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シェイオ大森林の魚

大変お待たせいたしました。

空白期間があった割には内容は薄めです。

気長に待ってくださってありがとうございます。


「ちょっと待った!!!」



ノレイアが飛び立とうとしたところ、アンドレが声を上げた。



「ルネア、お前そのハルピュイアは相棒なんだろ!? 川の主に食われたらどうするんだ!?」

「ノレイアがそんな真似をするとでも?」



ノレイアの頭の悪さをなめてもらっては困る。あの飛び方からして高所を旋回して発見するつもりだったのだろう。

ハルピュイア自体は頭が悪いなどと揶揄される生き物だが、奴隷として何度かハルピュイアの襲撃に駆り出された身としてはハルピュイアはバカではない。

それを裏付ける経験が自分にはある。

数匹が騒いでそちらに気が向いたら背後から頭を蹴られたこと。弱い存在を積極的に追いかけ回すこと。あからさまな強者には近づかずに遠巻きにすること。窓から入り込んで内側から鍵を開ける。

とにかく観察してちょっかいをかける人間を選んでいる。自分よりも弱い人間を率先して襲っているともいえる。


基本的に「街の住人にとって嫌なこと」をするから悪評が付き纏っているだけで、その感情を抜きにして見ればハルピュイアはかなり頭のいい魔物と言えるはずだ。

そのユニーク個体と考えられるノレイアなら尚更だ。

みすみすノレイアを殺すつもりはない。



「大丈夫です。ノレイアには水面を見てもらうだけです」

「ならいいんだが…」



ノレイアを空に放つ。

羽音を立てて上昇し旋回する姿を眺めながら、腕を使い方向を指示する。


出会った頃、大声で指示を出しすぎて喉を枯らしてからはノレイアが僅かな腕や目線のの動きで動くようになった。ずっと大声で指示を出してはいざというときには自分が狙われる可能性があるのを考えると、腕や目線で動いてくれるのはありがたい。

奴隷時代に貸し出された先で、鳥の魔物を使って狩りをするという娯楽の獲物役では貴族が金属の笛を使って指示を出していた。ほかの奴隷には笛の音が聞こえなかったがエルフの自分には笛の音が聞こえていたからギリギリ死なずに済んだ。正直あの笛の音は嫌いだが、ノレイアがいる今はその笛が欲しいとつくづく思う。


水面にノレイアが近づけば水面に巨大な影が浮き上がる。

自分の背丈は優に超える巨大な魚の影だ。


ノレイアもさすがにまずいと感じたのか飛ぶスピードを上げて水面を通り過ぎ高度を上げる。


その瞬間、ノレイアの気配を感じたのか水面から勢いよく魚が飛び出す。

白と黒、赤のまだら模様の魚だ。腹の部分には虫のような足がついている。

間違いない。あれが主だ。

主はノレイアを丸のみにしようと大きく口を開けている。


すれすれで逃げたノレイアはさらに高く飛び、主の上を旋回する。


水面をたたくようにして水の中に戻った主はまた気配を消し水の中に溶け込んでいった。



一瞬の出来事だった。



マルセイユ、「竜の翼」そして自分は予想外の大きさに啞然としていた。

ノレイアは自分の隣に降り立つ。

鳴き声で全員が引き戻された。



「いや、でかすぎるだろ」



団長の言葉に誰も異を唱えなかった。



・・・・・



「いや、でかいって。どうすんだあれ」



ギルドに戻った全員がそう言った。分かるよ。でかすぎ。

みんなギルドのラウンジにある椅子に座って頭を抱えている。

「討伐する」(とは明言していないものの)つもりで様子を見たけど予想外のでかさに打ちのめされてる。

かくいう私もびっくりだ。あれ、でかい鯉じゃん。しかも腹の部分に足あったし。

しかも水面に影が出てくるまで自分もわからなかった。気配絶つのうますぎ。

私のハルピュイアの生き物としての勘がなかったら今頃おいしく頂かれてる。

死ぬ気で逃げましたけどね!!!


あれが橋にいつれたら確かにたまったもんじゃないわ。

そりゃあ村の人たちも「早くなんとかしてくれ」というのもわかる。


大森林にいた魚だから私も遠目で見たことあるけど、あれだけ大きいのは初めて。

たしか名前は「キング・カープ」だったはず。

大森林にいた時はハルピュイアが二匹いれば協力して持ち上げることができる大きさのはず。

ブロッゼ河川にいついたあのキング・カープはまさに「主」というわけだ。


あの主に限らずキング・カープは鈍くさいのに食欲は旺盛だから、群れからもキング・カープがいついてる水辺には近づくな、とさんざん言われていた。

そのくせ仕留めても体は泥臭くて食べれれたものじゃないからみんな嫌がってた。


ていうか、尾羽持ってかれたんですけど。

髪の毛を抜かれたのと同じぐらいの痛みだけど、一枚なくなったらそれが分かるぐらいの大きさの尾羽だから気になってしょうがない。生え変わるからいいけどさ。なんかむかつく。

でも尾羽一本で済むならマシか。

あーマジ危なかった。


ルネアたちは作戦会議を始めた。

体格のいい人たちがひざを突き合わせて作戦を立てているのはなかなか面白い。

ルネア、華奢だなと思っていたけど冒険者の人たちと比べるとそれが際立ってて犯罪臭がする。


自分が参加しないわけにもいかないので、ちょっとお邪魔することにした。



・・・・・



「あの魚おそらく「キング・カープ」です」

「ルネア知ってんのか」

「文献で見た程度ですが特徴からして間違いはないかと」

「初めて聞いたぞ」

「シェイオ大森林の生物と記憶しています。見たことがないのは当然です。僕も始めて見ました」

「しっかしあの大きさどうすんだ。剣で戦えないぞ」

「やはり魔法だと思います」

「だよなぁ」



ギルドに戻り、気を取り直して作戦会議を始める。

ノレイアは自分の尻を気にしている。どうやら尾羽を持っていかれたらしい。尾羽一本分の隙間がある。

ルッタ王国の生活で本をいろいろと読み漁ったから、それなりに知識はある。まさかそれを出す日が来るとは思わなかったし、まさか「現実的ではない」シェイオ大森林の魔物の知識を出す羽目になるとは。


初めは「竜の翼」が得意とする近接武器で応戦できるのでは、と思っていたが予想外の大きさに面食らっている。


そうなると使えるのは魔法か弓矢などの遠距離の攻撃だ。

竜の翼の目線がエルフのシセリアとダークエルフの自分に注がれる。



「よし、シセリアいけ」

「まじですか」

「お前エルフだろ。あと弓矢も行ける」

「まぁそうですけど…」

「僕も行きますよ。魔法使えるので」



あからさまに嫌そうな顔をするシセリアをフォローするように名乗りをあげる。

「魚、嫌いなんですよ…臭くて」というつぶやきが聞こえたが聞かなかったことにした。



「じゃぁ、二人で作戦会議ですね」

「はい」



改めて作戦会議を始める。



「ルネア、魔法は?」

「一通りは。ただ、ほかの人と比較したことがないので自分が弱いか強いかは分かりません」

「四種属性はいける、ということですか。雷は?」

「大丈夫です。派生属性魔法もいけます」

「手広いですね」

「教えてくれた人がいるので…」


とりあえず魚に雷を打って感電死、という作戦になった。

はじめにノレイアを飛ばし、魚をおびき寄せそこに雷魔法を打ち込む。という作戦だ。死ななくても、動かなくなればあとはどうにでもできる。

話がまとまりまたブロッゼ河川に向かうことにした。


その間ノレイアはずっと尾羽を気にしていた。



キング・カープ

シェイオ大森林に生息する魚。見た目は腹にカニの足が生えた鯉。泥臭くてまずい。そのくせ食欲は旺盛。


シセリア

エルフ。金髪に緑の瞳。魔法よりも弓矢が得意。近接戦できない状態になった時の戦闘の要。

魚が嫌い。出身が内陸のためおいしい魚を食べたことがないのと、生臭いにおいがどうしても受け付けないから、らしい。


ハルピュイア

そこそこ大きめの尾羽がある。空中でのかじ取り用。鷹や鳶の尾羽のようなもの。


魔法

・四種属性魔法

火、水、風、地の四つ。基本的な魔法のため、魔法使いを名乗る物はすべて一定のレベルで使いこなせる。

・派生属性魔法

四種属性魔法以外の魔法。雷、氷、草木など。ここは適正の話になってくるので使えなくても問題はない。四種属性の魔法をかけ合わせて発動した魔法もこの魔法に分類される。とくに雷や氷などは使えたらすごいのレベル。

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