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ウオーター  作者: 竹仲法順
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第37話

     37

 その日も午後五時には一日の仕事が終わり、作ったデータを保存して、パソコンを閉じた。やはり何かしらきつい。キッチンで夕食を作り、テーブルで食べながら、しばらく息をつく。疲れていたのだし、バスルームで入浴して汗や脂を洗い流せば、後は自分の時間だ。

 この仕事を始めて長いから、業界のことは十分分かっていた。報酬は少ないのだが、オフィスに通勤しなくて済むので、その分は楽である。

 その夜も読書で楽しんだ。午後十一時前まで本を読み、一応念のためと思って、頓用の安定剤を一錠含んでから休む。すぐに寝入ったのだが、夜間二度ほど目が覚めた。トイレに立った後、またベッドに潜り込み、眠る。

 午前七時には起き出した。昨夜は何か嫌な感じだったのを、未だに覚えている。確かに継続して眠れないと辛い。洗面所の蛇口を捻って水を出し、顔を洗う。赤黒い異物は出てこないのだが、全身に汗が浮き出ていたので、タオルを濡らし、体を拭いた。

 キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲む。それからヨーグルトを口にし、朝食を済ませてから、リビングに置いているノートパソコンを立ち上げた。キーを叩き出す。仕事はちゃんとある。必死だった。業務の受発注はメールや固定電話でやるのだが、キーの叩き過ぎで腕が痛い。湿布や鎮痛剤などを使って何とか凌ぐ。

 昼になると、まとまった分量の食事を作って食べた。活動時間帯だから、胃に物を入れた方がいいのだ。基本的にマイペースなのである。自宅で作業するから、一日の計画を立てて、やっていく。

 昼食を挟み、昼からもキーを叩きながら、データを打ち込んでいった。疲労が滲む。午後三時には休憩する予定だ。余計なことを考える暇はない。確かに雑念が脳裏を過ることもある。だが、それもほんのわずかなことだった。合間に休んでいても、午後五時までは仕事するのだし……。

 真夜中や明け方に目が覚めるのは、明らかに不眠症の症状だ。いずれ治療するつもりでいた。きちんと眠れないのは体にも心にも悪いのだから……。(以下次号)


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