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ウオーター  作者: 竹仲法順
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第18話

     18

 午後五時に一日の仕事を終えて、パソコンを閉じ、大きく伸びをした。夕食を自炊して作り、食べてから、シャワーを浴びる。疲れていたのだが、入浴後、水分補給して、読みかけの本を読む。そして午後十一時を回る頃には眠った。さすがに寝苦しい。だが、目を瞑っているだけでも脳は休まる。

 翌朝午前七時に起き出し、だるい体を洗面所へと持っていく。普通に蛇口を捻り、水を出した。通常の水だが、赤い錆が混じっている。何だこれ?そう思い、しばらく出しっぱなしにしていると、赤黒いものが出てきた。えっ?と思い、違和感を覚え、いったん水を停める。そしてまた出すと、無色透明の普通の水が出てきて、安堵した。

 ホント、何なんだろうなこれ?朝からずっと頭に引っかかっていたのだが、気にしても仕方ない。それに俺も考え過ぎるところがある。コーヒーを飲みながら、フルーツ入りのヨーグルトの酸味を歯に感じ取った。食後、口の中を磨き、パソコンを立ち上げてキーを叩く。

 日常は変化がない。同じことの繰り返しだった。だが、案外居心地がいいのだ。独り暮らしのマンションというのは。誰も干渉しない。それに仮に騒音などが起こっても、壁自体に防音効果があって、隣室まで響かない。家賃さえ払っておけば、ずっと住める部屋だ。それに街にも慣れきった。どこに何があるかも全部分かる。

 キーを叩き、データを作っていく。明日は仕事を休むので、今日までしっかりやっておくのだ。さすがに疲れていた。蒸し暑さで体までやられる。使っているノートパソコンは熱効率がよく、夏場でも滅多に壊れない。昔のパソコンは大変だった。夏の暑い時はハードディスクが壊れて、修理や交換など、頻繁にあっていたのだ。

 その日も昼まで作業し、昼食を挟んで、午後も仕事する。余計なことはない。プライバシーというのは大事にしていた。他人を下手に詮索したりしない。これはずっと心がけていることだった。この集合マンションも、隣室には誰が住んでいるのか知らない。もちろん、不気味だが、別に知る必要もないだろう。普段郵便物を見に、部屋から出た時も、玄関口のポストを見て、すぐに戻ってくる。特にあれこれ気に掛けることもない。それだけ、この部屋も守られているということだ。たとえ、いろいろあったとしても。(以下次号)


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