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学園珍事 ファミリア!  作者: ニコ
一学期
2/66

第1話:執事、古本に出会う

とりあえずプロローグだけなのも悲しいので一話だけ投稿しておきます。

「汚っ! 何だこれ人間の限界超えてるぞ! 死ぬ! 肺炎で死ぬ!」


「そうか、じゃあ死ね」


「…………おじょーさま、そりゃないですよ……」


はい、冒頭からあわただしくてどうもすみません。

僕――天詩あまうた 文一ふみひとは、現在大きなお屋敷で働いています。



ちなみに後ろに居るのはこのお屋敷のお嬢様、小鳥遊たかなし灯夜ともよ・エレイシア様です。


口は汚いけど容姿は美しい、「西洋人形のような(以下略)」って表現が正に似合う人。

その印象をさらに強めているのは、毎日丁寧に梳いている(というか梳かれている)長い金髪と深く青い目、肌も少し白めですね。


名前で分かるけどヨーロッパの方のハーフだと聞いた事があります、だからこその金髪碧眼ですね。

黙っていれば「いと美しき深窓のお嬢様」ができる、地位に見合ったお方です。


「天詩、何を呆けている。俺はこの部屋を掃除しろって言ったんだぞ」


あくまでも黙ってれば、ですけど。オンナノコが「俺」とか言っちゃいけません。


「この部屋の掃除ですか…………悪意と殺意を感じるんですけど……」


目の前にあるのは、魔窟。


およそ100メートル立方の空間にガラクタの山、ほこりの海……。

その上、ガラクタのほとんどがよく分からない呪術的なものだったり……。


ドクロの杖が「くけけけ」って笑ってる気がします、星を描いたペンダントが鈍く光ってる気がします、なんたら民族の壷がごとごと動いてる気がします。


「まぁ頼んだぞ、天詩」


お嬢様は去って行きます。


……………………まぁ、やるしかないよなぁ……。


******************


…………かったるい。

あ、もうお嬢様――小鳥遊が居ないので口調戻すよ、業務外業務外。


「掃除って……違うだろ、これは……むしろ、殲滅とかソッチ系だろ……掃除は掃除でも違う掃除だろ……」


ネズミを追い払う事数十回、クモの巣払う事数十回、崩れてきたガラクタを押し退ける事数十回。

こんなのは元来僕の仕事じゃない、僕は小鳥遊のお供であり決して清掃員ではない。


「もっと他に使用人居るだろ……なんで僕がこんな……あー、元を辿ればアイツのせいか……」


僕には両親が居ない、厳密に言えば居るのだが居るような気がしない。

父は幼い頃に他界、だからまぁ父親は当たり前に居ない。


問題はあの放浪癖がある母親の方。

アイツは僕が6歳ぐらいの時、一つ下の妹を連れて旅に出てしまった。


そして親戚とかご近所とかに迷惑欠けるのもアレだな、と思った僕は孤児院に入れてもらった(なんか手続きとかあるのが普通だと思うのだが、院長がすっげぇアバウトな人で、話して10秒後には孤児の仲間入りだった)。


そして現在、孤児院の経営者「小鳥遊財閥」のお嬢様である小鳥遊の執事としてここに居るわけだ。


「てか明日はまだ水曜じゃねぇか……面倒くせぇ……」


しかも仕事をしているのに高校に通っている僕。

しかも友人がほぼ全員濃い、性格が濃い。


まぁ軽く紹介しますと、読書狂の二重人格じみた男とか、とてつもなく金に細かい巫女さんとか。

あとはー……あ、そうだ、もう一人馬鹿が居た。うん、一言で言うと馬鹿、二言で言うとすごい馬鹿、三言で言うと(以下略)な奴も友人だ。


「あうー、めんどうくせぇ、何で僕がこんな(以下延々と愚痴が続く)」



………

……



掃除をする事数時間、いい感じに伏線を張り終わった後に、僕はそれを発見した。


「…………なんだ、この本?」


革のカバー厚い本がそこにあった、それだけなら別に興味は惹かれない。

しかしその本にはタイトルが無かった。


まぁ気になるよな、そりゃ。


「…………表紙でこんな事ってあるのか?」


段々気になってきた……。


やはこういうのは一度気にかけてしまうと、ずっと心の隅に引っ掛かってしまうもので……


「いやいや! 掃除だ! 早くやらなけりゃ帰れねぇじゃないか!」


…………でも、気になる……。





結局、本を見ることにした。


ページに指をかけ、開く。

その瞬間、本のページが光に包まれた。


「っ! なんだこれ!?」


輝くページまでもが白紙だった、……つい先ほどまでは。


[Language:…………日本語   

 契約執行:我は契約をここに約束します

 契約内容:書は主と運命を共にし、魔力と引き換えに最大限の助力をさせて頂きます

 契約執行:                        「署名をお願いします」]


光が寄り集まって文字が形作られる。

僕は、それを――


「さあ、次は向こう側のを動かそうかな?」


無視する事にした。


[ちょ! 待ってよ待って待って! ここはなんか書いとく流れでしょ!?

 【迫り来る強敵!頼もしい仲間!そのとき僕は……まだその運命を知らなかった】な流れでしょ!?]


ものすごい勢いで文字が形作られていく。


「いや、そんなファンタジックに少年漫画な事をするつもりは毛頭無いけど」


[いやいやいや、絶対良いって! ファンタジー良いよ、絶対ハマるよ!]


「どっちかというとSF派、【空から来たロボット!侵略する宇宙人!そして僕は、地球のために戦った】な流れだったら考えたけど」

 

[流行はやりはファンタジーだって! ほら、魔法学校の奴とかさ、世間では大ブームだよ!]


「う〜ん、僕は少数派の方を選ぶ性質たちでして」


[え!? え〜っと、ほら、SFは三部作×2の某大作とかで絶対にファンタジーより人気があるよ!]


「ふははははぁ! 残念だったな、これでSFの方が人気があると、今テメェは言った!」


[え……うわ! 騙された? 私騙された!?]


……………………あれ?

何で僕は本と漫才なんかしてるんだ?

……うん、とりあえず落ち着こう。落ち着いて考えよう。


目の前にある本はなんか変だ、きっとお嬢様のイタズラだろう。

小鳥遊家の権力財力科学力をもってすれば、この程度のものは作れそうだ。


…………と、すると


「え〜っと……本の人、その契約ってなんなんだ?」


ノってあげなきゃ、またスネるんだろうなぁ……はぁ……面倒くさいけど……。


[やっとその気になったね? うん、私と契約するとね、すごいんだよ!]


「へぇすごいんですか(棒読み)」


[魔力さえ貰えれば色んなことが出来るんだよ! 武器になったり、形が変わったり、情報量もすごいんだよ!]


「ほぉそれはすごいですねやったぁ(棒読み)」


[まぁ、基本的なところから言えば…………って、なんか君、さっきから冷めてない?]


「ソンナコトハナイデスヨ(超棒読み)」


[…………まぁ、いいや。ここにサインしてね]


ふぅ、会話を乗り切ったぜ、我ながら完璧な演技だった。


えぇと、とりあえずサインだなサイン。この空欄に署名すればいいわけか。

とりあえず書く、……うわ、僕って字下手だな。


「………………書いたぞ、本」


「ありがとうございます、書はこれより契約範囲内であなたに従います……だよ」


いきなり声が聞こえた、なんというか……妙にフレンドリーさを感じさせる声だ。

そして、まばゆい閃光が本から放たれた。




光が収まった、演出凝ってんなぁ。


……………………………………………………………………………………………………わぁ。

ほんとに演出凝ってんなぁ、よく出来たマネキンが目の前にあるや。


髪や眼は夕暮れのような色で、その人間ではありえない色味が余計マネキンっぽさを醸し出している。

身長は小さめだ。目測だけど140前半か半ばぐらいだと思う。

それでも決して未成熟ということは無く、なんかもう色んな部分が……いややっぱやめとこう終了。


きっちりと開いた瞳は活発そう……というか幼さを感じる。

全体評価は美人、とするか微妙な所だ。とにかく「綺麗」というより「可愛い」寄りだな、全体的に。


「…………てかなんで俺がマネキンの評価を「おはようあるじ「ってうわぁ!?」


ま、マネキンが喋っ……いやいや、そんな事はない、マイクだマイク。

うん、さっきの声と一緒だしな、マイクマイクマイクマイクマイ……


「どうかしたのかな、さっきまで普通に話してたのに、私は悲しいよ?」


う、うご……いやいや、遠隔操作だ小鳥遊家の科学力は世界一イイイィィィ!だ。

ロボットなんて鼻歌交じりだ、いやむしろ鼻歌前だ、朝飯前的に。


「主?」


ぺたぺた触んな……ってあったかい!? 

……………………体温ある?


あははははぁ! 最近のカイロは進化したなぁ! まさかロボットに人肌程度の温もりを……


「あ〜る〜じ〜?」


……………………もう、駄目。

ごめんなさい読者の皆さん、私めはこれより現実逃避を開始します……。


「あれ? ど〜したの、主? こんな所で寝たら風邪引くよ? 主? 主! あ〜る〜…」




ちなみに作者は受験生であり、まだ合格しておりません。

つまりはこのまま「地獄の後期試験突入! 更新? ゴメンナサイ全然無理です!」な状況になる可能性もあります。

その場合は、まぁ、気長に待つか見捨てるかしてやってください。(2/24現在)

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