途覚醒は辛い。眠りが浅いのだ。そう言えば、マンション近辺で深夜物音がするので、目覚めてしまう。多分、地元の暴走族がバイクでも乗り回してるんだろう。被害届は出すにしても、取り締まるのは警察だ。思う。何かしら、嫌な世の中になったよなと。最近の不良は大人の言うことを聞かず、一際性質が悪いのだから……。
翌朝午前七時には起き出し、ベッドを出て、洗面所へと歩き出す。蛇口を捻って冷たい水を出し、顔を洗った。疲労はある。体がだるく、全身が重たい。アイスコーヒーを一杯淹れて飲みながら、ヨーグルトを口にする。そしてパソコンを立ち上げ、仕事を始めた。
淡々とマシーンに向かう。日々変わらない。毎日同じような感じだ。だが、何かしら薄気味悪い恐怖と水面下で相対しているような気がする。瑞子のことや水道のトラブルなど、単なる思い過ごしや被害妄想なら、それでいいのだが……。
キーを叩き、データを打ち込んでいく。作業時間は長く感じるのだが、考えてみれば、一日の実質労働時間は七時間ほどだった。その分、給料も安い。何とか今の生活を維持出来るぐらいの金しかもらってない。
だが、程々でよかった。是が非でもして、高い給料を取ろうとは思わない。それに金に縁がないのは昔からだ。ずっと節約しながら、やっていた。それでいいのだ。自身でも妥協していた。家賃と生活費と本代ぐらい稼げて、手元に月二、三万ずつぐらい残れば……。
昼食を挟み、午後からも作業を続ける。ずっとキーを叩きながら……。(以下次号)