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弱いからこそ強くなれる!  作者: かみかみん
第一章 ネコ科!?
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第一幕

この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。

 ファンタジーな世界というのは誰しも憧れを抱く事があると思う。

 フとした拍子に読んでいる漫画の世界の主人公に自分を置き換えてみたり、人によってはその想いを物語にしてネット上に掲載する人もいるはずだ。

 人は常日頃から軽く現実逃避をする瞬間がある。ストレス社会の中における発散方法の一つといったらそれまでなんだが…


 しかし、幾ら憧れを抱こうが、所詮は絵空事。

 実際はそんなことが起きるはずがない……と言うのは常識と言っても過言ではない。寧ろ本気にしている奴は少しばかり病んでいる可能性が濃い。

 勿論、俺のなかでもそんなことは起きる筈が無いっていうのは常識だったし、そこまで現実を捨て去った覚えもなかった。


 ―― さて、聡明な方なら、今し方俺が言った言葉の真意に気が付くことだと思う。

 …ん?真意も何も、変なことは言っていないってか?

 いやいや、少し前の文章をきちんと一字一句洩らさずに読んでみ。

 俺はこう言ったんだ。「現実を捨て去った覚えもなかっ『た』」ってね。


 つまりはそういう事だ。わざわざ過去形に言い直したんだ。何かあったと言う事は簡単に想像がつくだろう。



 ……うん、現実逃避はこれくらいにしたいと思います。取り敢えず一言だけ言わせてくれ。


『―― にーににに?(どうしてこうなった?)』


 今の俺の言葉を聞いて今現在俺が陥っている状況をぴたりと答えることができた奴は間違いなく賢者であり、超能力で俺の心の内を読める奴だと思う。

 さてさて、先に言っておくが別に街中を歩いていて運転手が居眠りしているトラックにぶつかったり、隕石が直撃したり、美少女に背後からナイフでズドン! …ってされた訳ではない。


 俺の記憶が正しければ、例年に見ない猛暑の今年、夏の暑い盛りの昼間にクーラーの壊れた講義室にいた筈だ。決して広くは無いその部屋には学生が100名程缶詰め状態になり、その前では大汗をかきながらもスーツを着ていたバーコード禿の教授が自分の若かりし頃の武勇伝を語りだしていた。

 勿論、殆どの学生がそんな話をまともに聞ける状態では無く、うちわを扇いで凌ごうとする奴、誰かれ構わず話しかけて取りあえず暑さを紛らわそうとする奴、耐えきれずに夢の世界へと旅立つ奴。そんな状況下に俺はいた。


 そんな地獄ともとれる暑さの中、昔の武勇伝を聞かされても得なんて無いと判断した俺は熱気で温められて不快感の塊へと変化した机に突っ伏して夢の中への逃避を行ったというのは覚えている。

 まどろむ意識の中、額を汗が伝っていく嫌な感覚と講義室に響く教授の声が段々と遠ざかっていくのだってなんとなく覚えている。そしてふと気が付いたら……


「―― にに?(毛?)」


 ―― なぜ毛?しかも、人が有する様な薄い毛じゃなくて結構濃い毛だし。更には何だか銀色っぽい。 いや、そもそもなぜ知らぬ森の中? 此処日本かよ? っていうか、今更ですが何で俺の身体にこんなに沢山の毛? いやいや、それはさっき考えたから。

 こういうのって一度死んで生まれ変わりましたってネタは幾分か聞いたことがあるけれど、俺寝てただけだし! 寧ろ、そもそもすぎて何に突っ込んで良いのかすらわからねぇ!?

 いや、少し待て俺。この毛は間違いなく動物のソレ! つまり、何かの動物になっちまったという事か? つまりはテレビを見ることも出来なくなって手なんか肉球なんだからゲーム機すら持てなくなって……あぁ…折角始まった連ドラも殆どみれてねぇ~ あぁぁ!しかも、先週買ったばかりのゲームを全然プレイできてねぇし!



 ……人間ってあれだな、あまりにも常識はずれな事が起きるとマジで混乱して訳の分からん事を考え出すもんなんだな。

 今まさに現在進行形でソレに直面している俺だからこそ吐ける言葉だなコレ。

 と、取りあえず少し落ち着け俺~ 冷静になるんだ俺。自分でも言っていたではないか。俺は確か大学の講義中に居眠りをしちまったんだ。だったらこれは夢と言う可能性が半端無く高い!

 だってそうだろう?最後の記憶が居眠りした所で終わっていて、気が付いたら動物だぜ?


 ……しかし、そんな俺の淡い期待も数秒後には『疑問』という無常な言葉に姿を変えていった。なぜなら


―― ザーザー!


―― ザーザー!



「……にぃ(冷たい)」


 突然降りだしてい待った豪雨とまではいかないが、それなりに勢いのある雨が俺の体に直撃しているからだ。そのせいで徐々にだが冷えていく俺の体……

 ……夢の中で雨? しかも冷たいとか感じるだって? 本当にコレって夢…なんだよね? と、取りあえず、仮に夢だとしても雨に当たっているという不快感MAX状態を脱する為にも雨が凌げそうな所を探したほうがいい。


 そんなこんなで俺は雨が凌げそうな場所を探す為に歩き始めたのだった。

 さて、何だかわかんねぇけれど横穴があってラッキーだったぜ。


 取りあえず、雨風を凌ぐために其処ら中を歩いていると割と近くに良い感じに掘られた横穴を発見した俺は直ぐ様そこにかけ込んだ。

 しっかしあれだね。動物になったって事だから二足歩行じゃなくて四足歩行での移動だったんだけれど、思いのほか四足歩行って簡単だったな。だって、歩き始めなんて四足歩行だって言う事を忘れてしまう位自然な歩き方だったんだぜ?

 ……そんな別の事を考えて気を紛らわせることよりも、今は状況の判断の方が先だと思う。


 さて、仮に今俺がいるこの世界を夢だとしよう。この一言で片付いてしまえばどれだけ楽なのだろう。

だって、後は眼が覚めるまで待っていればいいのだから。しかし、それは先程の雨の冷たさから薄まってしまった。夢である以上、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚のうち視覚・聴覚以外は殆ど無いものと言ってもいい。…いや、正確には五感全ては無いんだが、この二つは想像でどうにでもなる。

 ソレを踏まえて俺の状況だ。先程の雨の冷たさ…さらに毛越しではあるが雨粒が身体に当たる感覚、更には歩いた時に感じた足底に感じた地面を踏みしめる感覚。どれも夢からは考えられない感覚だ。

 これだけでも、夢である可能性は低い。更にもう一つ言うと、夢と言うものは寝ている間に記憶の整理をする時に現れるものである。其処には自分の意思は殆ど無く、自分でソレを夢だと認識する事はほぼ無く、自由に動き回れることもまず無い。しかし、今の俺はどうだろう?自分の意思はハッキリと保つことができ、更には……


 ―― ヒョイ、ヒョイ


 俺は前足を少し上げて、犬の「お手」の様なポーズを取った。


 このように手足も自由に動かす事が出来る。……この時点で「夢」という選択肢はついえたと言ってもいいだろう。


 さて次の仮定だ。 俺が何らかの「動物」になった。


 ……うん、どういう経緯でこうなったのかは分からないけれど、これを事実とした場合が一番しっくりと来る。

 感覚があるのも今俺がいる世界が現実だということがわかるし、俺=動物になったと考えるのが妥当なのかもしれない。

 残念すぎる答えだが、それが答えである可能性が一番高い。しかし、だからこそ疑問に思えることがある。

 色々と世の中の摂理云々をぶっ飛ばしまくっているが、なぜ人間の俺が動物に変化しているかということだ。


 そこでふと、先程まで考えていたファンタジー的な言葉を思い出した。



『転生』



 仮にこの一言で解決できるとしたら、ある程度の辻褄は合う。講義の最中、何らかの理由で死んでしまったと仮定する。……仮定したくは無いが。

 と、取りあえず、転生というものが本当にあるとしたら、それに俺が当てはまったと思えばいい。

むしろそれ以上の応えは今の俺には出す術はない。


 ―― 自分が死んだかもしれない…その言葉自体は割りとあっさり受け取ることができた。

 そもそも、将来のビジョンも何も無くただ単に大学生活を送っていた俺からしてみたらお先真っ暗な世界に大きな未練は残していない。…いや、家族とか友達とかは未練タラタラだし、見たいテレビもあるしゲームだってしたい。

 だけれど、それ以上に生きる事にさめてしまっている自分がいた。それは紛れもない事実だ。

 あと数ヶ月もしたら就職して生きるためにセカセカ働き通していく人生だった。…いや、周りはそうかもしれないけれど、少なくとも俺の就職は未だに決まっていなかった。そんな中でもあせる表情することなく淡々と毎日を過ごしていた俺だ。いつかは潰れていたと思う。

 だったら訳の分からないまま始まった俺の第二の人生を楽しむべきではないだろうか? 人間でない以上、働く必要は無いし、食べて寝て食べて寝てを繰り返す日常を送ればいいのだから。…いや、それは幾らなんでもないか。

 どのように生きていけばいいのか分からないのは現在も一緒かもしれない。人が住んでいる気配ゼロの森の中にある洞穴で雨宿りをする俺。食料はどうすればいいのか?仲間とかはいないのだろうか? 俺がなっているこの動物は何なのか? この森には天敵はいないのか?

 さまざまな事が俺の頭を過ぎって行く。 何となく自分の手…いや、前足に目をやる。 そこには突っついてみたくなるほど小さくて可愛らしい肉球がある。 しかも、小さいながらも人の皮膚なんかは簡単に切り裂く事が出来そうな鋭い爪が見え隠れしている。

 比べるモノが無いからどれくらいの大きさかは分からない。 前足から視線を外して今度は洞窟内を見回してみる。 今の俺の体がどれくらいの大きさなのかは分からないが、人間の視点寄りは間違いなく低い。更に言うのであれば、その辺に生えている雑草にも背丈は負けている。

 考えたくは無いが、見た所犬と言うよりも猫に近い丸みを帯びた俺の手(前足)そして、明らかに小さすぎる俺の視点の高さ。

 ……つまり、猫になった可能性が一番高いという事だ。


 いや、だからこそ分からない所もある。俺の記憶が確かならば猫とは母猫が付きっきりで世話をする動物だと認識している。いや、猫だけでは無くネコ科に属する動物は勿論のこと、寧ろ哺乳類のほとんどがそういう生態の筈だ。

 しかし、俺の近くには母と思われる動物の存在は認めていない。それどころか、俺以外に動く影と言ったら雨風によって不気味に揺れている木の葉と雑草ぐらいなものだ。

 簡単に考えたら殆どの動物が何処かに身を潜めて雨宿りをしているのだろう。 結構強い雨だ、下手をすれば低体温症なんて者も考えられる。そうなったら野生の動物では命にかかわる可能性だってある。

 実質、俺の小さな体は少し当たった雨の所為で大分冷え切ってしまっている。意識はしていないが足なんかは結構振るえている状態だ。最も、直ぐに洞穴に入ったおかげで幾分かは身体が暖かくなってきた。


……クゥ


 そんな時、洞窟内に何やら可愛らしいくぐもった音が響いた。決して大きくない音であったが、雨音以外の音は以外と響くものであるようだ。一瞬、別の生物がいるのかと思い洞窟の奥へと慌てて顔を向けた。しかし、直ぐにその音の発信源が何処だか理解した。


「に……ににぃ(腹……へった)」


 まさかのまさか、どうやらこの小さな俺の腹から発せられた音のようだ。ソレを理解した瞬間、言い知れぬ空腹感が俺を支配した。

 赤ん坊と言うのは思いのほか腹が減るのは早い。 どうやら、ソレは人間だけでは無く他の動物にもいえることなのだろう。 少なくとも俺がこの体になってから、一時間は経っていない筈だ。この体になった瞬間は少なくとも空腹感を感じていなかった。 つまり、この一時間でお腹がすく程、燃費が悪いという事……


 弱った、果てしなく弱った。この体が子猫である以上、主食となる者は母猫の母乳だろう。 最も、俺がソレを素直に飲むかは別なんだが。 俺だって記憶上、数十分前まで人間だった記憶がある。 ソレがすんなりと猫化してたまるものか。

 これが人間の赤ん坊になったら、まだ人間の母乳と言う事で少しは譲歩できたが、何が悲しくて動物の母乳を飲まなければいけないのか。 それだったら、その辺の水を飲んだ方がましだ。


 さて現実問題、腹が減った俺が何を食せばいいのかが問題だな。 母猫がいなくて、さらに母乳を飲みたがらない俺。 要は、ソレに変わる食べ物を調達しないといけないという事だ。


 ―――― そういえば、この体は離乳期を過ぎているのだろうか? 離乳期を過ぎていなければどんな食べ物だって消化不良を起こして吐いてしまう。

 まぁ、物は試しだ。 猫って確かライオンやチーターと同じく肉食だった覚えがある。 あるいは、魚を咥えて走っているイメージもある。 仮に動物の肉を食する場合は半端ない覚悟が必要だ。 さっきまで人間だった俺に生き物を殺して食べるなんて覚悟が果たしてあるのか? こうやって言葉にして言うのは簡単だが、普通に暮らしていた奴には結構、酷な作業だ。 ソレに根本的にハンティングなんてものはやったことがない。

 その点、魚の場合は生で食べるという世界的に見ても稀な食文化をもつ『日本人』だった俺からしてみたら罪悪感という観点から言うと、肉を食べる事よりも幾分か低い。

 それに、元々俺は肉よりも魚派だ。 しかも、好物は魚の刺身ときている。 最も川魚の刺身は残念ながら食べた事は無いんだけれど……

 しかし、今は四の五の言っている時ではない。 正に文字どおり生きるか死ぬかの選択肢に近い。

 そうと決まれば、早速行動に移してみないといけないんだが……


 ―― ザーザー


 相も変わらずの大雨の前で断念せざるを得ない状況であった。

 それに、よく考えたらどうやって魚を捕るんだ?

 釣竿はない、あっても持てない。素手で捕る技術なんてあるはずもない。

 ……あれ? もしかして詰んだのか? ――いやいや、少し待てよ俺。この体は猫(?)と言えども頭脳は元・人間なんだ。こういう時こそ頭を使うんだ。

 この体は可愛らしい猫(?)なんだ。もしかしたら人里で餌付けをしてもらえる可能性がある。 ……しかしながら、この森の中を空腹状態で尚且つ豪雨という悪条件真っ只中を何処にあるかも分からない人里を探すのは流石に無望か……それに、此処が日本とは限らない。下手をすれば海外の樹海のど真ん中という可能性だってあるんだ。 うん、この案は却下だな。

 さて、次は野良っぽく残飯を食ってみようと言う案だが……これは有無を言わせずに却下の方向性で。

 必要に駆られたらやるかもしれないが、流石にこの案に縋っては生きていたくないかな。



 ……ふぅ、色々と考えたがことごとく却下な展開になったな。

 しかし生きていく以上、何かを食べなければ餓えで死んでしまう。

 いっそのこと、その辺に生えている植物でも食べてみるか? ……いや、これは一番やっちゃいけない選択肢の筈だ。 猫にとって植物は有害なものばかりだと何かの番組で見た覚えがある。

 ……こうなったら一番は魚、よくて肉、餓死寸前になったら昆虫などで手を打つ事にしよう。 幸い、ヘボ(蜂の子)やイナゴは爺ちゃんや婆ちゃんの影響で、それ程嫌悪感は無い。 でも、出来ることなら人らしい食事がしたいぜ。

 そんな事を心の中で一人愚痴りながら俺は食糧を求めて洞窟の奥へと足を運んだ。 洞窟内はひんやりとはしていたが、決して寒いという事は無く快適な温度を保っていた。 しかし、その分何故だか湿度が異様に高いと感じられる。 つまり、この洞窟の中に水に関する何かが存在するということであろう。

 もしかしたら地底湖か……いや、もしかしたら海に繋がっている可能性だって否定できない。 自分が生きる為に食料を調達する為に洞窟内を一人進んでいるが、まるで『冒険』をしているかのような気分になり少しだけテンションが上がってくる。

 しかも、洞窟内は暗かったが俺のスペックが猫に変化していることもあり夜目がきいていた。 更に、時折外に繋がっているような穴が天井に開いていたため、難なく洞窟の奥へ奥へと進むことができた。


□■□■□■□■□■□■□■□■


 時間にして2時間程歩いただろうか。 俺の進む足が止まった。別段空腹が限界値を超えた訳ではない。 ただ単に洞窟の最深部にたどり着いてしまっただけである。 その間、湖などは存在せず辺りはジメジメした壁だけであったが、最深部は如何やら勝手が違っていたようだ。

 まるで人が作ったかのようなドーム状にひらけている。 しかも、今まで歩いていた所とは違い、完璧に外界と接触する部分は存在していない。 しかし、どういう訳かこの中は闇に支配されていないのだ。

 原因は直ぐに分かった。 専門的な事は詳しくないが、ドーム内の至る所に薄らと青く光り輝く鉱物が存在していたのだ。

 漫画やゲームなどでは幾度となく存在する魔鉱石のようなものだと第一印象で感じてしまった俺は途轍もなくロマンもへったくれも無い人種かもしれない。


 しかし弱った……俺はこの洞窟内を観光しに来たのではない。 食料を求めてきたのだ。 だが、この洞窟内には猫が食べられそうなものは何一つ存在していない。


―― キュゥ~グルル……


 大した働きもしていないのに自己主張ばかり強くなっている自分の腹に少しだけ苛立ちながらも俺はドーム内を食べられるモノがないかを必死になり探りまわった。 しかし、ドーム内にあるものは岩壁と光り輝く不思議な鉱物だけで、俺の食べられそうなものは存在していない。

 この際、なりふり構っていられないと持てそうな小さな石をひっくり返して虫が居ないかも確認した。 しかし、結果は残念なものであり、俺以外に生命活動をしている姿を確認する事は出来なかった。

 如何やらこの洞窟には食べ物は存在していないようだ。 散々な結果に軽く目眩を起こして倒れ込みそうだったが、其処は気合で自分の足を奮い立たせて地に足を付けた。

 しかし、そこで新たな問題が発生してしまった。 俺は此処に来るまでに2時間以上洞窟内を歩き続けたのだ。 さっきまではある程度の余裕があったが、空腹が結構限界まで来た俺に果たして戻るだけの体力があるのであろうか? 新たに直面した問題に今度こそ目眩を起こして地面に転がろうとしたが、その時俺の視界にとあるものが入ってきた。


 別だん見慣れないものではないし、今まで何度も見てきたものだ。 しかし、だからこそこの場に会ったら限りなく不自然なものである。 寧ろ何故今の今まで気がつかなかったのかが不思議に感じるものである。


「……に?(扉?)」


 一枚岩を削って作ったであろう、俺の視界には重厚な出来の岩で出来た大きな扉が入ってきたのだ。


 

読んで頂きましてありがとうございます。

この話は以前から考えていたもので、掲載する予定は無かったのですがリハビリ的な意味で掲載していきます。


当然の如く更新速度は遅く、二次創作の方を優先して書いて行きますので、偶に覗いて頂けると光栄です。

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