1-2 ”魔女会”所属 エザ
”魔女会”
メガロス国内において魔女適正のある者だけが入ることが許される魔女組織。その歴史は同国の”騎士団”と同等の古い歴史があり、二組織はメガロスにおいて重要な戦力の二つとして数えられている。”騎士団”が街の防衛や治安維持に専念する半面、”魔女会”は街の一切に関わることはなく魔女個人の利益のみを追い求める苦に属する組織においては無秩序な組織となっている。
組織は”長”と呼ばれる一人の魔女が君臨し、その他の在籍している魔女には決められた階級などは存在しない。”魔女会”が組織の名を関して行動することは滅多になく、”長”が下す命令でのみ”魔女会”の名を語った行動が許される。裏を返せば一人の魔女の行動で引き起こされた不利益は全てその個人の魔女の責任問題であり、例え長年”魔女会”に所属している魔女であろうと組織が庇う、組織に責任が降りかかることはない。
規則一、”長”の命令は絶対。
規則二、”長”の許しを得ずに”魔女会”の名を語った行動はしない。
規則三、魔女は他の魔女の実験を故意に邪魔してはいけない。
規則四、魔女同士で誓いを立てる際には第三者の介入を禁ずる。誓いの内容も同様のものとする。
◇◆◇◆
街の北に位置するとある一本の巨大な大樹。”魔女会”の拠点とする大樹の中は空洞でありその中には組織に在籍する魔女の実験部屋が至る所に点在している。強固な魔法障壁が掛けられた大樹は外部からの攻撃も侵入も防ぐ。
ノックスが”騎士団”本部にて新たな任務を知らされている一方、大樹内部の上へと続く巨大な空洞へと一人の魔女が飛び込む。魔女は重力に逆らうようにその場に留まると次第に上昇を始める。上へと昇る際幾つもの階の実験室で自分なりの実験を行う他の魔女の姿を横目に見ながら、ついに魔女は空洞の一番上の階へと到着した。
地面に足をつける。目の前には魔女の身長の三倍はある巨大な扉があるが、突如その扉は誰も触れることがなくゆっくりと開いた。魔女はその光景に驚く素振りすら見せず何食わぬ顔で扉の奥へと入った。扉は魔女が進むと今度は勝手に閉まっていく。
「あら、もう少し遅くなると思っていたのだけど......」
魔女を出迎えたのは一人の魔女であった。薄紫色の長髪に妖艶な笑みを浮かべる美女が一人。その手には一枚の紙があり、視線を部屋に入ったきた魔女に向ける。言葉では驚いたと言っている意味合いではあるが、彼女の表情はとてもそんな風に思っているような表情ではなかった。
「”長”の命令ですもの。でなければこうして態々本部まで出向いたりしないわ」
「相変わらず他の娘達と馬が合わないのね。でもそれだけ貴女の実力を認めてる証拠でもあるのよ」
「嫉妬するだけ時間の無駄だと思うのだけど.....」
自信満々な若き魔女に”長”と呼ばれる女性は持っていた紙から手を放す。紙は空中で浮き続け、ふわふわとした軌道で目の前の魔女の手元へと落ちた。
「これは.......?」
「魔道騎士学園直々の応援要請よ。ここ数年”騎士団”に所属する若い兵士達の精神面と実力を鑑みて、今の内に現役の騎士を一名派遣して矯正と調査が大まかな目的。それで騎士を派遣するのなら”魔女会”からも一名魔女を派遣して魔女の卵達の実力向上をしようって話になったわけ」
「それで私を?」
「不服かしら?」
”長”直々に選抜された人材だと言うことは分かっている筈だがそれでも選ばれた魔女の顔はあまり嬉しそうには見えず、逆に嫌な問題を前に面倒になっている人の表情をしている。勿論彼女の表情は予測の範囲内であり”長”はそんな彼女の表情でも言葉を続ける。
「魔女としての実績については考慮しないとしても貴女の実力は”魔女会”の多くが認めているし、なにより選出したのは”長”であるこの私。それに学園ともなると多くの人の目に触れる。性格的に難がある娘は使えないし、実験を行っている娘は手が離せない。それに引き換え実験の課題もなく、手軽に実力も時間もある貴女が行ってくれると組織としてもありがたいの」
「最後の方は完全に私を暇人扱いしているのじゃないですか.....!?」
「正直私だってこの話を持ち掛けられた時気が重くなったわ。あの学園、家柄だけは良い生徒が多くいるみたいで相手をするだけ面倒なのよ。校内で起きてる格差が酷いって話も聞いてるし」
「寧ろ私がその生徒相手に我慢が出来ない可能性があるのとは思いませんか.....?」
「そうなったらそうなったで貴女の魔法はとても役に立つのではなくて?」
「...........」
”長”という地位についている者の言葉は”魔女会”において何よりも重い。その者から賞賛から来る選出の訳は組織に所属する魔女にとって断り切れない重みがあった。
まもなく若き魔女は”長”の命令を承諾した。
◇◆◇◆
魔道騎士学園特別講師
騎士団所属 ”騎士”ノックス
魔女会所属 エザ




