第12話:ドキッ!新キャラだらけの恋愛事情【前編】
ポロリは無いよ。
天詩 真紀は中学生一年生だ。
勉強ならばそこらの高校生に負ける気はない。
運動神経も男子に負けない程度には立派だし、身長もある。
性格は少し幼いかもしれないがそれでも大した問題ではない。
でもやっぱり――天詩 真紀は中学生な訳で…………。
***
「はぁ……」
ここは天下無双学園中等部の一年一組、そこで私――天詩 真紀は溜息をついた。
「どしたのどしたの、真紀ー」
声をかけてくるのは友人の一谷 風香。
天下無双学園は私服OKな訳だけど、風香ほどすごい服装の人間は居ない。
ゴスロリ。
ニーソックス+ガーダーベルトは標準装備で装飾過多なドレスは黒色、カチューシャもオプションとして付いてます。
そして同じ事を二回もいうと言う非常に稀有な喋り方だったりもする、本人曰くただの口癖。
たまにこれが友達だという事に疑問を覚えるけど……まぁ、気にしたら負けだと思ってる。
とりあえず、そんな事よりも本題。
「いやね、やっぱり兄貴は私と一緒に学校に通ってくれないの」
高等部には私の義兄が居るのだが、通学路が一緒なのに一緒に登校してくれないのだ。
私の台詞を聞くと風香は考えるようにアゴに手を置いて、言った。
「んむー、やっぱり小鳥遊さんとこで住み込みだからじゃないかなかな?」
ビシリ、と机が割れるような音がした。
見ると風香は「ひぃ」と声を上げて後ずさっている。
どうしたんだろう…………あ、机握り潰しちゃった、いっけなーい☆
「うふふ……やっぱり……そうなのよね……あんの年中ドレスが兄貴を盗っていくから悪いのよね……うふふ……」
「真紀真紀! 顔が危ないよ!? 仕方ないじゃん、まず向こうの方が早く知り合ってるんだし!」
「あはは……風香は、10年近い付き合いをそぉんな簡単に否定しちゃうんだ……。あの嬢なんかより、ずぅっと、長い間、私は兄貴と暮らしてきたのになぁ……」
「ぎゃあああぁぁぁ! 真紀! お願いお願いごめんごめんやめてやめて!!」
…………あ、思わず襟首掴んで持ち上げちゃった、いっけなーい☆
「すーはーすーはー」
深呼吸深呼吸、落ち着け私。こんな所で怒っても何にもならないぞ。
…………よし、ちょっと落ち着いた。
「降ろして降ろしてええええぇぇぇ!!」
あ、風香を降ろすの忘れてた。……ドンマイ、私。
風香を地面に降ろすと、彼女は少し苦しそうに咳き込んだ。
「ごめんね、風香」
素直に謝る、私はそれぐらい出来る子だ。
「……真紀の馬鹿力は分かってるつもりだしだし、これもいつもの事だけどさ……」
ここまでなら、私は許せた。
馬鹿力なんて言われるのも乙女としては複雑な心境だし、ちょっといやな目で見られるのも我慢だ。
しかし、彼女は禁断の一言を口走ってしまった。
「やっぱりさ、義兄ラブなんてのは危ないと思うんだよねよね……」
そのあと数秒間の事はまったく記憶にありません、えぇまったくby真紀
というわけで、私は気づくと片腕で風香を天高く持ち上げていた。
風香お気に入りのドレスの襟が伸びている。
「それが悪いかあああああああああああぁぁぁぁ!!!」
なんだか自分の声でそんな言葉が聞こえた気がする、なんだか不思議だなぁ。
「真紀真紀真紀! 多分自制が効かなくなってるよ! お願いお願いプリーズワンモア深呼吸!!」
……………………ハッ!
危ない危ない……自分の体が本能だけで動いてたよ……。
目の前で、風香は先ほどにも増して苦しそうに床に這いつくばる。
「う〜ん、兄貴が大好きって、そんなにおかしいかなぁ?」
「ケホッ、じゅ、十分十分おかしいよ」
「じゃあさ! 風香は兄に抱きつきたいとか、布団に潜り込みたいとか、「きゃあ! まだ着替えてるのに……お兄ちゃんのエッチ!」という素敵イベントを起こしたいとか思わないの!?」
「思わないよ!」
むぅ、即答されてしまった。
あ、ちなみに風香には実兄が居ます。確か真とかいう名前だったと思う。
「大体大体、真紀はそんなに気になるなら小鳥遊さんとこで働けばいいのに……」
「あの女にあごで使われるなんて御免です!」
【作者権限、解説入りま〜す】
さてさて、どうして中学生なのに働くことが出来るのか!? その疑問に答えたいと思います。
簡単に言っちゃうとアレですね、この町「特進市」が法律すらも曲げるほどの条例を公布する権限があるからなんですね。
この町の市長は「働かざるもの食うべからず」を信条に動いていまして、それは女子供でも例外無しです。
だからこの町は行政はびっくりするほど充実している訳ですが、その分税金が高い! なので一般家庭は子供でも働ける歳になれば分相応の仕事をします。
だからまぁ、メインキャラもほとんどは働いているわけなんですが……その話はまた今度〜。
…………。
「ね、ねぇねぇ真紀真紀、今、なんだか変なことが起きなかった?」
「えっと……気のせい……なのかな? 何の異常もないけど……確かに今、声が……それも生まれる前から知っているような声が聞こえたような……」
【創造主ですからね】
「え!? ……また、聞こえた……?」
【おぉっと、これ以上話し込むとストーリーに影響が出るので、退散させて頂きますよー】
…………それ以降、謎の声は聞こえなくなった。
「ま、まぁ気を取り直して! 何の話題だったっけ!?」
「ブラコンの話だよだよ」
あぁ……気を取り直さなけりゃ良かった……。
「でも……、最近のお兄さん、なんかなんか変」
突然、風香が天を仰いで思い出したように言った。
「へ? 変って?」
「お兄さんは今まで私の事を鬱陶しいと思っても避けるほどでも無かった無かった。でもでも……この前、私の出勤前に登校してた……」
……それは。変だ。兄貴が起きる時間は6時半前後10分の誤差程度(私調べ)、風香は朝番の時、7時以前に到着するように家を出る。
それで会わないと言うことは……兄貴はいつもの起床時間より早く出かけた可能性すらある。
おかしい、兄貴はきちんと睡眠をとらないと倒れるし、最近はとあるゲームを買って攻略中のはず(私調べ)……夜早く寝るのはおかしい……。
「真紀真紀? またまたストーカー的知識を頭の中で反芻しているのかなかな?」
「だぁれがストーカーだってぇ!?」
…………ふぅ、なんとか腕を押し留める事に成功した、偉いぞ私。
「ストーカー以外の何者でも無い無いよ。どうしてお兄さんのスケジュールやらなんやらを全て監視しているのかなかな?」
…………ごめん、無理。
「だああぁぁかああぁぁらああぁぁ!! ストーカーじゃなああああぁぁぁい!!!」
……本能で動いているので体の感覚が定かではないが、きっとこれは片腕で風香を振り回している。
あぁ……そんな「なぁんだ、いつもの事か」見たいな視線を向けないで……。
私はもっと大人しい子のはずなのよ……余計な事さえ言われなければ大和撫子なのよ……。
「あああああああぁぁぁァ!! もうムカついた!! こうなったら! あンのにっくき屋敷に突入し! 兄貴を取り戻してやるうううぅぅぅ!!」
あぁ……私の意思を無視して動かないで、体よ。
そんな暴言をはかないで、ごめんなさい忘れて皆さん、こんなの……こんなの……。
あああぁぁ……これすらも簡単に流さないで……こんだけ暴れて見向きもされないってどういう事よ……。
「むーむー無理だとー思うですーですー」
あぁ……振り回されながらも必死でツッコんでるわ、なんて気丈な子……。
***
一方その頃、ここは小鳥遊町の一角、お世辞にも良いとは言えないマンションの一部屋。
お世辞にも綺麗とはいえないその部屋で、一人の男がパソコンにしがみついている。
その男の風貌は、一言で言えば美男子だ。
整った目鼻立ちに引き締まった体、どこか鋭い印象を見せるその青年は、乱雑に伸びた髪さえ手入れすればブラウン管の向こう側に居てもおかしくない人物だ。
「う〜ん……そろそろ飽きてきたな……」
気だるげに、男性にしては少し高めの声を上げる青年。
少し逡巡するとパソコンの電源を切り、椅子から立ち上がった。
「学校は……今から行ってもご飯食べて帰るだけかな……。昼からの授業はだるいしなぁ……」
もう昼頃に近いというのに、眠そうな動作で青年は洗面所に足を運ぶ。
大きなあくびをしながら、青年は歯を磨きだした。
「うし! 今日はちょっと出かけてみよう」
そして青年は――白咲 煉斗は、大きく伸びをした。
文一(以下文)「さぁて、どうして更新が遅れたか理由を聞かせてもらおうか? まさか真面目に勉強してた訳じゃないよなぁ?」
うっわぁ、信頼ないなぁ、僕。
灯夜(以下灯)「それは当たり前だろう、しかも今回は結構短いじゃないか」
いやぁ……ね。
ゲームを買ったから、ちょっくらそれをやってました☆
文・灯「ドアホウが!!」
パソコンので女だらけで恐ろしい弾幕のシューティングゲームといえば分かる人は分かってくれると思う。
文「いや、僕ら台詞聞けよ……」
まぁ、そういう訳で文章とかも適当になってないか心配なわけですね。
灯「まったくの無視だな……コイツ」
では、次回の更新が遅くならないように気をつけますので、どうか見捨てないで下さい。
灯「作者は4月までは休みだからな、多分更新周期がこの程度のまま進むと思うぞ」
修正:初めらへんに風香の修正前の名前があったので修正、混乱してしまった方すいません。
文「名前変えたのか?」
初めの名前は銘華だったんだけど、結華となんかかぶってたから銘にしたら、次は飛焔さんのキャラとモロにかぶって、それを修正して椿姫にしたんだけど、そしたら次は黒椿峰の略称とかぶって……結局、適当に思い浮かんだ風香って名前。
文「すっげぇ迷走したな……」