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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編(ざまぁとかコメディとかテンプレ外しとか)

え?私、偽者の聖女だったんですか!

作者: 渕澤もふこ

一部の人にはシリアスなヒューマンドラマです!※コメディです

 毎朝行われている神殿の礼拝。1人の少女が神の像の前に跪き、祈りを捧げていた。

 その少女の周囲には多くの民衆が集まり、一緒に祈りを捧げている。


「神様、いつも私たちを守ってくださり、ありがとうございます。本日も」

「偽聖女グリーズ!グリーズはどこにいる!!」


 その静謐を破り、大勢の兵を従えた青年が乗り込んでくる。少女は振り向いて声の主を確認し、親しげに声を掛ける。


「あら、皆さん朝からご苦労様です。ベアル殿下、今日はどうされましたか?骨折ですか?頭痛ですか?それともまたお鼻に豆を」

「ええい黙れ!グリーズ!!お前は神の意志を騙り、自身を聖女と偽り、民を謀った!!よって聖女の地位を剥奪する!自身の罪を悔い改めよ!」

「ベアル殿下!!今日は聖女様にまた治療をお願いしにきたのでは!?」


この国の第一王子であるベアルは、跪いたまま見上げるグリーズの前に立ち、兵に命じて周囲の民衆から隔離するよう兵に命じる。側近たちはベアルの行動に驚くが、兵たちに阻まれグリーズと距離を取らされてしまう。


王族の様々な不調も治療していたグリーズは、当然ベアルの黒歴史も知っている。

自分に都合が悪いことを隠蔽するため、グリーズを王宮に監禁すべきだ、とベアルは考え、今日彼は行動に移したのだ。


「そんな、私は聖女だなんて自分で一言も言ったことがございませんのに、謀るだなんて。私が皆さんを謀ったことは、殿下のいけないお遊びの隠蔽と国王陛下の頭頂部の無毛地帯の範囲、妃殿下の浮気の回数くらいしかございませんのに!」

「なな、何を言う!私がそんなことをするはずがないだろう!!」

「お鼻豆鉄砲されていて取れなくな」

「ええい!黙れ黙れ!!お前のようなデリカシーのない者が聖女であるはずがない!よって偽聖女のお前はこれから王宮にて監視をする!」

「そんな、まさか」


グリーズは目を見開き、手を胸に当てて神像に向き直った。ベアルから告げられた内容に衝撃を受けたようで、その声は震えている。


「ある日、神様は私にこう仰いました。

『お前に聖なる力を与える。

傷付いた者たちを治癒してやりなさい。

結界を張って、悪魔たちから民を守りなさい。

大地を豊かにし、豊穣を与えなさい。』と。

だから、私はずっと神様の望まれるままに力を使ってきたのです。

それなのに、まさか私が偽者の聖女だったなんて!!」


周囲を兵に取り囲まれているといっても、様子を伺う民衆にはしっかり内容は聞こえている。

アホ王子がまた何かアホなことを言い出したとはらはらしながら、壁になっている兵たちの背中と尻を見つめるしかなかった。

側近や兵たちの表情が見えていたなら、きっと同士だと思ったに違いない。

それほどまでに、グリーズは偽聖女というには相応しくないほど国に貢献し、民衆から敬われていた。


「ということは、私が聞いていた声は神様ではなかったということ。私が行ってきたことは全て神様に背く行為だったということでしょうか」


ぽつり、とグリーズが呟いた言葉には力がなく、どこか虚ろに響いた。


「ああ!その通りだとも!!」

「なんということでしょう!!

まさか、人々を堕落させる悪魔の声では!?きっとそうですわ!

私が治療したことで、自己治癒力が衰えてしまいました。私が結界を張ることで悪魔に対抗する力を磨くことができなくなり、軍隊が弱くなってしまいました。大地を豊かにしたことで、土壌を改良する知識や技術が失われました!

堕落ですわ!!!皆様、申し訳ありませんでした!今すぐ元の状態に戻しますわ!」


グリーズの宣言を聞いた兵たちと民衆は慌てる。聖女の力の恩恵を受け、ありがたみを知っている者ほど、その宣言は恐怖でしかなかった。

側近の一人が慌てて兵を掻き分け、ベアルを取り押さえ、グリーズの前に跪いた。


「お待ちください聖女様!」

「王子こそ悪魔に乗っ取られているのです!」

「聖女様のお力は確かに神の御意志です!」

「お疑いになるのであれば、まずベアル殿下から元の状態に戻してください!!!きっとすぐに悪魔が退散します!!」

「お前たち、何を言っている!!私は正気だ!」

「絶対におかしくなっています!」

「え、えと」

「あなたの神とベアル殿下の、どちらが信じられるか考えてください!!!」


周囲から説得されたグリーズは迷いながらもベアルを見る。確かに、一度に全てを元に戻すのはよくないかもしれない。ベアルでまず試してみるのがいいのかも、と。


「……では、ベアル殿下から元に戻します。『すべて元の状態に、戻りますように』」


グリーズが祈りを捧げると、ベアルの体から金色の光が出てきて、神像に吸い込まれていった。


「これでベアル殿下は元の状態に戻りましたが、いかが」

「ぐわぁぉおおああぁあ!!!」

「殿下!!??」


急に悶絶し始めたベアルの様子に、皆が戦慄した。


「まさか、本当に悪魔に乗っ取られて!?」

「い、いきが、息ができな」

「殿下!お鼻が!!」


よく見てみれば、床に転がるベアルの鼻の両穴がぱんぱんに膨らんでいた。

どうやら今まで治療した鼻に詰まった豆たちが、元の状態に戻ってぎっちりと詰まってしまったようだ。


「見ろ!殿下のお鼻から芽が出てきた!」

「聖女様の豊穣のお力だ!」

「た、助け、」

「神様!いつも我々を助けてくださりありがとうございます!!」

「聖女様ありがとうございます!」

「やはりグリーズ様は、本物の神様から選ばれた、本物の聖女様でした!!!」


ばんざーいばんざーい!と上がる歓声に自信を喪失していたグリーズは笑顔になる。


「安心しましたわ。それではベアル殿下はこのままでよろしいかしら?」


ベアルの鼻からは、すくすくと豆が育っている。育つにつれ、鼻の内部の体積は更に増え、穴はどんどん膨らんでいく。

醜態を晒すベアルを直視できず、目を逸らしていた側近にグリーズが声を掛ける。その声に反応し、ちらりと見てしまったがために側近の腹筋は悲鳴を上げてしまった。


「い、一旦ん、王宮、に、も持ち帰り、ま、す」

「そうですか、それでは皆様に神のご加護がありますように」


ピカ一!!

聖女の言葉に反応し、周囲に神の力が降り注ぐ。


「ぐうぁぁぁぁあ!」


神の力でベアルの鼻の穴もより成長した。

そして側近の腹筋は死んだ。

なんでこうなったのかわかりません。

ヒューマンドラマで書いていたはずが、なぜか鼻に詰めてました。


皆様、取れなくなったらすぐに病院に行ってくださいね!(本当に何を書いているんだろう)

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