表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱いからこそ強くなれる!  作者: かみかみん
第一章 ネコ科!?
16/30

第十六幕

この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。

最後にお知らせがありますので、あとがきも見ていただけると幸いです。

 ルジーナさんが治める中央の縄張りにクリーヌが来てから数日が経過した。

 あの後、なんでクリーヌがウルフの縄張りから此方の縄張りに来たかを言及したところ……


『私がどこに所属しようと勝手じゃないかしら?』


 ……いや、当人を差し置いて勝手に決めるのはどうかと思うが。

 しかし、クリーヌがこっちに来た以上気になるのはウルフの新リーダーだ。

 だって、前ウルフのリーダーを倒したのは俺が手を貸したとは言えクリーヌに違いないのだ。 それに、お兄さんが元リーダーだと言うこともあり俺的にはクリーヌが適任だと思っていたんだけれど……


『リーダー? あぁ、何だか面倒臭そうだからアイリーンに押し付けてきたわ』


 ……その瞬間、幻聴だとは思うけれど妹さんの『お姉様ぁぁぁぁ!?』と言う悲痛な叫び声が聞こえた気がするのは決して気のせいではないと思いたい。

 さてさて、クリーヌが俺達の仲間になることに関してだけれど、予想外な事にルジーナさんが拒否等をすることは無かった。 断ると思っていた俺は不思議に思いその事について聞いてみた。 すると……


『増える分には問題ない』


 ――――――だそうだ。


 そう言えば、クリーヌがこっちに来たこと以外にもう一つだけ変わったことがある。

 ウルフの縄張りで一暴れした次の日……










――――――俺っち、また進化しました。


 いやはや、驚きですよ。 まさか朝になっていたら変化しているんですもん。 最も次の日からは進化する事が無かったから現在のレベルではこれが限界なのだろう。

 さてさて、気になる進化後の姿なんだけれど……いきなり人型になりました。

 ルジーナさん曰く『ワーキャット』という種族だそうです。

 身体は成人男性くらいになり、結構筋肉質だ。

 上半身は裸だというのに下半身は装備した覚えが無いのにデフォルトで銀色のパンツを装備していた。 生地はジーパンみたいな感じかな? 動きやすいから問題はないけれどね。 当然のごとく尻から銀色の細長い尻尾が生えていたのは半ば諦めた。


 そんでもって、気になる顔は生前の自分の顔と瓜二つでイケメンでもなく……自分で言うのも変だけれど見れないほど醜い顔でもなく、平凡そうな顔をしています。

 猫耳も消えることなく帽子の穴からピンと立っている。 帽子の隙間からは銀色の髪の毛が見え隠れしている。


 そういえば、以前レンに貰ったパイロットキャップがようやくフィットするサイズになったのは嬉しかったな。

 進化した朝は案の定、ルジーナさんとクリーヌは目を真ん丸にして驚いていたけれど、もはや諦めたような顔になっていた。



 とまぁ、身の上話はここまででいいかな。

 それから数日間は暇続きだった。 大きな争いごともなく、一日中ルジーナさんやクリーヌとダベって過ごしたり、時折侵入してくるゴブリンを撃退したり時には命を奪ったり……


 寝床は初日に過ごした試練の洞窟の入り口だ。 ただ、気が付いたら何でか知らないがクリーヌも一緒に寝ていた事実に驚いたけれど。

それと最近、朝起きると洞窟の入り口にかならずと言っていい程、巨大な葉っぱに包まれたウサギの魔物やら鳥の魔物やら小動物の死骸が置かれているのが不思議でならない。

しかも、ご丁寧に血抜きまでしてあるんだよな……嫌がらせか?

まぁ、朝食がわりにいただいているから儲けものだけれどね。


 そんなグダグダな生活を送っているさなか、ルジーナさんが俺が使えるスキルについて聞いてきたんだ。


「ギン、お主はファイアブレス・アイスブレス以外にどのようなスキルが使えるのだ?」


 確かに俺自身も気になってはいた事なんだよね。 元々、この2つは気が付いたら使えるようになったのだ。 それ以外に使えるスキルがあるのならば知りたい。


 俺はその事をやんわりとルジーナさんに伝えたところ、ルジーナさんと一緒に話を聞いていたクリーヌが一番始めに反応した。


「アンタ、自分のステータスを確認した事ないの?」


「……何ソレ?」


 またもやここで新ワードをゲットしちまったぜ。 いや、ステータスって言う言葉はゲームとかで何度も聞いたことはあるんだけれどね。

 しかし、まさかこの世界でステータスなんて単語を聞くときがくるなんて思いもよらなかったな。 まぁ、レベルって言葉がある時点でおかしいとは思っていたんだけれどさ。


「呆れた……アンタ、本当に何も知らないのね」


「自分の強さが見たいと念じてみよ。 さすればステータスが浮かび上がってくるであろう」


 ……なるほど。 俺はすぐに頭の中で『ステータスかも~ん!』と叫びまくった。

 それこそ、これでもかと言うくらい頭の中で『ステータス』を連呼した。 もう、後にも先にも無いくらい叫びまくった。


 ――――――すると……




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


個体名:ギン

種族名:ワーキャット

属性:火・氷

祝福:名も無き女神の祝福

パーティーメンバー:リザードマン・ウルフ


レベル:35

HP:1770

MP:880

STR:195

DEF:125

AGI:180

INT:115

LUC:Infinity


スキル一覧

・ファイアブレス

・アイスブレス

・ヒートスラッシュ

・コールドスラッシュ

・トランスマイグレーション


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 うわ~お、本当にステータスが出たよ。 ……ふむふむ、俺のレベルって本当は35だったんだ。

 それに属性か……火や氷と言うのは何となくわかるかな。 火をはいたり冷気を出したりしていたし。

後は色々とあるけれど……このパーティーメンバーは 仲間って公言しているし。

でもこの『名も無き女神の祝福』って言うのは……何だろう? 祝福……根本的に女神様に会った事なんて無いんだけれど。

 それと、このLUC……インフィニティってカンストしているって事か?


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『名も無き女神の祝福』

・異なる世界より導かれた者への祝福


効果

・LUC+Infinity


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ……なんか説明きたんだけれど。

 でも、これではっきりしたな。 異なる世界より導かれた者への祝福って事はだ、ここ(オリジン)は地球では無いって事なんだな。 更に言うのであれば、それのおかげでLUC……つまり『運』がカンストしてしまっていると……だから、子猫の状態で運よく進化の実を大量ゲットできたりしたのかな?

 訳わかんねぇけれどなるほど……さてさて、使えるスキルはブレス系に……スラッシュ? それにトランスマイグレーションってなに?


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『ヒートスラッシュ』


効果

・STR+火属性30%

・MP−20


『コールドスラッシュ』


効果

・STR+氷属性30%

・MP−20


『トランスマイグレーション』


効果

・進化の過程へと転生する

・MP−0


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ……またもや説明来たな。 でも、スラッシュ系は何となくわかったんだけれど、未だにこのトランスマイグレーションの意味が分からん。

進化の過程へと転生って……まぁ危ないものでもなさそうだから使ってみればわかるか。


 そう決めた俺は心の中で『トランスマイグレーション』と唱えた。 すると、何故だろうか……


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


・猫

・ケットシー

・ワイルドキャット


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今までなったことのある種族の名前が頭の中に思い浮かんできた。 俺は何となくその中からケットシーを選択した。

 すると次の瞬間、徐々にだが俺の視点が下がってきたではないか。 ワーキャットになって少なくとも身長は170センチはあったはずなのだが、徐々に俺の視点は地面へと近づいてきている。

 それと並行して先ほどまで二足歩行だったと言うのに久々の四足歩行になっているではないか。 変化の時間こそ数秒の間だったのだが、その間に俺の姿は様変わりしてしまった。

 ふと、事の顛末を見守っていたルジーナさんとクリーヌの反応が気になり二人へと目をやった。


 そして、そこには期待を裏切らない反応を……










「……退化?」


「戻ったって言ってあげなさいよ」


 ――――していなかった。 寧ろ、ルジーナさんに至ってはかなり辛辣なお言葉が来た。 そして、それをクリーヌがフォローする図式が珍し過ぎて笑える。

 それよりも、今の俺の姿は数日前までのケットシーの姿じゃありませんか。

 ……成る程、今まで進化したことのある種族に変われるんだな。


「何でもトランスマイグレーションって言うみたいだよ、今まで進化したことのある種族に転生可能なんだと」


「……なんか需要あんの?」


「……わざわざ弱くなる必要など無いのではないか?」


「……アンタ等、さり気なく俺のピュアハートをえぐってんぞ?」


 でも、確かに弱肉強食であるこの世界ではあまり需要がないみたいだ。 誰が好き好んで弱くなるためのスキルを覚えにゃならんのだ。

 確かに始まりの地(オリジン)ではケットシーでも生き残れそうだし、寧ろワーキャットなんていう上位種だって言うだけで色々と面倒なことになるかもしれない。 たとえば、あまりにもレベルが違いすぎるから危険な魔物として懸賞金をかけられるとか……いや、これは考え過ぎかな。

 せいぜい、小さな体を利用して狭い所を通るとか、少量のご飯で腹一杯になるとか精々そんなもんだろう。


 ……そう言えば、ワーキャットとケットシーはステータス的には違うんだろうか? 一応、進化と言う過程を経てこの姿になったんだ。 ステータスで表すとどれくらい違うんだろう?

 俺は再び胸中で『ステータス』と呟いた。

 すると、先ほどと同じようにまるでゲームのようなステータスウインドウが表示された。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


個体名:ギン

種族名:ケットシー

属性:火・氷

祝福:名も無き女神の祝福

パーティーメンバー:リザードマン・ウルフ


レベル:35

HP:850

MP:950

STR:115

DEF:95

AGI:250

INT:105

LUC:Infinity


スキル一覧

・ファイアブレス

・アイスブレス

・隠密

・ヒール

・トランスマイグレーション


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 何だか、ワーキャットと比べたら全体的にステータスがダウンしちまっているな。 でも『AGI』……素早さかな? これがだいぶ上がっているよ。

それにスキルもスラッシュ系が消えて『隠密』って言うのが追加されているし……『ヒール』って言うのも追加されている。

確かゲーム内のヒールってのは回復魔法だったよな?

……こいつは、意外と使えるかもしれないな『トランスマイグレーション』ってスキルは。

 俺は再び『トランスマイグレーション』と心の中で呟いた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


・猫

・ワイルドキャット

・ワーキャット


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 当り前ではあるが、今現在なっているケットシーの選択肢が消されて新しくワーキャットが増えている。 それじゃあ、こんどはワイルドキャットになってみますか。

 俺は心の中でワイルドキャットを選択した。 すると直後に先ほどと同じような変化が起きた。

 唯一違う事と言えば、先ほどとは違い身体が大きくなっている点であろうか。 まぁ、同じ四足歩行魔物だから視点以外の変化はないので先ほどよりも違和感は少ないけれど。

そんな事よりも早速ステータスを確認しなきゃだね。


ルジーナさんとクリーヌはまたもや姿が変わった俺を見て怪訝な表情を浮かべていたが、詳しい説明はあとにしておこう。

そうして、俺は身体がワイルドキャットになったのを確認すると直ぐ様、同じようにステータスを呼び出した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


個体名:ギン

種族名:ワイルドキャット

属性:火・氷

祝福:名も無き女神の祝福

パーティーメンバー:リザードマン・ウルフ



レベル:35

HP:1050

MP:255

STR:215

DEF:165

AGI:155

INT:80

LUC:Infinity



スキル

・ファイアブレス

・アイスブレス

・咆哮

・トランスマイグレーション



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


成る程、ワイルドキャットは力自慢か。 ケットシーは素早さ重視でワーキャットはバランスタイプ。

そんでもってワーキャットは全体的にステータスが高めの設定ね。


「それで、何がわかったのだ?」


「んとね……姿をかえるとスキルやステータスに変動があるね」


俺の言葉にルジーナさんは無表情ながら、一瞬だけ怪訝な表情を浮かべたがすぐに何時もの顔に戻った。


「まぁ、スキルつってもブレス系以外は隠密や咆哮とか補助スキルみたいなのが使えそうかな。 そういやレベルって35だったみたい」


「はぁ~……何か羨ましいを通り越して呆れてくるわね……拝んだらいいことあるかしら?」


そう言いながら器用に両前脚を合わせて俺を拝み始めたクリーヌ。

……何だかバカにされた気分だ。


「ならば我も――――」


ルジーナさんも便乗しはじめたし。 なんだか、拝まれるとこそばゆい感じがするな。


――――――ザッ…ザッ…ザッ……


そんなシュールな光景が数秒間みられたその時だ、俺の耳がこちらへと近づいてきている奴の足音をとらえたのは。

そんな俺の様子を見て異変に気が付いたのかルジーナさんはロングソードの柄へ手をかけ、身を低くして臨戦態勢をとった。

そしてクリーヌはと言うと……


「もっと強くなれますように。そんでもって、早くこのバカの背中を守れるように……って何言わせんのよ!」


今だに俺を拝み続けていた。 そして、何がツボにはいったのか急に意味不明な事を叫びながら俺の前脚をバシバシとドツキ始めた。

……爪がたっていて地味に痛いぜ。


「……これこれクリーヌさんや、痛いですよ。 そして何より侵入者だよ」


「なんか文句あんの!」


「何かキレられている!?」


急に怒りの表情を浮かべて食って掛かるクリーヌ。

その姿に若干の理不尽さを覚えたが、今はソレよりも侵入者の方が重要な案件だ。


クリーヌの事は一旦置いておき、俺は近づいてくる足音の方へと顔を向けた。

流石のクリーヌも場の空気を読み、唯事では無いことに今更ながらに気付き俺が顔を向けた方へ眼をやった。



――――ザッ…ザッ…ザッ……


徐々に近づいてくる足跡だが、俺はそこで異変に気が付いた。

聞こえてくる足音が僅かに足を引き摺っているかの如く擦れた音に聞こえたのだ。

もしかしたら、怪我をしているのか?


そんな考えが頭をよぎった矢先、目の前にあった茂みが不規則に揺らぎ、灰色の影が姿を現した。


「ム……コボルトではないか?」


「コボルトって言うと南の……それにしても、えらく怪我が目立つな」


「誰よアンタ?」


現われたのは身長が1メートル少しある犬の顔をした二足歩行の魔物、『コボルト』だった。

ルジーナさん曰く、コボルトと言う種族はオリジンの中でも特にひ弱な種族に位置しているらしい。

順番で言うとコボルト<ゴブリン<ウルフ<リザードマン見たいな感じだ。

だからこそなのか、繁殖力はオリジン内でも抜群に飛び抜けているらしく個体数は圧倒的に多いらしい。

さて、このコボルトは基本的に縄張りから出ることはなく、閉鎖的な暮らしをしているとのことだが……今俺達の目の前にはそんな常識を無視した血塗れのコボルトがいるわけなんだが。



そして、急に現われたコボルトは俺達の姿を確認するや否や……


――――――ドサリ……


何の前触れもなく、前のめりにぶっ倒れたのであった。


ありがとうございました、何とか復活しました。


リハビリ的に書いたので色々と変な文章になってしまいましたがご了承ください。


ではでは、次回もお楽しみに~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ