表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/19

第6話:究極の達成感?

「やや、聞いて下さいよココアさん! 今度はもう少しで鳥の巣を覗けるというところまでいったんです!」


 アタシの入れた紅茶で一息いれながら、学校で面白いことがあった小学生みたいな話し方をするアッシュ。

 一応繰り返すが、今はコイツが死んだときの話をしている。


「でも、結局死んだんだろ?」

「そうなんですよ! やはり巣には親鳥が居たのですが、これが想像以上に凶暴で!」

「向こうからしたら卵やヒナを狙ってるように見えるだろうからな」

「本当ですね! おかげでつつかれるわ、蹴られるわで、結局バランスを崩して落ちてしまいました!」


 あっはっは、とその時のことをなんとも思っていない風のアッシュ。

 痛いとか、苦しいとか感じないのか?


「……で? まだ鳥の巣を確かめてないってことは、また行くのか?」

「もちろんです、『破片』を回収することが自分の使命ですから! 今度は、なんとかして親鳥を巣から引き離す方法を考えて挑戦します! どのみち、『破片』の手がかりはありませんし! 明日、また言ってきます! 風呂入って寝たら、いい手が思いつくかもしれませんし!」


 アッシュのやる気は微塵もゆるがない。逆にこっちがげんなりするくらいだ。

 そしてアッシュの言うとおり、親父の用意した魔法テレビには、他の『破片』の反応はない。山にある反応を調べる以外の選択肢は、アッシュにはないのだ。


 ……なんか、歯がゆいな。


   ×   ×   ×


 翌日以降も、アッシュは鳥の巣に『破片』があるとみてアタックをかけ続けている。その度にどこかでミスって『回生の光柱』で復活する、という毎日を繰り返した。


 そして、ついにアッシュは『破片』の反応の原因を突き止めた。それは――


「木でできた数珠だったか……」


 アッシュが持ち帰ったものを囲んで話し合うアタシたち。


「『ジュズ』? それはどのようなものですか?」

「この国の宗教のひとつが、祈るみたいなことをするときに使う道具だよ」


 アッシュに数珠の説明をするアタシ。すると女神が口を挟んでくる。


「なるほど。宗教的な意味合いを持つもの、しかも木でできているなら『破片』と共通しています。だからジェローの『魔法テレビ』が反応したのでしょうね」


 反応した理由が判明しても、これではアッシュは無駄に痛い目と苦労を見続けただけだ。さすがに精神的も疲れたのだろう。アッシュは先ほどから黙りこくって俯いている。


 いつもコイツは底抜けに明るいから、なんだか少し気の毒だ。


「な、なあアッシュ。今回は空振りだったけどさ。じきに別の手がかりも見つかるって。アタシも協力するから……」


 とか言いかけたとき、アッシュはがばっ! と顔を上げた。その表情はいつも通りの脳天気な顔。


「そうです! 今回の失敗のデータを魔道具に入力すれば、より正確に破片の場所を示してくれるのではないでしょうか!」


 ……別にアッシュは落ち込んでいたわけではなかった。心配して損した。


 しかし、その指摘自体は的を射ていると思う。データ不足で『破片』の反応を探し損ねたのなら、そのデータを入力し直す機能があるはずだ。だが。


「ん~、テレビ単体じゃあ情報を入力できないっぽいぞ」


 アタシはテレビを操作して調べたが、それっぽい設定は見つからない。

 すると女神が助け船を出してくれた。珍しいことに。


「あ、ジェローに聞いたのですが、『魔法テレビ』へのデータの入力は『デンシレンジ』を使えばできるようですよ」

「は!? 電子レンジで!?」

「そうらしいですね。ほら、ジェローからもらった説明書がここに」


 と言って女神は、水晶の映像越しに、プレゼンテーション資料みたいになっている説明書を見せてきた。

 そこには確かに、データを取りたいものをレンジの中に入れて特定の手順で操作すれば、データを魔法テレビに送信できると書いてある。


 マジでウチの家電どうなってんだ。


 ……まあいい。早速レンジにアッシュが持ってきた数珠を放り込み、説明書通りに動かす。すると――


 『データが更新されました』というテレビの表示。加えて、今まで無かった光る円が地図に表示されている。


「おお! 次はここを調べればいいと言うわけですね!」

「でも、ここ明らかに海だぞ。お前泳げないんじゃなかったのか?」

「そうですね……このままでは、死ぬまでの短い時間しか活動できません」

「溺死前提かよ……」


 アタシ達が困っていると、また女神が解決方法を持ってきた。


「それは心配ありません。水中でも息ができる護符をカロリーナから預かっています。それをそちらに送ります」


 女神、珍しく今日は仕事するな。

 ……いや、違うか。さっきから親父とお袋が用意したものを持ってきてるだけだ。


 そして、お袋の護符を女神から転送してもらって意気込むアッシュ。


「よし、それでは明日からは海の捜索ですね!」

「おい、海のど真ん中ってことはアタシも付いていってやれないからな」

「了解です!」


 これで次の方針は決まった。いったんアタシのやることはないから、明日は……と考え出した時だ


「ではココアちゃんには、他の手段で情報収集をしておいてもらいましょうか!」


 とか女神が言い出しやがった。


「あァ!? フザけんな! 誰がそこまでしてやらなくちゃ……」


 当然、アタシが突っぱねようとすると……、


「あれぇ? ココアちゃん、さっき『自分も協力する』って言ってませんでしたっけぇ~?」

「うっ……」


 クソ。確かに言っちまった。アッシュのヤツが珍しく落ち込んでると勘違いして、勢いで言っちまった。

 言葉に詰まるアタシにたたみかける女神。


「あ、でも、いいんですよ無理なら。ココアちゃんはまだ背も胸もちっしゃい子供ですしね。特にできることもなさそうですしぃ~」

「あー、うるせーよ! やればいいんだろ!」


 他の誰になら言われてもいいが、なんかコイツに言われると腹立つな! 相手神だけど!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ