第21話
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その日も午後五時には仕事を終えて、パソコンを閉じ、キッチンで食事を作った。食べ終わってから、シャワーを浴び、肌に浮いていた汗や脂を洗い流す。疲れていた。連日だるい。だが、仕事は休めない。合間に一息つきながら、作業を進めていた。
午後十一時過ぎには眠り、翌朝は午前七時に起き出す。そして一日を始める準備をした。独り暮らしだから、気楽だ。あれから瑞子は来てない。俺のことなんか忘れるだろう。そう思って、日々過ごしていた。
水道の水を使って洗顔し、歯を磨いてから、コーヒーを淹れる。そしてヨーグルトを用意し、朝食を取った。起きてから眠気はないのだが、だるさは続く。だが、朝から仕事だ。食事後、パソコンを立ち上げて、キーを叩き始める。
普段からいろいろあった。このマンションも街の片隅にあるのだが、辺り一帯を人が多く通る。落ち着かないことも間々あった。人間、居住環境などを言い出せばキリがないのだが、何も思わないことはない。いざ住人となれば、そこに住み着くわけだから、慣れることもある。
昼間ずっと作業する。食事や休憩を挟みながら、キーを叩く。隣室の人間など知らない。それに俺自身、そう部屋から出ることもない。ワンルームで家賃が安いのだし、日中はずっとパソコンに向かっている。コンポにBGMを掛け、聴きながら作業を続けていた。
梅雨の間はジメジメする。街はずっと雨だ。気分も晴れない。もちろん、来月七月には梅雨明けするだろうが、それまでは憂鬱さが続く。普段はずっとキーを叩き、データを入力していった。疲労は絶えずある。もちろん、仕事は待ってくれないのだし、期日までに作ったものを納品しないといけない。そう暇もない。追われていた。単調な作業に。(以下次号)