表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/102

首無し胴体:1

中央教会の正面入り口でリリア・フォードリアスの眼前にずらりと並んだ傭兵たち。

その周りを複数の聖騎士たちが取り囲んでいる。


「隊長、やはり数名の冒険者が行方をくらませています。」


調査をしていた聖騎士からリリア・フォードリアスに調査結果を記した紙が渡される。

その中身をデューク司祭と共に確認すると、二人とも眉間に皺を寄せてため息を吐く。


「私の失態だな……こんな身近に邪神崇拝者共が潜んでいたにも関わらず、気が付かなかったとは……」


「デューク司祭様、これはあなただけの非ではありません。」


神妙な顔つきのままデューク司祭は眉間を揉む。確かに自身の祖先……つまり身内が王城を破壊したという事態をうけて気負っているところはあっただろう。

冒険者を傭兵として雇ったことで招いた自体と言えど、警備を厳重に試行しようとしていた彼が悪いなどということは無いはずだ。


「街中に配備した者たちから報告は!?」


「定時連絡以外は今のところ何も……」


「そうか……私達も捜索に加わるぞ。城壁外にも捜索の範囲を広げる。」


「了解しました!」


リリア・フォードリアスは複数の聖騎士を連れて捜索に出た。



「チっ……ここもダメか。」


リぺリシオン王国の城壁近くの路地裏……影に潜むように複数の男たちが大きな麻袋を持って城壁門を睨んでいる。

その城壁門には二人の聖騎士と王国兵が周囲を警戒している。


「どうする……完全に出遅れたぞ?」


「くそ……あの野郎がしくじりやがったからだ!」


男たちは、中央教会の地下牢入り口で突っ立っていた元同士のことを思い出して悪態をつく。

今担いでいる間にも、拘束から逃れようともぞもぞと麻袋が動いている。こんなものを担いでいるところが見つかったら、すぐに拘束されることだろう。

今回の計画を練った”老師”は瓦礫となった王城で、魔族様と接触した後に王都外で合流予定なのだ。

あの老師は非常に冷徹な人間だ…………合流時刻に遅れれば何をされるかわからない。


「…………強行突破するか。」


「…………そうだな、相手は邪教の信徒どもだ。殺しても何の問題のない。」


男たちは一度麻袋を路地におろすと、武器を取り出す。相手は訓練を積んだ騎士と兵士なのだというのに負けること等全く想定していない…………冒険者としての腕に自信があるわけではない。こちらの崇拝している神の方が絶対的に正しい存在なのだから、邪教を崇拝している輩に負けるはずがないのだ。


二人同時に路地から飛び出すと、一直線に聖騎士たちへと向かって行く。


「なんだ!?貴様ら!!とまれ!!!」


男たちに気づいた聖騎士たちが飛び出した男たちに忠告するが、男たちの速度は緩まない。

その様子をを確認した王国兵士と聖騎士は抜剣して男たちと対峙する。


「おい!お前は隊長に連絡を入れろ!!」


「わかった!!」


聖騎士の一人がもう片方の聖騎士に指示を出すと、すぐに通信用の魔道具を取り出す。

その間にも邪神崇拝者と聖騎士は鍔迫り合いを行なっている。


「こちら城壁南側警備!不審な男たちと交戦ちゅ…………」


連絡を入れていた聖騎士の発言が途切れる。

彼だけではない。先ほどまで邪神崇拝者と交戦していたもう一人の聖騎士と王国兵士から放たれる音も、突如轟いた破壊音によってかき消されたのだ。

轟音と共に地面から吹き上がった土煙が次第に掻き消えていくと、中にいる人影が露わになって来る。

執事服を身に纏った初老の男。彼は先ほどまで聖騎士たちと交戦していた”同士”をまるで子猫を持つように片手に一人ずつ持っている。その手の甲には邪神崇拝者の印である邪神信仰のシンボルが描かれていた。


「何をやっているのですか?」


「老師……。」


老師と呼ばれたその男は、手に持っていた男たちを自分が出てきた大穴の外に投げ捨てる。

どうやら、老師は地下から出てきたようだった。


「ふむ……目的のものはどこです?」


「あ……そ、それならあの路地のところに……」


「なるほど、では早く持ってきなさい。じきに中央教会の邪教徒どもが集まってくるでしょう。」


老師は男たちが麻袋を路地裏から担ぎだしてくるのを確認すると、重厚な城壁門を蹴破る。

その蹴破る音もすさまじく、それだけで老師の放つ一蹴りがすさまじいい威力であることを証明していた。


「………それは魔王様のために必要な素体です。丁寧に運搬してくださいね。」


老師はそれだけ言うと土煙が収まる前に城壁の外へと向かって行く。男たちも慌ててそれに追従しようと土煙の中に消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ