古代魔法?
「きょだい」とパソコンで打とうとすると「きゃだい」となる作者です。
この作品を連載しているのに、別の作品のネタが浮かぶ浮気野郎なのですが、いかんせん文才があまりないだけに妄想どまりです。たぶんそろそろ病院に行った方がいいレベルでずっと妄想してる。
再びのブロッゼ河川。
水面は穏やかで、澄んだ水が流れ続けている。
ノレイアはルネアの合図で空に飛び立ち水面に近づく。
同じように主が姿を表し、跳躍する。
ノレイアは主に食われるか食われないかの微妙な距離で回避する。
シセリアは弓と兼用している杖をかざして呪文を唱えている。
自分には杖がない。手をかざして狙いを定める。
人前で始めて魔法を使う。
緊張で体がこわばる。
息を深く吸って吐く。
奴隷のとき長期間自分を借りる謎の連中がいた。そいつらに魔法を教えられた。
「筋がいい」とは言われたが、主人の周りにいた連中はもっと強い魔法を息を吐くように使っていた。
あれぐらいの威力なら、この主を討伐できるかもしれない。
『ルネア。魔法は魔力の流れとイメージだ。それさえできれば適正にかかわらずどんな魔法も使える』
師匠(と呼べと口酸っぱく言われた)に教わったことを反芻する。
ノレイア魔法をに当てない、というイメージ。
雷の威力は師匠の周りにいた人たちと同等、のイメージ。
放たれた雷は主の体を貫きしびれさせる、のイメージ。
全てを明確にし、一言唱える
「トニト・テレブラ」
「え」
瞬間。
ズガアアアン!!!!!
空間を引き裂くほどの閃光、瞬間に轟音。
自分たちの目の前に等しい距離で雷が撃ち落された。
巨大な雷が逃げ場のない空中で直撃した主は、なすすべなく黒焦げとなり炭化した。
黒い塊が川の中に落ちていく。
「竜の翼」は派手な水しぶきを上げて沈んでいく主を啞然と眺めている。
一先ずこれで討伐は完了した。
・・・・・
巨大な雷の余韻が静かに消えていき、周りの音が戻り始めた頃にルネア以外の全員が我に帰った。
「ルネアッ! 今の何なんだ?!」
「何がですか?」
「魔法だよ!」
「はぁ…」
シセリアがエルフ特有の美貌を崩しながらルネアに詰め寄る。
「雷の魔法ですよ。一緒に撃ったから威力が高くなりました」
「違う! 自分はまだ詠唱を終えてない!」
「え」
「だから! あれは! おまえ自身の力だし、俺はあの魔法を知らない!」
「おいシセリア落ち着け!」
仲間が駆け寄りシセリアを抑える。
シセリアはエルフ。それ故に魔法の知識は「竜の翼」の中でもずば抜けて多いうえに、彼自身も多種多様な魔法を操る。雷魔法も当然使いこなせる。しかし適性がない属性ゆえに詠唱、そして魔力の流れを補助する杖が必要となる。
ルネアはあの巨大な雷魔法を詠唱と杖なしでやったのだ。
「トニト・テレブラ」。あれは聞いたことのない魔法だ。
おそらく古代魔法。文献どころか本来ならその存在が確認されるのは古代遺跡系のダンジョンにあるトラップ程度しかない。その古代遺跡系のダンジョンも数は少ないが。
仲間に頭をはたかれたことで正気に戻ったシセリアを引きづるようにしてブロッゼ河川を離れる。
冒険者ギルドに討伐完了の報告をすることとなった。
・・・・・
「討伐ありがとうございます! …すごい轟音でしたね…」
「まぁ…ハハハ…はい…」
受付嬢が若干ひきつった声色で確認を取っていたのはなかなか面白いとルネアは感じた。
川の主は雷の魔法をモロに食らったせいでぼろ炭になってしまい、討伐完了を示す証拠がなくなってしまったが、ルネアを含む「竜の翼」全員が主の死亡を証言したことで手打ちとなった。
「全く、えらいものを見た」と口々に言いながらブロッゼ河川の橋へマルセイユと共に向かう。
ギルドで「通行料はタダにしておきますね!」といわれたため、巨大な橋を渡り始める。
向こう岸にわたればもうオール村は小さくなっていた。
そして急こう配の山道が姿を現す。
この山を乗り越えれば、ビトリック王国となる。
・・・・・
山道の半ばで野営をする。ルネアは相変わらずハルピュイアのノレイアを愛でている。
「ルネア、これで体拭け」
「あ、ありがとうございます…」
アンドロが濡れた手拭きをよこしてくる。風呂に入ることができない野営は体を拭いて身を清める。
傷を見られるのは構わないが、心臓部の焼印を見られるのだけは絶対に避けたいが見も清めたい。
どうするべきか悩んでいるとノレイアが座る自分を覆い隠すように羽を広げた。目隠しになってくれるらしい。
「ありがと」
「ピィ」
目隠しになってくれているとはいえ、なるべく肌が見えないように体をふき始めた。
シセリアはその様子を見ながら逡巡する。
ルネアは「教わった」と言っていた。
誰に教わっのか。下手をすれば国がルネアを求めて戦争が起こる可能性がある。
古代魔法は使えるものはいない。失われた技術だ。
魔法自体は今も残っている。古代魔法と区別をつけるために「現代魔法」と呼ばれているだけだ。
古代魔法を扱いには古代の言葉が必要になる。それを習得するにはとてつもない時間と勉強がかかるうえにそれを学ぶためには専門の学校に行く必要がある。
仮にそれをすべて修めたとしても、今度は魔力の問題にぶち当たる。古代魔法は強力な分一度に消費する魔力が大きい。昼間の雷魔法ならもう魔力切れで命を落としていてもおかしくないし、魔力の出力を安定させる杖も持っていない。
でもルネアは何事もなかったように生きている。
そもそもルネアとの出会いも不自然なところが多い。
草原の半ばから街道に入ることはまずありえない。草原街道を半ばから入ることができる主要な国は、ルッタ王国とチェザニル帝国しかない。草原街道はその間を通るように整備されているからだ。
そのルッタ王国も半年ほど前にチェザニル帝国との戦争で敗れ、もはや廃墟の国だ。人がいるとは到底思えない。
ルネアの種族を考えればチェザニル帝国の線は薄い。身なりも整っていた。それにチェザニル帝国は人間以外の種族に対して強烈な差別意識がある。
ましてやそれなりに長く生きている自分ですらはじめてお目にかかるダークエルフ。帝国で奴隷をしていたのなら、四肢がなくなっていてもおかしくない。
仮に帝国から逃げ出したとなると、トラウマで他人と接するどころではないはずだ。帝国の亜人への扱いのむごさは帝国を知っている者すべてが知っている。
何のために西に向かうのかはわからないが、ルネアが帝国の奴隷だった可能性も、そうでない可能性もある。ただそれだけのことだ。冒険者には生い立ちが黒いやつはざらにいる。
少なくとも、こうして冒険者として一緒に過ごすこの時間が少しでもいい時間になればそれでいいか、そう考えてシセリアは体を丸めて眠りについた。
・杖と呪文
杖があると魔力の流れをイメージしやすくなる。なくてもいいけど、高等技術。呪文も同様。あくまでもイメージのサポートでしかない。
・古代魔法と現代魔法
古代魔法は失われた技術。強力ではあるが魔力のコスパが最悪。この古代魔法に改良を重ね、扱いやすくしたのが現代魔法と呼ばれるもの。
・シセリア
割といいところの出だが、諸事象で家にいられない人。魔法を色々使えるのは家がいいとこだったから。考えるのは苦手。途中で面倒くさくなるタイプ。割と歳いってる。
・ノレイア
今回は空気。申し訳ない。尾羽一本を一本持っていかれらのが不服。翼開長は3メートルを超える。地面から140cmぐらいの大きさなので割とマジで大きい。ただ、空を飛ぶために体重は割と軽かったり。それなりに重たいが、片手で持てる程度。しかし大きすぎるので片腕だけでは無理。




