青い鳥
二次創作かなーと思い、タグをつけようとするが失敗。
童話のあの話の、ハッピーじゃない、レベル低い感じです。
昔本で読んだ青い鳥を見つけたくて、恋人を誘い、二人で旅に出た。
人がたくさんいる街にも行ったし、のどかな田舎にも行った。
たくさん魚がいる海辺にも行ったし、厳しい山にも行ったし、とても暑い砂漠にも行った。
雨が毎日降る熱帯林にも行ったし、大きなお城や、古い神殿にも行った。
入れ違いになってしまったのかもしれないと、何度も同じところを訪ねたりもした。
たくさんの人と出会い、また、別れた。
辛いこと、大変なこともあった。
楽しいこと、嬉しいこともあった。
たくさんの新しい発見ができた。
けれど。
長い間、とても長い合間、色んなところを訪れて、とても、とても疲れた。
ふと、家に帰ってみようかと、少し旅を休憩してみようかと、二人で住んでいた家に戻ってみた。
久しぶりの、二人で住むための、あまり広くないその安い部屋に。
青い鳥がいた。
嗚呼!ここだったのか!
おもわず声を上げる。鳥は逃げない。
あれほど探し求めていたかの鳥がここにいるのだ!
ああ!ようやく!ようやく会えたのだ!
自分はとても嬉しくなって家を懐かし気に見回っている恋人のほうを振り返った。
鏡を前に、恋人は泣いていた。
私の、若かった頃の時間が。美しかったこの姿が。
旅立ちから長いときが経った。
恋人も自分もすでに、若い、と、言われるような年齢は過ぎていた。
長い長い厳しい旅の中で、恋人は自慢の美貌を失った。
彼女は。青い鳥なんて見ていなかった。
手には、旅の前にも、長い旅の中でも何度も役に立った、私の愛用していた大きめのナイフ。
それを。大きく。振りかざし。
青い鳥に。
なぜ?なぜ!それは幸せの鳥なのに!
自分はとっさに鳥を庇い、彼女に刺された。
ざしゅり。
血が、出て、こない。
随分、と、
深く
刺さった。
ようだ。
ナイフがぬかれる。
薄れ行く視界の端で、彼女が泣き笑いしながら彼女自身を何度も何度も刺しているのが見える。
自分は長くはなく、彼女もまた、長くはないだろう。
ぼんやりと思う。
なぜ、こんなことになってしまったのか。
わたしは。
わたしは。
ふたりで、みつけて。
ふたりで、しあわせになりたかった。
だけなのに。
青い鳥が嗤った。