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【連載中】母に仕組まれたポチャ化の呪いをへし折るため、公爵令嬢が運動としてモンスター退治に明け暮れた結果  作者: よどら文鳥


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12、ライトに助けられる

「ん……んんんん……?」

「よかった。気がついたか!」


 エフィナはゆっくりと目を開く。眠気はすっかりなくなっていた。

 周りをきょろきょろと見渡すと、まだダンジョン内であることを確認する。

 最初に視界に入ったのは涙をこぼし続けているミモザ。ならばこの肌感覚の主は誰だとなる。

 エフィナが真上を眺めると、銀髪と金色の瞳をしたライトの顔。エフィナの頭がライトの膝の上に乗っていることも理解した。

 頭がかーーーーーっとなって飛び起きる。


「すすすすすすみません! 私デブすぎなんです……! 重かったでしょ!」

「第一声がそれか……」


 ライトの声を聞き、一段とドキドキさが増す。

 心臓の鼓動が急上昇したことから考え、今度はライト本人であることを確信した。


「ここは……」

「他の者に見つかってはマズいからな。念のためにダンジョンの三層にいる」

「一体どういう流れで……」

「俺の偽物がキミとダンジョンに入るところを目撃した。追いかけたがすでに転移してしまっていたようで俺では追いかけることができなくてな。そこで入り口で待ち伏せをしていたのだ。そうしたらコイツが現れて問い詰めたら吐いた」


 エフィナは脈がないとわかっていても、ライトのことがますます好きになってしまったのである。

 ダンジョン中層はいつドラゴンが出現してもおかしくない危険な場所。

 そんなことを気にせずにライトが命をかけて助けてくれたのだから。

 一方でミモザに対してはお怒り状態だ。


「どうしてこんなことを」

「それはそこで泣いている奴に聞くんだな」


 ミモザは全てが終わったといった表情をしながら大泣きしていた。

 涙も枯渇するのではないだろうかと思ってしまうほどの勢いで。

 エフィナは持っていたハンカチを渡そうとした。


「え?」

「ひとまず涙拭いて」

「いえ、だってわたしはエフィナを……」

「まあそれはひとまずいいから」


 エフィナとしてはミモザの事情が知りたかった。

 すでにエフィナは姉のアンブレアと母親から命を狙われている状況下である。

 だからこそ、どうして殺そうとしたのかがどうしても知りたかったのだ。

 話を聞いた上で、ミモザをぶっとばすか許すか決めようとしていた。


 エフィナの不適な笑顔はライトにすらも緊張感を与えるものとなっていたことを、本人は気がついていない。


「んで、どうして変装してまで罠にかけようとしたの?」

「ごめんなさい……」

「いや、理由を知りたいんだよね。邪魔!」


 ――バキッ!


 三人の前に突然狼型のモンスターが現れた。

 だが、エフィナは会話をしながら真っ二つにしたのである。


「大人でも苦戦するモンスターを一瞬で倒すのか」

「あ……あわわわ……!」


 ミモザにとってはこれが決め手となった。エフィナに今嘘をついたり逃げようとしたりしたら狼の二の舞になってしまうと恐怖でしかなかったのである。


「お願いですわ……。絶対に誰にも言わないでほしいんです」


 エフィナはライトに顔を向けて確認をとる。


「話の内容にもよるが、このまま喋らなければ間違いなく処刑されるぞ?」

「まあ私は喋る相手もいないし」


 ミモザはライトに向かって頭を下げた。


「どうかこのわたし、ミモザ=カイネスと婚約してください! 形上だけでも構いません。そうしないとわたし、殺されてしまうかもしれません!」


 エフィナは、ミモザを今ここでぶっとばしてもいいんじゃないかと思っていた。


「それが私を殺そうとした理由なの?」

「殿下はずっとエフィナばかりに気を取られていて、わたしと話すチャンスがなかなか訪れなかったのです……。本当に時間がありませんの……」

(今ここで死にたいってことね)


 エフィナとしては迷惑極まりないことである。

 エフィナは何年もダンジョン経験をしてきたからわかることで、無防備に睡眠などしていたらあまりにも危険だ。

 それがたとえどんなにレベルが高かろうとも。

 その上、推しのライトに求婚宣言をされてしまってはたまったものではなかった。


 エフィナが手を出す前に、ライトの怒号がダンジョン内に広がる。


「ふざけるのもいい加減にしろ! 少しでも彼女の気持ちを考えたらどうなんだ?」

「だって……」

「そもそも同級生を殺めようとした相手と婚約すると思っているのか? まずは彼女への謝罪が先だろう?」


 エフィナの怒りはライトによって全て帳消しされた。それほどエフィナの心に響いたのである。

 今まで味方などいないでダンジョンでダイエットを繰り返すだけの日々だった。

 その上、姉と母親からは消えてほしい存在。

 学園内でも太っていることが理由でほとんど相手にされることがなかった。

 教師たちはエフィナのレベルが貴重だから手厚くしていることぐらいはエフィナ自身もわかっている。


 だが、ライトは真剣になってエフィナのことを守ろうとしていた。

 そうでなければ危険な中層域まで命をかけてまで潜ってくるようなこともないし、勉強を一生懸命教えようとはしなかっただろう。

 ライトの優しさがエフィナの荒々しかった気持ちを破壊した。


「ありがとうございます……」

「キミは素敵だと思うよ」

「え!?」

「自分を殺そうとしてきた相手の言い分をしっかりと聞こうとする姿勢。俺も立場上何度も命を狙われるようなことはあったが、ここまで親身に聞くことはできなかった」

(あ、いえ。ファーゼント殿下が止めてくれなかったら、この女ぶっとばしていましたよ?)

「エフィナは本当に優しく、努力家でもある上に我慢強いのだな……」


 普段特別な時でない限りはライトは他人を名前で呼ぶことがない。だが、今回初めてエフィナのことを名前を呼んだ。

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