死んで気づいたら転生、はあるある。
処女作。多分飽きてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
誤字脱字散文お許しください。
ファロルテ大陸の中心を陣取るように広がる、広大なシェイオ大森林は、一帯の国々から「魔の森」と呼ばれる。
年中濃い霧がたちのぼり、背が高く常に葉を茂らせる木々によって日は遮られ、常に薄暗い。
それに加え、魔力が密集しているせいで魔法が乱れやすく、暴走や不発になりやすい上にそこに住む魔物は非常に凶暴で大きい。
それゆえに立ち入ったものが生きて帰れた例は指折りで数えるほどしかない。仮に生還しても、精神が狂ってしまったゆえにまともな会話が成り立たない。その様子を見た人々は「人を食う森」、「魔界の森」と揶揄し、それがいつしか「魔の森」として定着するようになった。
魔力の密集することによって発生する貴重な資源があることには間違いないのだが、いかんせんそれを採集するのに伴う危険が大きすぎるあまり、周囲の国々は手を引くしかない。
そして、シェイオ大森林が「魔の森」といわしめる理由がもう一つある。
それが「ハルピュイア」の存在だった。
ハルピュイアとは女の体と鳥の体が合わさった半人半鳥であり、非常に凶暴。
鳴き声は醜く、気性が荒い。獲物に食らいつけば死ぬまで攻撃をし執念深い。
街に現れれば糞害をもたらし、そこから疫病が流行る。
さらに群れで生活するため非常にやかましい。
その上、苦労して捕獲しても身は不味く、有用なものといえば魔物から必ず採取できる魔石が取れる程度。
ハルピュイアのねぐらであるシェイオ大森林を探索する際には、必ずと言っていいほど戦闘をしなくてはならず、その数も無数だ。
そんなわけでハルピュイアは世界共通の厄介者であるのと同時に、その群れが居着くシェイオ大森林が「魔の森」といわしめる理由の一端を担っていた。
・・・・・
鈴木ハナ。16歳。高校に籍だけを置いている女子高校生。
見える景色は首が動かせる範囲まで。体は動かせない。
いくつもの管に体を繋がれ、延々と動く機械によって私の命は引き止められている。
メトロノームのような音で私がまだ生きていることを自覚する。
顔色は悪く頬は痩けている。お世辞にも女だと言われても分からないだろう。
まさに「生きている死体」。
それが私。鈴木ハナの「日常」だ。
生まれた時から体のあらゆるところに病気があり、成長しても治るどころかむしろ悪化する。最後に外の空気を吸ったのはいつだったか。薬品の匂いだけが懐かしい匂いだ。
それでも先月までは上半身を起こして勉強をしたり読書をしたりと、比較的自由に過ごせていた。
しかし、季節の変わり目で風邪をひいてこじらせてしまったのを境にあれよあれよと悪化していった。
そしてつい先日。医者に「今夜が峠だろう」といわれた両親は辛そうな顔で私のそばにいる。
見舞いにもこなかったのに、こういうところだけに顔を出す辺りよっぽど世間体が大切なのだろう。
私が死ねば「病弱な娘を看取った素晴らしい両親」、生き延びれば「大病を乗り越えた娘」で世間から評価されるからだ。
微かに動く首を使って窓を見る。
雲ひとつない、澄んだ青色が広がり、太陽光が病室を照らす。
鳥の影が横切るたびに、空を飛んでみたいという気持ちが大きくなる。
もうろうとする意識の中、長年の夢に思いをはせる。鳶が空を飛んでいた。
心音が小さくなっていくのが自分でもわかる。死が目の前にある。
眠くなって私は目を閉じた。
そうして「鈴木ハナ」という体の生は終焉を迎えた。
・・・・・
気がつくと、体を丸めて眠っていた。生暖かい温度がちょうどいい。
でもおかしい。私の体は動かせない。
丸くなる、なんてもってのほかだし、そもそも私は死んだはず。
しかもなんか生暖かい温度が〜と呑気に考えていたが、どうも水の中らしい。
呼吸ができないじゃん!
もがくようにして暴れれば、薄い膜を破ったらしい。
冷たい空気が体に入る。目を開ければぼんやりとしか見えない。
何かの鳴き声も聞こえるがあいにく何も分からない。
膜を突き破ったせいでなんとなく疲れて、そのまま眠った。
用語解説
・ファルロテ大陸
東西に広がる広大な大陸。現実のロシアとヨーロッパが合わさったような形をしている。シェイオ大森林が中心にあり、その周囲に様々な国が存在する。どの国もシェイオ大森林を通るような街道は設置されておらず、向かいの国に行くには非常に時間と労力がかかる。魔族領も隣接しているが、大森林が自然の防波堤の役割を果たしているため、人間との衝突は極めて限定的。
・シェイオ大森林
ファルロテ大陸の中心を陣取る広大な大森林。通称・魔の森。魔力がたまりやすい立地であるため、魔物が変異し狂暴化しやすい。また大森林にしか生息しない固有種も存在する。大森林ではあるものの、湿地帯や、整備されていない野生のダンジョンの存在が確認されている。しかし、探索には非常に不向きな条件がそろっているため、大森林の全容は用として知れない。
・ハルピュイア
本文に記述されている通りの存在。基本は森に生息するが、稀に群れて町に現れる。騒音と糞害によって悪影響を及ぼす。飛翔能力があるため捕獲・討伐も困難。何をしてもうまみがない魔物のため、世界中から嫌煙される。




