駆け込み少女
某小説講座に送った作品第二弾。
駅を舞台として三人称且つ一人からの目線で書いた小説を
原稿用紙換算3枚程度で、というものでした。
それでは、どうぞ。
駐輪場に自転車をとめ、荷物を抱え、美波は改札に向けて走っていた。ポケットに入れていた携帯電話を取りだし、時間を確認する。なんだ、まだあと十分もある。美波はだんだんと足をゆっくりしていった。
列車の時刻表はほとんど頭に入っている。これを逃すと、次は三十分後。学校に遅刻してしまう。
面倒だったな。反省文を書かされたり、放課後に奉仕作業させられたりさ。
前に一度、乗り過ごして遅刻した時を思い出し、気が重くなった。でも今日は大丈夫。改札はもう目の前だ。
「美波ちゃーん」
背後から声をかけられた。振り返ると、恵理がこちらに向けて走ってくるのが見える。美波は足を止め、友を待った。
「おはよ、恵理」
「おはよう。ね、美波ちゃん」
美波の腕が恵理にがっしりと握られる。
「定期券は? そのバッグ、学校指定のじゃないよね」
美波は胸元に抱えていた鞄を見た。持っていたのは定期券を付けた指定鞄ではなく、リュックサック。瞬間、さぁっと血の気が引く音が聞こえた。
「恵理、ごめん、これ持ってて!」
返事を待たず、美波はリュックを恵理に押し付け、走り出した。改札前の時計を見ると、発車まで五分を切っている。
そうだ、前回も同じ事をした。あの時も遅刻目前で焦って、指定鞄を自転車に括り付けたままにしていて……。
列車の到着を告げる音が聞こえた。
「あぁもう!」
人目も気にせず美波は叫んだ。
駐輪場に着き自転車を見ると、やはり鞄が荷台に残っている。自転車まで行くと、紐を引きちぎらんばかりに乱暴に荷物を取った。そしてもう一度改札に向けて駆けだす。
間に合え、いや、間に合って!
改札前の時計が発車時刻を少し過ぎようとしていた。駅員に定期券をどうにか提示し、ホームへ走っていく。
列車は、止まっていた。
車掌に恵理が話しかけているのが見える。待つように頼んでくれたのだろう。美波の姿を確認すると、恵理は車掌に頭を下げて列車に乗り込んだ。
「すみません、ありがとうございます!」
美波も頭を下げながら列車に飛び乗った。発車のベルが響く。
扉が閉まり、ゆっくり景色が動きだした。人混みの中から恵理を見つけ、間をぬって話ができる距離まで近づくと、
「ありがと、助かったぁ」
美波は恵理に抱き付いた。
「よかったね、間に合って。でもね、美波ちゃん、駆け込み乗車は危険ですのでご遠慮ください」
何がおかしいのかよく分からない。それでも笑いがこみあげてきて、静かに笑いあった。
いろいろ指摘されましたが、講座に送ったものそのままでお送りしました。
最後のまとめ方が自分でもうまく納得がいっていません。
どうすればすっきり終われたのか……。
起承転結がしっかりしていますね、とは講師にコメントをされたものの、うーん。
あと、講師の方は作品タイトルにも何か考えがあったようですが、残念ながらそこにコメントはありませんでした。うーん。センスがないのはわかっているんですがね(笑)
こうしたほうがいいのでは?というようなアドバイスも
辛口なコメントも甘口なコメントもお待ちしております。