運命の出会い、はあるある
リアクションをしてくださった方、ありがとうございます!
時折り地図で居場所を確認しながら飛び続けること半日。
目的地であるルッタ王国へとついた。
鑑定で知ってはいたけど、ものすごい廃墟、ゴーストタウン。
本当に戦争があったんだな。しかもかなり激しい。
うち捨てられた砲台や、埋葬されていない死体が転がってる。
人間だったらすぐに吐き気がして動けなかっただろう。ハルピュイアになった今、この光景はあまりショックではない。むしろ転がってる人間が美味しそうとか思うほどだ。
街並みは中世のヨーロッパを彷彿とさせる。跡形もないが、建物の形からしてその時代に近い生活様式だろう。
快晴の空と廃墟の街がアンバランスで悪い夢のようだ。
この世界を知るために何かないかないかと街を彷徨く。
しばらくすると、大きな建物に出た。お城だろう。見る影もなくボロボロだが。
誰もいないので遠慮なく入らせてもらう。
さすが王宮。翼を広げてとんでも余裕がある。
それにしても、趣味の悪い内装だ。成金のようなあからさまな「金持ちです」アピールのものが多い。王様だから当然かもだけど、私の趣味じゃない。
入り口付近を探索した後は内部のほうに入っていく。私が行きたい場所はズバリ「図書館」だ。
王宮ならもしかしたらこの世界を知れる本があるかもしれないと思ったのだ。
燃やされている可能性も高いが、それはその時だ。
王宮をウロチョロしながら図書館を探すことしばらく。
やっと見つけた。この世界の文字で「資料室」と書かれたプレートを下げた扉だ。
この辺りは戦争の被害が少ないようで、散乱した物はあれど、比較的綺麗な場所だ。
扉を押せば簡単に部屋に入れた。
・・・・・
二階建ての部屋だ。
天井まで届くほどの本棚が所狭しと並んでいる。圧巻の光景だ。
窓ガラスが割れて、本が落ちているがそれでも欲しい情報は得られそうな場所だ。
図書館の案内板を見て目的の情報を得るのに必要な本を探す。
しばらく探していると、目的のものを見つけた。
「王国叙事詩」。
多分この国の歴史書だ。
内容を読んだけどかなり薄っぺらかった。読む価値なし。
次。
次々に漁って、いい内容のものはアイテムボックスに収納する。魔法について書かれた本は実に面白そうだ。安全な場所でじっくりと読みたいところ。
そして新たに地図を見つけた。
今自分が手にしている地図と比べて、さらに高性能な精密な地図なのが分かる。念の為「鑑定!」
【魔術地図】
魔術を用いて作られた最高性能の地図。
大方ではあるが、各地の天気も把握できる。
すっっっご。最高じゃん。パクろ。でもこれ大きいんだよなぁ。使い所は考えよう。
いそいそとアイテムボックスしまう。ここでの目的はある程度達成した。すぐに別のところに飛ぶのもいいが、急ぎの旅ではない。もっとこの国を探索しよう。
そう思って窓から飛び立とうとした時だった。
ガタリと物音が聞こえた。
・・・・・
王宮の図書館で魔術に関する本を読み、魔法の練習をしていた時だった。
バサリバサリと羽音が聞こえた。もしやどこかの軍の偵察用の魔獣かと思って身を隠した。
羽音の主は自分に気づかず、そのまま隣の本棚に降り立ったようだ。
本棚を漁る音と、紙をめくる音が響く。
物音を立てないようにして隣の本棚を覗き込めば、ハルピュイアがいた。
ハルピュイアの存在は知っている。
ふらりと現れてはやかましく騒ぎ立て、羽やフンを撒き散らす迷惑な魔物。
何度も見ているし、奴隷として働いている時にはその被害を何度も受けた。
自分の記憶の中ではハルピュイアはもっと小さかったような気がする。
頭部の髪も荒れ果てボサボサ、人面の部分は女の姿こそしているが、獣そのもので一切の理性がない顔つきだった。
しかし、あのハルピュイアはどうだ。
光を反射して、艶やかに光る羽。
頭部の髪は美しく、黒く波打っている。
翼のところにはかぎ爪がある。
さながら黒い宝石と呼ぶに相応しい美しさだ。
そして、そのハルピュイアは、かぎ爪を器用に使って本を「読んで」いる。
知能がないハルピュイアとにしてはあり得ない光景だ。信じられない。
何かを見つけたハルピュイアは、地図が保管されている棚に向かった。
器用に棚を開けると、魔術で作成された大きな地図を手に取った。
そして「鑑定!」と唱えたのだ!
鑑定のスキルなど御伽噺に出るような勇者か、遺跡、ダンジョンで稀に発見される魔道具がないとできないのだ。
なのにあのハルピュイアは鑑定のスキルを持っている。普通のハルピュイアではない。
もしかしたら、噂に聞く「ユニーク個体」というやつだろう。
美しい姿であるのにも納得がいく。
魔法の練習をしているとはいえ、あの大きさのハルピュイアに襲われればひとたまりもない。こちらに気づかれる前に、逃げたほうがいい。
手元に本を持ったまま後ろに下がろうとした時、運悪く、足元の瓦礫に当たってしまった。
大きな音を立てて崩れる。
ハルピュイアの目がこちらを見た。
・地図
魔術的な力を使って作られた地図と、そうでない地図の二つに大別される。
魔術が用いられた地図は、その土地の天気や情勢をリアルタイムで反映する。しかし地図に載っている国々がなくなる、もしくは新しく建国されると、その情報は反映されない。つまり「現状の世界を事細かに把握できる地図」といえる。作成には非常に時間がかかり、尚且つ魔術の腕も必要なため、一般的に流通されることはない。
魔術を使用せずに作成された地図は普通の地図。精度にムラがある。一般に流通するのはこちら。
・魔道具
読んで字の如く、魔法の道具。ダンジョンや遺跡のドロップ品として発見される。便利なスキルを持つ、所有者にとって不利益をもたらすものなど、その特性は多岐にわたる。




