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【連載中】母に仕組まれたポチャ化の呪いをへし折るため、公爵令嬢が運動としてモンスター退治に明け暮れた結果  作者: よどら文鳥


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5/18

5、絡まれる

 学園長室から教室へ戻ろうとしたのだが、エフィナは迷子になっていた。

 ひとつ上の階の高学年のエリアに紛れ込んでいたのである。


「なんでてめえみてえな平民風情が進級した?」


 男性用のトイレから怒声が響いてきた。

 エフィナは何事だろうかと様子を伺いに向かう。


 コッソリと覗くと、制服を着た者が四人。

 三人の男が一人の女を取り囲んでいた。


「す……すみません」

「てめえのせいで俺の舎弟は進級できなかったんだ。どう責任を取るんだ?」


 今まで人との関わりがほとんどなく、事情がわからないエフィナだ。

 どちらが正しいかの判断はまだわからないものの、三人の男がたった一人の女を責めているということだけは嫌だと思っていた。


(まるで私が六歳くらいのとき、大勢のゴブリンに囲まれたときみたいじゃないの)


 彼らの行動があまりにも卑怯。エフィナは我慢ならなかった。

 つい行動してしまう。


「はいはい、そこまで!」


 強引に女生徒の前に割り込む。

 男たちは突然のことで驚きはしたものの、すぐにゲラゲラと嘲笑った。


「見たこともねえデブが……おまえ下級生だな」


 デブと言われてカチンときたエフィナ。

 この言葉を聞き、どのような理由でっても女子生徒を味方することが確定した。


「そうですが。お姉様からは上級生の先輩を見習うよう言われたこともありましたが、一人の女の子に対して大勢で攻める。そーですか、勉強になりませんねえ」

「ああん?」

「まるでゴブリンの群れのようですよ。集団でないとなにも出来ない卑怯で卑劣なモンスターと全く同じことをしていますし」


 挑発に乗っかった首謀者の男が、エフィナの胸ぐらを掴んだ。


「てめえみてえなクソデブに言われる筋合いはねえ! 俺は子爵の跡取りなんだ。口の利き方に気をつけるんだな」


 貴族界隈といえど、一度も夜会などの集いに参加したことがなかったエフィナ。

 誰もがエフィナが公爵令嬢だということを知らないのだ。


 だがエフィナはそのことは伏せつつ言い返した。


「へえ。集団で攻めるのが貴族なんですね。それはともかくとして、学園生活においては貴族も民間人も関係なく平等だと聞いてましたが?」

「ああっ!?」

「彼女、別に不正して進級したわけではないのでしょう? それなのに理不尽に攻めるなんて……。ゴブリンだってそんなことしないですよ?」

「てめえ!!」


 怒声とともにグーパンチも飛んだ。

 エフィナは意図も簡単に掴まれていた腕を解き、難なくかわした。


「卑劣な行動はゴブリン以上なのに、動きはゴブリン未満ですね!」


 挑発的な言葉に我慢ならず、三人がかりでエフィナに襲いかかった。

 だが、エフィナが避ける前に静止せざるをえない事態になる。

 首謀者の男の腕が掴まれたのだ。ライト=フォーゼント第二王子によって。


「なにをしている?」

(なんでファーゼント殿下がこんなところに!?)


 エフィナは慌てて殺気を消し、被害者という演技を始める。

 憧れだった男が目の前に現れ、助けに来てくれたのかと思うだけで胸が苦しくなっていた。


 エフィナを殴ろうとした男たちも慌てて手を引っ込め、嫌な汗を流し始めた。

 王族に知られるのだけは、それほどにマズかったからである。


「い……いや……その……」

「先祖が建国された王都学園に対して、叛逆するかのような発言と行動に見えたが?」


 トイレ内であるにも関わらず、三人は慌てて土下座の大勢をとった。


「俺に謝罪ではないだろう。そこの二人に許しを乞うのだな」

「「「ぐ……ううう……」」」


 平民に頭を下げるという行為がどうしても出来なかったのである。

 しかし、王子の前では歯向かえなかった。


「「「申し訳ありませんでした!!」」」


 エフィナはなんとも思っていなかったが、女生徒は深く傷ついていた。

 一年間、ずっと頭を抱えて悩んでいたのだから。


「なるほど。これは父上に報告案件だな」

「く……くそう……こうなったら!」


 あろうことかライトに襲いかかった。

 しかし、ライトも軽々と躱す。さらに背後から腕を掴み、自由に身動きの取れない状態にした。


「あと少し動かせば肩の骨が外れるが、どうする?」


 あまりにも動きが滑らかかつ無駄のない動き。

 エフィナはレオンの可憐さを見て惚れ惚れしていた。


 観念し男たちはそのまま逃げだした。


「安心していい。あいつらの退学は間違いない。貴族界隈からの追放もありえるだろう」

「あ、あの……二人とも助けてくださり本当にありがとうございました!」


 深くお辞儀をしたのち、退室した。

 そう言って今度はエフィナに顔を向けた。


「こんな場所ですまないが、少々話がある」

「は……はい! その前に、助けてくださりありがとうございました!」

「大したことはしていないが」


 エフィナと反対に振り歩き出したものの、思い出したかのように止まる。


「明日早朝、学園裏の倉庫に来てもらいたいのだが」

「へ!?」


 エフィナの心拍数は急上昇だった。

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