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弱いからこそ強くなれる!  作者: かみかみん
第一章 ネコ科!?
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第二八幕

この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。

 思いつく限りのトラップは張ってみたんだが…こういった事に対してはヒラメキっていうものが重要なんだってわかったな。そもそも、命の危険が伴うトラップなんて映画とかテレビの中しか見たことないから考えてもそれ以上のアイディアは浮かばなくて当然か。


『即興のトラバサミとか、お試しに氷の竹槍落とし穴を作ってはみたけれど果たしてどれだけ効果が見込まれるのか…』


 トラバサミなんてもの構造がよくわかんないっての。取り敢えず足を乗せたらノコギリ状の口が閉じるみたいな仕掛けを施した。外そうとしても自重で口が開かないみたいな。

 落とし穴だって穴を掘る作業は手作業だからそこまで大きな穴は掘れやしない。精々深さが50センチ位で幅は人一人が埋まる程度のものだ。一応氷製の槍にはカエシを付けたけれど…そもそもハマらなかったら意味がなさすぎる。


――――だけれどここで殺らないとこっちが殺られちまうのもまた事実。


『ここまで来たらやるしかないか』


 意を決した俺は3体の魔物をおびき寄せる為行動を起こした。トラップを張った場所は落盤により塞がってしまった箇所から10メートルほど離れた場所だ。殆どの灯りが消えて視界は最悪、足元も整備されておらず木材の破片が落ちていたり、地面自体が隆起していたりと凸凹状態。こんな中で足元にあるトラップに気づくのは難しい筈だ。それに俺にはスキルの『夜目』がある。自分自身がトラップに引っかかるヘマはしないだろう。

 万が一魔物達がトラップに引っかからなくてもコレだけ暗闇ならスキル『隠密』を行使すれば反対側にあった出口から逃げ切ることも可能かもしれない。運が良ければ同士討ちなんて事も考えられる。


 無い頭で考えられる凡ゆる事に対して想定しながら俺は奴等がたむろしていた部屋へと歩を進めた。

それがまさか…





















『リアルなスプラッタ映像ほどドン引きなモノってないと思うんだけれど、どう思う?』


『わ、わわ妾が知るはずもなかろう!むしろなんじゃお主は!?』


 まさか俺が『こうなってくれたらいいな~』程度にしか思っていなかったことがこうもあっさりと叶ってしまうとは。ただ、実際に希望通りの絵柄にはなったのはいいんだが、なかなかにエグイ光景になるとは予想していなかったわ。

 俺は落ちていた老木に火をつけて松明にしてみて改めて確認するもグロさマックスには変わりがない。

 先に言っておこう、俺の予定ではトラップはあくまでも足止め、もしくは魔物の誰か一体でもいいから戦闘不能にできたらイイなぁ程度にしか考えていなかった。決して今の状態になるよう考えた訳ではない。


『く、クソ野郎が……俺を嘗めるのも大概にしやが――――』


《――――――――ガスッ》


『少し黙っておいて下さいませんかね?ってかお前なんか舐めたくないんだけれど。粘膜と血でギトギトになっちまって鉄の味とかいらないし、ぶっちゃけお前変な病気持ってるだろ?』


『いや、恐らくコヤツが申しておるのは別の…イ、イヤ。何でもないぞ。妾は何も言ってなんかいないのじゃ!』


 ロードは落とし穴に落ちているし、ウルフはトラバサミモドキに引っかかって、コボルトは傍らでブルブル震えている。さてさて、何でこんな状態になってしまったか…簡単に説明すると


→ウルフ、コボルト、ロードの順で縦に歩く


→足場が悪くてコボルト転倒、そして軽く悲鳴をあげる


→更にウルフがトラバサミモドキに引っかかる


→ウルフ痛みのあまり絶叫


→二体の悲鳴にロードが何かがあると勘違いして横にズレる


→足元の段差に躓き転倒、更に偶々設置してあった落とし穴に背中から突撃!



 …という感じだったりする。しかも思っていた以上に氷の槍が丈夫だったみたいでロードの体の色々なところから貫通して先端が見えている。

 結果としてウルフ&ロードは身動きがとれず、コボルトは目の前で繰り広げられたあまりの光景から腰を抜かして戦意喪失状態になっている。足元に水溜りができているような感じがするけれど気のせいだと思いたい。……なんだかこうして話している内容を聞いていると元からヘタレっぽい感じがするけれど。

 まぁ、結果だけを見れば戦果は上々というやつなのかもしれない。後はこいつ等をクリーヌやルジーナさんと元に連れて行くだけだが…


『――――ってことはこの粘液か何かわからないものに覆われた奴を運ばないといけないのか!?』


 マジ勘弁だわ。主に俺の精神衛生上悪影響を及ぼさないかが心配すぎて勘弁だわ。それによく考えたら別の出口を探しながらっていう手間もあるんだよな。早いとこルジーナさん達と合流しないといけないのに……うっわ、本当にやめて――――



――――ゲシッゲシッ!



 俺が今後について思案していると何かを蹴飛ばす音が聞こえてきた。俺はいったん考える作業をやめて音のする方向への視線を向ける。そこには……


『こいつめっ!こいつめっ!お前の所為で妾は酷い目にあったのじゃ!さっさと力尽きるがいいわ!』


 ヘタレコボルト、略してヘタルトがロードに踏み付けをお見舞いしているところだった。ロードは身動きこそ取れないが、意識は保っているため、鋭い視線をヘタルトに向けているがお構いなしの状態だ。


『オイ雑魚アマァ!テメェ誰に向かってそんな態度を持っているのかわかっているんだろうな!』


『ふ、ふん!そんな(はりつけ)状態の奴の声なんてまったく怖くないのじゃ!わ、妾にかかればお前なんて――――』


ロードの声に声を震わせながらも気丈に言い返しているヘタルト。この台詞だけ聞けばヘタルトなんて不名誉なあだ名は付けられないんだが……


『全てを台無しにしかねないから俺の後ろに隠れて威張るのはやめようか。あと臭いぞヘタルト』


『だ、誰がヘタレコボルト、略してヘタルトなのじゃ!そ、それに妾はお漏らしなんてしておらぬのじゃ!』


『お漏らしって自分でいってんじゃん。ってかヘタルトの自覚ありありじゃんか。それよりも、おいクソウルフなんでずっと黙っているわけ? それとも、痛みのあまり気でもふれた?』


『誰がクソか!ここまでケットシー如きに苦渋を飲まされるとは…』


 平常運転変わらずなウルフでありましたね。ってあれ?俺のことを知らない風にいっているけれど何でだ?……あぁ、そう言えば前にあったときはワイルドキャットだった気がするな。

 まぁいいや。ぶっちゃけ運び出すのって手間だしとりあえずは反対側の出口まで行ってルジーナさん&クリーヌ+冒険者'sの安否だけでも確認にいってこよう。

 ルジーナさん達に止めを刺してもらうどころか、皆が無事じゃないことには意味がないしな。


『っと、その前にやることがあるんだった《トランスマイグレーション》!』


 俺はスキル《トランスマイグレーション》を発動させケットシー状態からワイルドキャットへと姿を変えた。突然俺の容姿が変化したのだ流石に三体の魔物は驚きを隠せない様子だったようだ。


『――――――ッ!? き、貴様は何時ぞやの小娘と一緒にいた猫型の魔物!』


 ワイルドキャットになった俺の姿を見て真っ先にウルフでの集落のことを思い出していただいたようで何よりですね。目をこれでも勝手くらい引ん剥いて驚きの表情を露にしている。

 おっと、そんな事はどうでもよかったんだわ。それよりも先に――――


『火だとほかのやつも燃えそうだから氷にさせてもらうよ。と言う訳で《アイスブレス》!』


 俺は有無を言わせずゴブリンロードに向かってアイスブレスを叩き込んだ。ケットシーの時に放ったブレスと比べて数段上の冷気を含んでいるそれはゴブリン・ロードの身体を末端からジワジワと凍結させていく。


『な、なんだ⁉︎ 身体の感覚が無くなっていくだと! おいコラァクソ猫ぉぉ、テメェ俺の身体に何をしやがったぁぁ‼︎』


何か叫んでいるが俺は取り合わない。俺は臆病な性格だから俺の命を脅かすであろう不確定要素はさっさと処理をする。 ウルフやヘタルトにも同じことが言えるのかもしれないけれど、コイツらはあくまでも俺の仲間の獲物だ。 それにぶっちゃけ今現在 この光景を見ていて尚、俺をどうこう出来るような度胸が無いことは今までの経緯から容易に推察が出来た。


『あ、あぁ…ヤメロ……ヤメテクレエェェ!』


自身の身体を包み込む冷気、徐々に動かなくなる身体、末梢から無くなっていく感覚。恐らくロードは今までの感じたことが無いような恐怖心を抱いていることだろう。ムリもない、自身の身体が凍っていく感覚なんて感じたことがあるはずない。 そして、ジワジワと忍び寄る死の影に怯えるなんて今まで経験しなことがあるはずがなかった。何故なら奴はゴブリンのロード(王様)なのだから。


『クソッ…クソッたれが!!いいか、たとえ俺がここで朽ちても必ずお前をォ――――――ッ!?』


――――――――ピシッ…


 ある瞬間を境として奴の声が聞こえなくなった。池の鯉を髣髴とさせるように口をパクパクとさせている。たぶん、声帯の動きが止まってしまったのだろう。……いや、もしかしたら凍り付いている最中に無理矢理大きな声を出すもんだから肺に亀裂が入ってしまったのかもしれない。

 ただ、一つだけいえることがある。それは……


――――――――ミシ…ミシミシミシ……ビシビシビシ


 徐々にだが確実に奴の命が砕けていき瞳から光が失われていく。もはや意識はほとんど無いのだろう。身体中を蜘蛛の巣状な皹に覆われていく。















――――――バリィィィン!


あっけないほどの幕切れかもしれない。ただ俺はこの時、生物を殺した嫌悪感でも敵が死んだという安堵感よりも……



『――――――――たとえ俺がここで朽ちても必ずお前を』


 やつの最後の言葉が耳から離れることが無かった。












【――――進化可能条件を満たしました。スキル『クライシス』により即時進化致します………………進化完了致しました】


【――――進化可能条件を満たしました。スキル『クライシス』により即時進化致します………………進化完了致しました】





【――――進化可能時間のタイムリミットとなりました。スキルクライシスの効果が消失します】

気がついたら2年の月日が経ってしまっていました。

謝罪してもしきれません。これからも少しずつ進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

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