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学園珍事 ファミリア!  作者: ニコ
一学期
17/66

第16話:色々渦巻くラビリンス!【中編】

戦闘は実際の武術風味かぶっ飛んだ戦闘か迷ったんですけど、結局ぶっ飛んだ設定の方にしました。

そっちの方が作風に合っているだろうし、武術をやっていない作者ではどうしてもボロが出るので(笑)

「はぁ……なんだかなぁ……」


…………あ、僕か。

どうも、白咲しろさき 煉斗れんとです、結華と一緒になんとかコロシアムに挑戦してます。

僕達は一聖を遊撃に出して僕と結華で確実に点を取っていこうという作戦…………だった・・・


だけど、その作戦が狂いが生じたのだ。

何故だか知らないがいきなり空間に穴が開き、なんだか知らないがその中からすごい殺気が立ち上ってきて、もう本当に勘弁して欲しいが「飛び入り参加だぜ!」的な声が聞こえてきた。

その後、「これとは絶対闘うなよ! 頼むからやめてくれよ!? 速く走れ! 僕が迷わせたりしておくから! いやこればっかりは勝てないとかそういうんじゃなくてそれ以前の問題だから!! あと、『俺と死神?!』及び『勇者は鬼で、白魔術師は黒く、魔王は可哀想』をよろしくぅ!!」という作者の悲鳴と宣伝てんのこえが聞こえたので、急いで逃げたという訳だ。


まぁ……そのせいで結華とはぐれちゃったんだけどね。


「…………ハハ」


まぁ、考えようによっては都合がいい。

結華は学級委員になりたい。

OK、これは絶対に成就させる。


「さぁて、と。狙い目は田中だな」


他のやつらなら上手くいくか怪しいが、ただ空手をやっているだけの雑魚野郎に対して失敗するほどのものじゃない。


だから――『俺』は探す。奴を、奴を、奴を!


「……見つ、けた」


曲がり角、その先に田中が居る。俺には分かる。

研ぎ澄ましさえすれば――『僕』さえ捨てれば、この程度は簡単な事だ。


ダン、と地面を強く蹴る。

目の前にいきなり現れた俺に驚く田中。だが、そんなもの視認する必要も無い。

まずはアゴに一撃、間を空けずに足を払い、鳩尾みぞおちに決める。


「ぐ――がふっ!」


田中はそのまま重力に従い、背中から下へ――落とす訳が無い。

背骨よ折れろとばかりに蹴り上げると、田中の体は宙を舞った。


「ヒャハ! テメェに恨みはネェが、運がワリィと思って諦めな!」


そのまま、頭蓋に拳を一閃。

綺麗に拳が入ると、田中は横に少しずれてから堕ちた。


「いーい具合に入ったなァ。ひっさしぶりだから加減が上手くはネェが……」


俺が田中に決めたのは前後数時間の記憶を意図的に無くす打撃、コツさえ掴めばまぁ簡単に出来る。

『俺』モードは知られる訳にはいかない、文一にも一聖にも……もちろん結華にも。


「ま、ご愁傷様だ」



【白咲 煉斗VS田中 太郎――頭部強打による田中の意識喪失にて決着】



              ***



「え〜っと……」


なんだか俺の視点が多い気がするが小鳥遊 灯夜だ。


「さぁさぁ! やるやらやろーよ、灯夜ちゃん!」


俺の目の前には結華が居る、別にそれだけなら何の問題も無いのだが……



なんで自転車乗ってるんだ……。



いや確かにそんな規定は無かったけど! 武器禁止とか言われなかったけど! 結華+自転車は反則だろ! 忘れてる読者様も多いと思うが自転車with結華は風の速度を超えるぞ!?


「ま、まぁ……泣き言を言っても仕方ないか……始めるぞ、結華」


「うんうん! そういや灯夜ちゃんとは久しぶりだねぇ」


その時はお互い素手で、普通の組み手だったけどな。

とりあえず落ち込み続けるのも精神衛生上良くないので、結華を攻撃して発散する事にする。

結華がペダルに足をかける――その前に、俺は前へと踏み込んだ。

右で地を蹴り、左を次いで、等間隔に速く速く大地を駆ける。


小鳥遊家とその分家の武術は、武術では特化の家系に遠く及ばない事を知り、体系を分けることで少しでも突出した部分を作ろうとした流派だ。

小鳥遊流護身武術は元々、婦女が町中で襲われた時に「護身」として使うためのもので、相手を倒すよりも逃げる事に重点を置いている。

故に、攻撃は投げに始まり投げに終わり、長距離移動のための歩行法にけ、足止め回避立ち回りにおいては他の武術を凌駕する。


だから、この程度の距離ならば結華じてんしゃが走り出す前に――間合いの中!


「あわわ!」


結華の慌てる声を聞きながら、片手を前に突き出してもう片手を自転車のハンドル右方に添える。


小鳥遊の型における、移動法は『つめ』と呼ばれ、攻撃――つまり投げは『きば』と呼ばれる。

先ほどの移動法は『つめれん』と言い、長距離を足で移動する型の名前だ。

そして今から使うのは『きばてん』、相手の力を利用して極める合気とは違い慣性重力抗力、様々な力を上手く計算し、落とす技。


グルリ、と。

添えた手を下方にずらしてもう片手で繰れば、結華と自転車は低空を舞った。

小鳥遊流護身武術は、護身のために歴史に対応した進化を遂げているのが強みだ。

相手が物体であれば、なんであろうと投げられる。

俺の姉ならば、バイクがトップスピードで飛び出してきても軽くいなすだろう。


「――で、結華。自転車それを使うのは無謀だって、気づいたか?」


回りに回った俺の背後、結華が自転車を抱えながら落下、否――降下する。

トン、とつま先から降り立ち、優雅にその場で一回転。


「う〜ん、やっぱりだめかぁ……ふみくん辺りなら油断してくれそうだったんだけどなぁ」


そう言うと結華は自転車を優しく横倒しに置いた。

危なかった、それこそ何の挨拶も無しに不意打ちされていたら、俺では自転車をとめる事ができない。


「んじゃ――行くよ、灯夜ちゃん!」


叫び、結華がこちらへと向かってくる。

俺の動きは同じリズムを重ねて速度を出すものだが、結華は右と左を意図的に少しずらす。

しかしそれでも、速度はまったく劣らずに懐に入り込んできた。


小鳥遊流護身武術が『投げ』ならば、桜樹流武術は『脚術』に特化したものである。

その中でも、他の武術を取り入れた桜樹流新武術と脚術にこだわった桜樹流古武術があるのだが、結華が使うのは古武術の方だ。

こだわったからこそ、脚においてはこの武術に並ぶものは、少なくとも俺は知らない。

単純な直線移動ならば小鳥遊流護身を超え、舞うにも跳ぶにも器用に脚を使う。

それが、結華の武術だ。


タイミングの遅い右足を後ろにたゆませ、左をそのまま前に進める結華。

その意図に気づき、体を後方右斜めに反らす俺。

それはほぼ同時の行動。


「……ッ!」


結華の右足が高速と言っても差し支えの無い速度で、数瞬前まで俺の左肩があった位置を貫く。木の板程度なら容易く打ち抜く事ができるだろう。

それをかわした俺は手の平を地につけて真右に回転、これも『爪』の移動法だ。

しかし、ただ回るだけではない。


「ぬわ!? ちょっとひきょ――」


制止の声など聞かずに、結華の突き出している右足を俺の両足で挟み込むように捕らえる。

そしてそのまま回転すれば、当然のごとく結華の体が逆さになった。

もう、一捻ひとひねり。

そしてもちろん当たり前に、結華は後頭部をしたたかに打ち付けた。

もちろん、かたーい床に。


「少し……やりすぎたか……」


『牙・連』、移動から相手の腕を掴むその技を苦し紛れに改良してみたのだが、どうやら上手くいったようだ。……やりすぎた以外。

とはいえ今回は単純に運が良かった、結華とならもっと長期戦になっていてもおかしくなかっただろう。


「んきゅ〜……」


寝言のように、結華が目を回しながら口の中で呟いている。


「まぁ……茜は逃げ切るだろうし、天詩は絶対に負けん。学級委員はいただきだ、結華」


どうせ聞こえていないだろうが、最後にそう言い残しておいた。


【小鳥遊 灯夜VS桜樹 結華――桜樹の頭部強打による意識喪失にて決着】



                 ***



拳が打ち抜き、足が上がる。


「オラァ!」


拳が防ぎ、足がいなす。


「うわ……っと!」


体勢を崩した所に脇腹強打の後ろ回し蹴りが入るが、逆にこっちは鳩尾向かってジャブをきめてやった。

そしてその後、立て直しのためにお互い離れる。

……しっかしアイツ胸でけぇな……鳩尾ぐらいのつもりだったのに……なんか、こう……拳上部に柔らかく心地いい感触的なものが……。


……あ、俺だ俺、北川 一聖。

さっきから魅伊香と殴り合ってる、アイツ結構強い。

いやまぁ、普通の武術なんて大した事ないと思ってたけど見直さなきゃだな、あっはっは。


「おいイッセー、何一人で笑ってんだ気持ちワリィ」


む、失礼な。

とか思っていると魅伊香が踏み込んできた。もう、せっかちさんなんだから♪

……キモイって言った奴ちょっと体育館裏来い。


とかまた馬鹿な事考えながら、俺も前に向かって走る。


「――っは! やっぱりつえぇじゃねぁかよ、イッセー!」


「そりゃあね、俺もそれなりにやってるから――っな!」


拳に拳を合わせ、お互い打撃はフェアに入っている。

そこで魅伊香が大きく足を振り上げるが、そんな大振りの動作ぐらい首を傾げるぐらいでかわせた。

そして開いた間を狙い、頭突きを当てる。


「いだっ!」


「痛くしてるから当たり前だ」



小鳥遊流護身武術の基本は投げだと言うが、そんな事俺には関係が無い。

俺の武術は小鳥遊護身武術に町で培ったケンカ殺法さっぽうを組み合わせた、いわば小鳥遊流護身武術・改なのだ! フアハハハハハ!

……ちゅーわけで、俺は小鳥遊流の移動法だけを主に使い、後はケンカ技で押し切るだけの武術かどうかも微妙な戦闘法だったりする。


だがこんな時――相手が頭突きを受けて倒れこんでいる最中はとても重宝する。

どこを攻撃するかよりどりみどりだ。顔、腕、足、腹、胸…………胸?


「………………………………胸」


「てい」


「ぐぎゃあ!!!」


胸に惑わされている最中に魅伊香は立ち上がっており、そのままスネを蹴られた。痛い。

いや……だってさぁ! 仕方ねーじゃん!! コイツの胸が悪いんだよ!!!

ほら思春期の読者様! 皆さんはもうクラスの女子の胸を触りたいとか常に思っていますよねぇ!? ……え? 思わない?


「てい」


「うぎゃあ!!!」


つ、次はチョップですか……。


「お前なぁ……真面目にやってくれよ……」


「うっせぇ! そっちが悪いんだ、この……! 男のくせに胸なんかつけやがって……」


「だ・れ・が! 男だゴラああああああああああぁぁぁ!!!!!」


再び魅伊香が突進してくる。つーかさっきの二倍速い。

う〜ん、怒らせちまったな……こりゃあやっぱり



本気を出した方がいい……かな?



「っ!?」


驚きの吐息と共に、魅伊香の動きが止まる――否、止める。

体の要点さえ抑えれば人の動きは大体抑制できる、まぁ小鳥遊流護身の応用だ。


「とりあえずちょっといてぇぞ? ……ま、顔に痕残さんように気をつけるけど」


横に向けて蹴りを一閃、魅伊香の腕に直撃し、そのまま軽く浮き上がる。

そして足をそのまま振り上げてかかと落とし、慣性の法則に逆らい魅伊香の体は下へ下へ。


「そんじゃこれで、終了!」


魅伊香に向かって拳を振り下ろす、その直前に彼女の顔が見えた。

泣いていた。

痛みで涙が出たのかもしれないし、衝撃で反射的に泣いたのかもしれない。

でも、泣いていた。


「……と、思ったけど……俺の負けでいいや」


そう言うと、魅伊香がきょとんとした顔で立ち上がった。

そして俺の顔を見つめ、一回二回とまばたき。


「…………なんで?」


「キザに決めると俺の拳は女を泣かせるためのものじゃねぇ、って所かな?」


泣き顔は嫌いだ、俺は全世界の人たちに笑っていて欲しい。

ケンカも、本人すら大して楽しくもねぇイジメをやってる不良を殴り飛ばすぐらいだ。

本当に人が悲しむのは嫌だし、悪の組織とかがあるんなら俺はそれを叩き潰すために拳を振るいたいと思う。

……まぁ、こんなご時世に素でそんな事考えてる奴は俺ぐらいな訳で……


「………………は?」


この魅伊香の発言の通り、理解者ももちろん少ない訳で……。


「はいはい、とりあえず勝てればいいだろ。はいバンザーイ、良かったですね〜パチパチパチ」


「全部口で言うんじゃねぇ!!」


おぉ、ハードなツッコミですこと。

ふみたんが居ない時はコイツをツッコミ役にしよう。


「れ、礼は言わねーからな!」


「ほいほーい」


う〜ん、ツンデレっだなぁ、魅伊香ちゃんったら♪

……キモイとか言った奴ちょっと路地裏まで来い。


【北川 一聖VS馬子坂 魅伊香――一聖の棄権により決着】




小鳥遊チーム=1ポイント

小鳥遊 灯夜=勝利

天詩 文一=未戦闘

小鳥遊 茜=未戦闘


桜樹チーム=−1ポイント

桜樹 結華=敗北

白咲 煉斗=勝利

北川 一聖=敗北


馬子坂チーム=0ポイント

馬子坂 魅伊香=勝利

黒椿峰 湖織=未戦闘

田中 太郎=敗北

 中編終了! 勝ち方がかぶっちゃったのは言わない約束ですぜ! 

結華(以下結)「私……結構簡単に負けた……」

 う〜ん、だるだるやってるのもアレだし、何よりも後編はふみたんVS湖織に集中したかったから。

文一(以下文)「ふみたん言うな」

 あ、今回更新遅れた理由の一つはこれの番外編書いてたからです〜、完成したら短編として投下するので、気が向いたら読んでやってください〜。

文「無視するな」


 自らの不注意で文一を戦闘に巻き込んだ事に灯夜、そして文一を戦いから救うために動き出す湖織……。

 そしてそれを知らずに文一は迷宮を彷徨い続ける……。

 文一と湖織が出会う時、何が起こるのか!?

 次回、『色々渦巻くラビリンス!【後編】』!

 お楽しみに!

結・文「「テレビアニメの次回予告風!?」」

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