表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱いからこそ強くなれる!  作者: かみかみん
第一章 ネコ科!?
26/30

第二六幕

この物語はフィクションです。登場する名前・団体は架空のものです。

【――――シークレット・スキル『クライシス』が発動しました】



【――――スキル『クライシス』収束しました】


【――――スキル『クライシス』により可能性の一部がパーティメンバーに譲渡されました】


【――――スキル『クライシス』により15の可能性を失いました】


【――――スキル『クライシス』によりパーティメンバーに可能性が出現しました。制限時間残り30分です】


【――――ゴブリン・シャーマンを2体、撃破しました。スキル『クライシス』により経験値の全てがパーティメンバーに付与されます】


【――――スキルオーナーの再起動を開始します】


【――――3…】


【――――2…】


【――――1…】










『――――はい起きます!起きますから肉球は勘弁ーーーーってあり?』


いきなりクリアとなった意識に俺は若干の恐怖を覚える。先ほどまで意識がなかったというのに何故だかわからないがアナウンス音はしっかりと聞こえていたからだ。


『再起動って……パソコンかよ?』


一人ごちても仕方がないのだが混乱している自分を取り敢えず落ち着けるには呟かずにはいられなかった。

とにもかくにも、まずは現状把握が重要だ。今現在、自分に降り掛かっている事柄が全く理解出来ないなんて自殺志願者にも等しい。


何でも良いから情報を得たい俺は辺りを見渡すが、なぜか先程とは違い洞窟内全域が暗くなっている様に感じられる。しかも、わずかに見える視界も砂煙が舞っている所為で殆どゼロと言ってもいいほどだ。

一体、俺が意識を飛ばしている間に何が起きたのやら……

目を凝らせど砂煙が晴れる筈もない。僅かにだが足元を見ることが出来るのは幸いだった。

足元の方を目を凝らしながら歩くこと一秒、って言うか直ぐに違和感の一つを感じた。


『出口にあったはずの松明の光が見えない。それに確か洞窟内は光っている不思議鉱石があったはずなのにその光が無くなっている?』


幾ら暗かろうが俺の目は猫科と言うこともあり、暗い場所でも最新の暗視カメラみたくはっきりと見ることが出来る。しかし、砂煙はどうにもならない。

それに、こんな砂が舞っている中で眼なんか開けていたら涙が止まらなくなってイザと言うときに反応できない。

俺は身を伏せて砂煙がおさまるのを待つ事にした。


『くそがっ!猫風情がやりやがったなぁ……憎らしいったらありゃしねぇ。次に会ったらあの雌共の目の前でハラァかっ裂いてハラワタ引き摺りだしてやる!!』


そんな中、洞窟内に響き渡る呪咀の様に恨み辛みが籠められた声。

丁度砂煙も晴れてきたので目を凝らしてみると、遠くの方にバカデカいヒト型の影が見える。あっちへフラフラ、こっちへフラフラとさながらゾンビの徘徊にも見える。考える迄もなくついさっきまで対峙していたゴブリン・ロードだ。恐らく猫科の俺とは違い夜目が全く効かないのだろう。そうなればあいつの視界は間違いなくゼロの筈だ。


『(奇襲を掛けるにはもってこいのタイミングだけれど……)』


一体全体何が起きたのかなんてわからないが、一先ずやれるだけの事はやっておいたほうが良いに決まっている。

俺は気付かれないように細心の注意を払いながらロードの背後から近づいていく。気分はさながら伝説の蛇傭兵さんだ。

ロードとの距離は目測3メートルほどだろうか、意外な事にロードは俺の気配に全く気付いていない様子だ。 今俺はワイルドキャットのままでケットシー状態で使えるスキル『隠密』を発動させていない。 暗闇で正確な場所は判らないが気配くらいは察していると思っていた俺にとっては意外すぎる結果だ。


『俺が苦汁を飲まされるとはなぁ……これもあの死にぞこないと雑魚アマの所為だ!!』


ロードは悪態をつき続けている。 恐らく頭に血が上っているからこそ、俺の気配に気付かないのだろう。

それなら、冷静になる前にケットシーになる必要があるか。まぁ今すぐ対処する必要はないからこの件は後にして……

それよりも誰かの所為とか言っていたよな? 一体ロードのヤツは何を言ってんだ? 何だかあの言い方だと唆されてここに居ますって聞こえるんだけれど。

って事はあれかい、今回の黒幕って奴は別にいる……って事?

そうだとしたら話の流れ的に黒幕は【死にぞこない】に【雑魚アマ】って奴らだと思うんだが、心当たりが――――










――――イヤ待てよ、少なくても死にぞこないって奴には心当たりがある。

俺の勘が間違っていないとするなら……


ロードは壁を伝って洞窟の奥深くまで移動を始めた。暗闇のなかだが恐らく黒幕がいる場所への道筋がわかるのだろう。

あいつに着いていけば黒幕達の下に辿り着けるかもしれない。


『(【雑魚アマ】ってのが気になる……ルジーナさん達には悪いけれどシャーマンが倒れたみたいだし、もう少し踏張ってもらおう。それじゃあ俺は確かめるって意味をこめて一丁尾行してみるか。――――トランスマイグレーション!)』


俺はすかさず身体をワイルドキャットからケットシーへと変異させスキル『隠密』を発動させた。


『……慣れって怖い』


ごく普通に身体が変わるほどのスキルを使っているのに違和感を全く感じないっていうことに驚きしかないな。 いやはや、慣れとは恐ろしい。 ……重要なことだから二回言ってみました


おっと、気付いたら引き離されているじゃんか。 遠からず近からずを目標にしないといけないな。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



【――――レベルが6に上がりました】


【――――レベルが7に上がりました】


【――――レベルが8に上がりました】


【――――レベルが9に上がりました】


ギンが洞窟の一部を崩落させたことによりシャーマン2体は瓦礫の下敷きになりその醜い命を散らせた。

そしてその影響なのだろう、我は久方のレベルアップを経験している。 だが素直に喜ぶことは出来ない。


『久方のレベルアップだと言うのに、こんな状況とはな……』


我らの眼前には普段は決して群れることの無いゴブリンとコボルトが群れをなしている。 つまりは命の危険にさらされているのだ。

だが不可解な点だらけで驚き疲れているが、我にはそんな命の危険が迫っているという事実よりも驚愕していることがある。


『ギンは祝福持ちであったのか……』


『いや、ギンだから納得できるって感じもするわね。それにしても、あたし達にも影響が表れるって……かなり高位の祝福じゃない?』


確かに。我らに対して進化の可能性が出るとはな……

しかし、今の状態では進化は出来ぬ様子だ。 何かしらの条件を満たす必要があるようだが皆目検討もつかない。

それにタイムリミットとかいう言葉も気になる。

そもそも《進化する》ということ自体が未だ謎に包まれているのだ。そう考えると普通の猫から三度の進化を経て今に至るギンがどれほど迄に規格外かが伺える。


『そういえば、アンタもレベルが上がったんでしょ?アタシは9になったわ。いや〜まさか一気に5レベルも上がるなんて予想外過ぎるわ』


『我も4レベル上がって9レベルになった』


だが、我らの体力は既に限界を迎えている。ギンがヒールをかけていなければ出血死していたことだろう。確かにヒールによって身体の傷は癒えた。しかし失われた血はヒールで元通りになることはない。実際、意識を保っているだけでも辛いものがある。


『もしもしルジーナさんや、あの大量ゴブリンの中で生き残る自信はあるかね?』


『……何を言っているクリさんや『クリってゆーな!』生き残る自信なんか微塵にもありはせぬぞ』


あまりにもあんまりな会話文だと我ながら思う。

しかし事態は緊迫しているのはかわり無い。レベルがあがった分、すぐに死ぬことは無くなったが、何十体ものゴブリンを相手にするのは無謀にも等しい。更にはこの場にはいないが裏切りのウルフにコボルトも何処かに潜んでいる可能性もある。


『ギン風に言うなら、絶体絶命ナウってところよね?』


『ナウの意味がわからぬが、間違いないだろうな。しかしやらねばなるまい?少なくともギンが戻りさえすれば戦況は変わるやもしれぬ』


先程のギンとロードの様子を見る限り、その可能性は低いやも知れぬ。仮にギンが戻ってきたとしても我らの以上の深手を負っている可能性も否定できぬ。










――――――だが…


普通に考えればここで終わるところだが、生憎とギンは普通の猫科の魔物ではない。それに……


『まぁ、仲間は信じるためにいるのだからな……少なくとも我らが絶望するには早かろう』


我の言葉を聞き、クリーヌは一瞬驚いたような表情をうかべるも、直ぐ様満面の笑みを浮かべ――――


『まぁそういう事よね!』


……哀しいかな、言っていることは至極全うで清々しい位な声だというのに互いに力が入らず伏せっているためにしまらない絵図だと思う。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



【――――進化可能条件まで残り――――1。進化可能時間まで残り15分です】


【――――進化可能条件まで残り――――1。進化可能時間まで残り15分です】





















【――――進化可能条件を満たしました。スキル『クライシス』により即時進化致します………………進化完了致しました】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ