第22話
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やると決めていた分の仕事が終わってから、データを保存し、パソコンを閉じてゆっくりする。疲れはあった。夜は出来る限り休む。読書などをしながら、心を落ち着けていた。毎日午後十一時には眠る。そして朝は午前七時に目が覚めていた。
木曜の朝も起きてから、洗面所で水を使って顔を洗う。目覚めた直後はだるかったのだが、一度起きれば、後は案外すんなりいく。タオルで顔を拭き、キッチンに入ってコーヒーを一杯淹れた。飲みながら、ヨーグルトを口にする。乳製品特有の酸味が舌に残った。食後歯を磨き、パソコンを立ち上げて、キーを叩き出す。
一日が始まると、そのまま快調に飛ばしていく。データを打ち込んでいった。在宅でやれるからいい。昔から何かと対人関係が苦手で、人中に溶け込むのが難しかった。だから、今やってることがベストだ。それ以上はない。
確かに実社会での生存競争は厳しい。大学まで同級だった人間も、だいぶ転職などを繰り返している。それは個人のSNSなどを通じて知っていた。俺もツイッターをやるので分かる。
案外、今の仕事の方がいい。そう思い、やっていた。特定の場所で勤めれば、拘束がきついのだし……。報酬も、今の生活を維持するぐらいなら十分だった。合間に休憩などを上手に入れながらやる。日中はずっと。
昼になり、そうめんを切らしていたので、代わりにラーメンの麺を茹でて、冷やしたスープに浮かべて食べた。イケるのだ。冷やしラーメンも独り暮らしを始めてから考え付いた料理である。
午後からも仕事する。キーを叩き、データを作っていく。単調なのだが、徐々に作業効率を上げていった。トイレに立てば、必ず水分補給する。
時間が流れていく。途切れることなくずっと。そして部屋の水道にある怪異も、いつしか俺の頭から離れていった。記憶の彼方へと飛ぶように。(以下次号)