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こどもいない税と呼ばれる「子ども・子育て支援金制度」が始まるので考えたこと

掲載日:2026/04/01

【構造改革が進まない日本の政治・社会構造】

 政府が進める少子化対策の財源確保策をめぐり、いわゆる「こどもいない税」という言葉が広がっている。実際には特定の人に課される税ではなく、社会保険料などを通じて広く国民から徴収される仕組みであるが、現役世代を中心に負担増への懸念が強まっている。

 しかし、この議論の本質は単なる負担増の問題ではない。より重要なのは、日本の社会保障制度そのものが、少子高齢化社会に適合しなくなっている点だと私は考える。

【昭和型社会構造のまま進む少子高齢化】

 日本の社会保障制度は、主に昭和の高度経済成長期に整備された。当時は人口が増加し、若い世代が多く、高齢者が少ない社会であった。経済成長も続いていたため、現役世代が高齢者を支える制度は十分に機能していた。

 しかし現在、日本は世界でも例を見ない速度で少子高齢化が進んでいる。65歳以上人口はすでに約3割に達し、今後さらに増加が見込まれている。一方、出生数は減少し、現役世代は縮小を続けている。

 つまり、日本はすでに人口増加社会から人口減少社会へと移行しているにもかかわらず、制度は人口増加を前提としたまま維持されている。この構造的なミスマッチこそが、社会保障費の増大と負担増を招いている根本的な要因であるとここに記す。

 年金、医療、介護といった社会保障費は年々増加し、すでに国家予算の中で最大の支出項目となっている。さらに少子化対策のための財源確保が求められれば、税負担や社会保険料の増加が続くことは容易に想像できる。

 しかし、負担増による対応には限界がある。

【負担増が少子化を加速させる可能性】

 これまで日本では、児童手当の拡充、保育無償化、出産支援など様々な少子化対策が実施されてきた。しかし、出生率は改善しておらず、むしろ低下傾向が続いている。

 この背景には、経済的支援だけでは解決できない構造的問題があるとみている。結婚率の低下、非正規雇用の増加、住宅費の上昇、将来不安などが重なり、子どもを持つこと自体が難しくなっている。

 さらに、社会保険料や税負担の増加は、現役世代の可処分所得を減少させ、結婚や出産をより困難にするだろう。つまり、制度維持のための負担増が、結果として少子化を加速させるという逆説的な状況も生じかねない。

【構造改革が進まない政治的要因】

 こうした問題が指摘されながらも、抜本的な制度改革が進まない背景には、日本の政治構造がある。

 まず、日本では高齢者の人口割合が高く、さらに投票率も高齢層ほど高い傾向がある。一般に若年層の投票率は30%台から40%台にとどまる一方、60代・70代では60%から70%台に達することが多い。

 この結果、政治家にとっては高齢者の意向を重視する政策が選挙上有利となる。年金制度の見直しや医療費負担の増加といった改革は、高齢者の負担増につながるため、政治的に難しい判断となりやすい。

 さらに、若年層の投票率が低いことも、構造改革が進まない大きな要因となっている。若い世代は将来の社会保障負担の影響を最も受ける世代であるが、選挙への参加率が低いため、政治的影響力が相対的に弱い。結果として、現役世代の将来負担の問題は、政治的優先順位が下がりやすい構造となっている。

 つまり、日本では

 ・高齢者は人口が多く投票率も高い

 ・若者は人口が少なく投票率も低い

 という二重の構造により、制度改革が進みにくくなっていると私は見ている。

【利益団体と制度維持の構造】

 さらに、官僚、政治家、業界団体の関係(いわゆる鉄の三角形だ)も制度改革を難しくする要因とされる。社会保障は国家予算の中で最大規模であり、制度の維持・拡大は行政組織の役割にも関係する。また、医療・介護・福祉は大きな産業であり、雇用も多い。

 医療制度の見直しは医療関係団体との調整が必要となり、介護制度の見直しも同様に関係団体との調整が不可欠となる。このような構造は、制度の急激な変更を難しくする。

 このように、日本の政策決定には「人口構造」「投票率」「利益団体」「行政構造」といった複数の要因が絡み合い、抜本的な制度改革が進みにくい状況が生じていると私は思う。

【人口減少社会に対応した制度設計の必要性】

 日本はすでに人口減少社会に入っている。したがって、人口増加を前提とした制度を維持することは困難になりつつあるのは事実だ。

 社会保障制度の再設計、行政の効率化、地方自治体の再編など、人口減少社会に対応した制度設計が求められている。

 これらの改革は容易ではないが、先送りすればするほど負担は増え続ける。少子高齢化は避けられない現実であり、その現実に合わせて制度を見直すことが不可欠である。

 また、制度改革を進めるためには、若い世代の政治参加も重要となる。将来の負担を担う世代が政治に関心を持ち、意思表示を行うことが、制度改革の議論を進める契機となる可能性がある。この事はこれまで、いたるところで言われ、選挙の度に叫ばれるが、現役世代、とくに若い世代はやはり選挙にいかない割合が多い。過半数が行っていないとデータが示している。それを優しく解釈すれば、諦めているからとみることもできるが、それで利するのは現役世代ではない。

 ゆるやかながら確実に進む日本社会の劣化は、私たちに跳ね返ってくることを、今日この日に改めて認識したい。

 少子高齢化が進む中、日本の社会保障制度は大きな転換点を迎えている。負担増を続けるのか、それとも制度そのものを見直すのか。人口減少社会に適応した持続可能な制度設計を求めると、改めて今日、2026年4月1日の朝、考えてみたのでここに書す。



社会保険制度は労使折半のため、企業が50%を負担している。つまり、滅茶苦茶お高いのです!

これって国よるポンジスキームだよね、と私は思います。そしてそれは、現在進行形で、さらに悪化していきます。

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