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倶有の代 -the world-  作者: 風間 秋
◇斜陽の星
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「電子の海」と呼ばれる世界

 二十一世紀末。人類がその版図を地上から光届かぬ海の底、そして重力の楔から解き放たれ衛星軌道へと広げ、星海の彼方までも見据え始めた時代。拡大する野望と反比例するかのように、前世紀の人々の夢見た希望に満ちた未来像とは、かけ離れた姿が地上にはあった。


 新天地より齎された資源、エネルギーはしかし、人類の抱える因業とも呼べる諸問題を解決することはなかった。大国や大企業による奪い合いは苛烈さを増し、とぐろを巻く巨大な意思は地上の至るところで牙を剥いた。繰り返される紛争に果てを見ることも適わず、拡大する貧富の差は人間をして勝者と敗者に切り分けた。即ち人かそれ以外か。


 これまで人類が抱いてきた人と言う幻想に、終止符が打たれんとした世紀末。混沌たる暗雲から漏れ出したのは断末魔の叫びではなく、狂乱と狂喜の産声だった。

 シャガール・コーツェンの生んだ電脳理論は、道具に過ぎなかった情報ネットワークに新世界を築き上げる。彼は後に第二世代と呼ばれる機械的生体電脳の公開実験に際し、居並ぶカメラに、その先の世界に向けてこう言った。「世界を覆う電子の海こそが、我々のフロンティアなのだ」と。



Samsara(サンサーラ):コーツェン理論を基に開発されたHMI(ヒューマン・マシーン・インターフェイス)、第二世代電脳と呼ばれた人間の神経と電子機器とを接続する装置を、コーツェン博士は「Samsara(サンサーラ)」と名付けた。今日ではサンスクリット語で世界を意味するこの語が、生体電脳の規格一般の名称として普及している。




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