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ウオーター  作者: 竹仲法順
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第4話

     4

 一日の仕事が終わり、パソコンを閉じてしまってから、食事を作る。赤黒いものはもう見かけない。それに水も通常のものが出る。一安心して、出来上がった料理を皿に盛り付け、適当にテーブルに並べた。食べてから、風呂場でシャワーを浴びる。疲れを落とすために。

 入浴し、汗や脂を洗い流してから、ゆっくりする。きつかった。さすがに在宅での仕事でも神経を遣う。返って外で働くより、家で仕事する方が疲れる。まあ、いろいろあった。事情というものが。

 風呂上りに冷蔵庫で冷やしていたミネラルウオーターのボトルを手に取り、キャップを捻り開け、口を付けた。水分補給する。シャワーは温めか真水だ。暑い時は温度を調節するしかない。髪を乾かし、読みかけていた文庫本のページを開く。しばらく読み進めた。午後十一時前までずっと読書する。それから眠りに就いた。さすがに疲れていて、すぐに寝入る。

 朝起きて、だるさを感じた。また新たな一日が始まるな。そう思うと、辛かった。だが、眠ってばかりはいられない。仕事は順調に進んでいるのだが、怠けることは出来なかった。洗面所に行き、蛇口を捻る。水が出てきた。少し生温い。だが、しばらく出しっぱなしにすると、やがて冷たくなる。手で掬い取って顔を洗った。

 刹那、ベタッという音がして、排水溝に赤い液体が落ちる。最初何かと思ったが、よく見ると血の塊のようなものだった。

「うわっ!」

 一瞬驚く。軽く後ずさりして、それから洗面台を恐々と覗いた。もうそこには何もない。

「フゥー」

 軽く安堵の息をつき、顔に付いていた水を拭いてキッチンへと向かった。コーヒーを一杯淹れて冷蔵庫から、ヨーグルトを取り出し、朝食を取る。あまり朝は食事がイケない。やはり暑さに加え、ストレスのようなものが溜まっていて参っている。だが、仕事は続く。一日の支度をし、パソコンを開いた。

 キーを叩き、データを作っていく。納品までが大変だ。ずっとキーを叩いた。合間にトイレに立ち、水分補給しながら……。

 その時の俺はまだ、このマンションの水道の水の真の恐ろしさに気付かずにいた。まるで何も知らなくて……。(以下次号)

























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