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学園珍事 ファミリア!  作者: ニコ
一学期
16/66

第15話:色々渦巻くラビリンス!【前編】

なんだか一話完結ってまだ書いた事無いよなぁ……とか思う今日この頃。

「今日は委員を決める日だ!」


皆さん、桜舞い散る今日の日……ってあー、そちら側ではまだ三月でしたっけ? こっちはもう4月ですぜHAHAHA。


「おい、聞いてんのか天詩!」


僕は今机に座っています、朝のHRホームルーム前だから当たり前なんですけどね。


「おい! おい! チクショウ、ちょっと虚しいじゃねぇかよ、まだイッセーも来てねぇのに……」


いやぁ、昨日は10時に寝たから余裕を持って登校できましてね、というか僕の体質を覚えてる人って居るんでしょうか?


「おい! …………グスン」


「ふみくん……魅伊香ちゃん泣いちゃうよ? もう反応してあげなよ……」


「ん、了解」


「わざと無視してたのかよテメェ!!」


あ、状況説明しますね。

何故か中学からの付き合いである馬子坂まごさか 魅伊香みいかという女生徒が話しかけてきて、返事するのもかったるかったから無視してたら、桜樹が僕に注意してきた。


「で、なんだってウマコさん?」


「ウマコじゃねぇっつてんだろが!! 私は馬子坂まごさかだ!! いい加減覚えやがれテメェらは!!」


ある意味お嬢様よりも男らしい口調をしているコイツとは中学一年の時に一聖の部活繋がりで知り合って(今はやっていないが、一聖はサッカーをしていた)、そして一聖は名前を読み間違えていたのだ。

すなわち、「まごさか」ではなく「うまこさか」と。

一聖とは下の名前で呼び合っていたので問題無かったらしいのだが、一聖からの紹介時「うまこさか」と聞いた僕と煉斗はずっとこのあだ名で呼んでいる。

あぁ、しかもこのあだ名結構広がったので「まごさか」と呼ぶ人間の方が少なかったりする。


「まぁ気にすんなウマコさん、委員を決めるんだって?」


ウマコさんの中学の時からずっとかけているメガネが光ったような気がした、アグレッシブな行動が多いからコンタクトにすればいいのにと思わなくも無い。

……別に小説内だからってメガネをかければ優等生ではございませんぜ? 

逆にコイツは金髪(もちろん染め)とあいまってどことなく不良的だ。


「チッ……あぁそうだよ。そこで一つ頼みだ、私は学級委員になりたい、だから投票になったら私に入れ「無理」


即答してやった。

ちょっと上手い感じにセリフが入ったからウマコさんは二の句が告げない様子だ。


「ちょっとね、学級委員といえばお嬢様がやりたいって言ってるんだよ」


多分きまぐれ。あの人、ああ見えて行き当たりばったりな行動多いから……

と、僕が口をパクパクさせているウマコさんに言うと、隣からも声がかかった。


「あ、私も学級委員になりたいんだよね」


桜樹だ。


「へぇ、どうして?」


「だってさ! ちょっと不真面目だぜ委員長、ってなかなかいい設定キャラだと思わない!?」


「うん桜樹にまともな思考を求めた僕が馬鹿だった」


つーか三人か、こりゃお嬢様も辛いかもなぁ……今の内に消しとくか?


「ふみくん……なんか怖い顔になってるよ……」


「ん? あぁ、気のせい」


ふぅ……暗殺はだめだな。

さて……まぁどうするかだが……




「話は全て聞いた! さく先生にお任せや!!」


いきなり恐ろしい勢いで扉が開け放たれ、恐ろしい速度で神無月先生が入ってきて、恐ろしい大声が教室中に響き渡った。


「はい確認!! 学級委員になりたいのは馬子坂、小鳥遊、桜樹の三人やな!!?」


教室中が静まり返る……が、桜樹と馬子坂、そしてお嬢様だけはコクコクと頷いていた。


「よし!!」


先生がそこで一拍溜め、教卓をバアアァンと音が鳴るほど叩きながら叫ぶ。


「だったら! ラビリンス・コロシアム 〜迷宮に彷徨いし戦士達〜 で勝負や!!」


某落ちゲーみたいだなとか、そのサブタイ何だよとか、まずそれ自体が何だよとか、色々ツッコミたかった。



                  ***



……え〜っと、最近多いけど状況説明。




なんか体育館中央に未知の正方形状空間が。




うん、僕達一年一組は神無月先生につれていかれて、現在体育館に居ます。


「先生……これ、なんですか?」


「ラビリンス・コロシアム 〜迷宮に彷徨いし戦士達〜 や」


だからなんだよ、それ。


「ていうかこんな物よく作れましたね、しかも体育館内に」


「ほら、それのおかげや」


先生がアゴで示した先には校長……しかも何故か・・・縄の痕とか切り傷とかハイヒール的なもので踏まれた後がある、例のごとく分からない人は気にしないでね☆

とりあえず校長さえ手駒にすればこれぐらいは容易いという事か……極めてどうでもいいが校長にはもっとしっかりして欲しい。


「はいはい、ルール説明をする! みんなこっち向きぃ!」


お、先生がなんか話すっぽい。


「まずは参加者に仲間を二人選んでもらう、これで一チーム三人の三チームが出来上がりや。

 そんでこの中に入って……戦ってもらう!」


……………………は?


「先生、ちょっと待て」


「古来より人とは争う事で覇権を得てきた……そういうもんや」


お嬢様の制止を聞く様子は皆無だ。


「まぁそういう事で迷宮の中で自分のチーム以外と出会ったらそのまま戦闘、勝った方のチームには白星が、負けた方には黒星が付くわけやな。んで勝っても負けてもそのまま退場。白星を+1、黒星を−1として点が一番高いチームのリーダーが学級委員になる、ちゅうルールや」


「は〜い、先生STOPストップ、落ち着け」


一聖が手を挙げて意見を言うように制止。


「ん? なんや?」


「いやさ、危ないでしょ。教育者がケンカ勧めてどうすんだオイ」


おぉ、一聖まともな事言った。


「大丈夫や!」


先生がなんだか自信たっぷり、もしかしてなんか「水鉄砲の打ち合いです」とかの追加ルールが――


「参加者は武術経験者のみ! これやったら勝ち方も負け方も分かってるから上手い事やるやろ」


無かったよ……。

てーか武術経験者って……確かお嬢様はウチの“小鳥遊流護身武術”やってたよな、昔からラジオ体操代わりに。


「ケンカかぁ……苦手だけど、出来ない事もないしねぇ」


「よし! 分かりやすくて良いじゃねぇか!」


セリフを聞く限りでは桜樹もウマコさんも参加条件を満たしてそうだ。

……問題は三人一組、ってルールだよなぁ……。


「おい、天詩」


お嬢様からお呼びがかかった。……やっぱりこうなるんだよなぁ……。






小鳥遊チーム

小鳥遊たかなし 灯夜ともよ:小鳥遊流護身武術

天詩あまうた 文一ふみひと:小鳥遊流護身武術

小鳥遊たかなし あかね:小鳥遊流護身武術


桜樹チーム

桜樹さくらぎ 結華ゆいか:桜樹流古武術

白咲しろさき 煉斗れんと:本人曰く我流

北川きたがわ 一聖いっせい:小鳥遊流護身武術


馬子坂チーム

馬子坂まごさか 魅伊香みいか:空手三段、合気道二段、剣道四段。

黒椿峰くろつばきのみね 湖織こおり:黒椿峰大社の儀礼剣術

田中たなか 太郎たろう:空手四段。




こんな感じのチーム分けになりました、ちなみに茜はお嬢様が拾った孤児って事になったから小鳥遊の姓、一応だけど。


「しかしこれは……」


「ですよね。一応少しは教えたとはいえ茜を入れることになるなんて……」


「田中 太郎なんて人間、、まだ地球上に居たんだな……」


そっちかよ、と心の中でお嬢様にツッコミを入れる。


「じゃなくて! イッセも煉斗も湖織も引き込めなくて大変なチームになった、と言いたいんです!」


イッセもバイトでお屋敷に来てるから小鳥遊流を習っているし、煉斗も何かの型を知っているようだ、湖織は剣術があるし。

そしてこの四人、りあえば強さは、湖織>イッセ>煉斗>僕となるだろう、謙遜けんそんとかじゃなくて。あ、ちなみに湖織は帯刀時の強さです。


「といっても仕方がないだろう、北川を入れるわけにはいかないしな」


「あう……まぁ、そうですけど……」


ちなみに北川妹は小鳥遊本家の方で働いているので護身ではない「小鳥遊流武術」を使う、運動は得意でない北川妹だがこれを使えば強い。

しかし残念ながらこの武術は思いっきり重傷狙いだ、小鳥遊流護身武術が護身するのは敵の体の方だと思う。


僕が少しうなだれていると、茜が近づいてきた。


「頑張ろうね、パパー」


「そのネタ引っ張るな」


「じゃあお兄ちゃん?」


「三人も妹要らないよ。というかそんなに居たらそのまま加速度的に増えて、12人の妹を持つあれチックになりかねないだろ」


なんか余計疲れた……。


「はいはい! そろそろ始めるで! 各自、入り口に!!」


先生の合図と共に四角形ラビリンスの中に入る、入り口は三つあってそれぞれのチームがそれぞれの入り口から始めるのだ。


「じゃあ……ガン○ムファイト! レディー「「「「「そのネタ駄目ええええええええええぇぇぇ!!!」」」」」


クラス中のツッコミで先生の開会宣言は掻き消された、もちろん僕もツッコミに参加しましたよ。


さて、一番初めの曲がり角。

作戦通り、僕はお嬢様と離れて、茜と一緒に右に曲がった。



                 ***



作戦通り、俺は天詩とは逆の左へと曲がった。

一応、一対一というルールは無いが奴らの性格なら真っ向勝負を仕掛けてくるだろう。

そして人数は全員で9人……先生は余った人数について明言していなかったが、

十中八九+1か数えないかだと思う。

という訳で、あわよくば茜に戦闘させずに済ますという作戦だ。


「しかしこれは……本当に外から見たサイズそのままか?」


広い。とにかく広い。

もしかしたら気づかない程度の傾斜を付けられて少し地下のスペースを使っているのかもしれない。

まぁ、そんな事などどうでもいいわけで、俺は誰かに会うために走り続け――




「……止まって」




見えなかった。

一秒前は視界に居なかったはずの椿が、目の前に居る。


「つば、き……」


「灯夜……話がある……」


椿の声が怜悧に響く。

これは今やっているようなお遊びのための声じゃない、本気で殲滅し蹂躙し破壊するための、

戦場の福音。


「どうして……文一に……魔道書を……」


「……お前、もう知っていたのか」


そうだ、直接知る前に椿には伝えておきたかった。

俺は、魔法の事も・・・・・椿の事も・・・・知っているのだから・・・・・・・・・


「あんな所に魔道書があるなんて知らなかったんだ……油断した……」


「文一は……戦うつもり……もちろん、貴女のために……止めはしたけど……多分、無駄……」


心臓が、一際高く鳴った。

非難された苦しみだけなら良かったが、「自分のために天詩が戦う」という所に魅力を感じた自分に、卑怯だなと思う。


「だから……様子を見ているん「嘘……貴女は、知られたくないだけ……」


図星。椿の言う事は正しい、

俺は……「小鳥遊」の事を、彼に知られるのが怖い。


「確かに……全部は話せないけど、湖織も……『黒椿峰』について話した……。……湖織は、文一の事が大事だから……」


「私も! 大事です!!」


気が付くと、叫んでいた。

しかも「俺」じゃなくて「私」……あの時、せっかく捨てたはずの口調……。

いや……今はそんな感傷よりとにかく死にたい。

人前でこの言葉遣いは自分にとっては恥ずかしすぎる。


「……ぷっ」


あ、笑いやがった。


「あははははは!! 灯夜が私とか言ったですー! あぁもうなんで録音しなかったんですか湖織は!! ああはははははははは!!!」


死にたい、こいつ殺してから死にたい。


「あっはっはっは! 顔が赤いですよー?」


湖織は笑いながら、こちらを指差してきた。

しばしの大爆笑、その後、湖織は私に――俺に背を向けた。


「安心してくださいー、湖織は文一が死ぬのは嫌なのできっと平和な世界に連れ戻して見せますー……ただちょっと、痛い目を見てもらう事になりそうですがー」


……あ、よく聞くと椿の口調戻ってる。

いつも通りに呑気な声だ。


「では灯夜、次に私って言う時は教えてくださいね? 動画に撮らせて頂きますー」


そう言いながら、湖織は現れた時と同じように、一瞬で消えていった。

……アイツ、今度口止めしとこう。



                  ***



「よぉイッセー、同じチームになれなくて残念だぜ」


「こっちもだよ、魅伊香」


そうは言っても仕方ねーじゃん……煉斗に無理矢理引っ張られたんだからさ……。

あ、もしかして俺視点? どうも、一聖ですよっと。


「しかしまぁ、お前ともってみたかったんだよな」


「こっちは別に女殴る趣味ねーんだけどなぁ……」


楽しげな目でこちらを睨んでいるのは魅伊香、どうやら俺の相手はコイツらしい。


「ハン、よく言うぜ。確か族の奴は殴った事あるよな?」


「いやあれはすっげぇむかついたし。あと貧乳だったし。俺は相手に胸が大きいほど女性認定度が上がるデスヨ?」


魅伊香の二つのふくらみを見ながら言う。

うん、ビッグサイズ。サッカー続けてれば良いものを……なかなか揺れる瞬間を見れぬでわないか。


「イッセー?」


「なんだいマイハニー?」


「ぶっ殺す!」


おやおや、ちょっとした冗談に律儀に反応しちゃってまぁ。




【北川 一聖VS馬子坂 魅伊香、戦闘開始】





 ひゃっほう! 戦闘入りまーす!

誘宵(以下誘)『ヒャッハァ! 我が大活躍だぜェ!!』

茜「私も大活躍! だぜー」

 うんうん、多分ね。

誘・茜『「多分!!?」』


 という訳で伏線とか戦闘とか陰謀とかもしかして恋愛も渦巻くかもしれないラビリンス・コロシアム! 次回に続く!



追記:タイトルが【全編】になっていたので【前編】に修正しました、全ってどないやねん(笑)

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